「川崎33」のナンバーを引き継いだ、左ハンドル仕様の1998年式ルノー ラグナ

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前にもご紹介したかもしれませんね。私の愛車マセラティ430、今年の猛暑の中、エアコンガスがどこかから抜けてしまったようなのです・・・。コンプレッサーは動いているので、おそらくはガスを充填すればいいのですが、こういうのは虫の知らせかもしれません。日常の使用にマセラティ430を用いるのは気が引けていました。こういう症状は、「こんな猛暑の中、アシに使うな!」という、クルマからの悲鳴のような気がしていました。昔はエアコンはつけずに乗っていましたが、私も年を取ったものだと思います・・・。

しかし、お金がない。悲しくなるくらいお金がないのです。何かクルマを迎え入れるにしても、安いクルマと言っても手に入れればそれなりの出費がッ掛かります。まあ、そう都合よくクルマは見つからないだろうと思っていた矢先でした。取材の帰り、久しぶりに東京都大田区のアウトレーヴにコーヒーでも飲みに行こうと寄ってみると、ムッシュこと平澤さんに「込みちゃんいつもいいところに来るね」と言われたのです。そこにあったのが、このルノー ラグナでした。

1998年式のRXE。珍しい左ハンドルで、オールレザー「バカラ仕様」。トランクのスーツケースもかなりきれいな状態で残っています。距離は34000km台。「実はもう廃車しかないかなと思って。廃車にすれば解体屋さんに買ってもらえるし。」ということで、多少のきんすを支払って引き取ったのだそうです。

しかし、商品車にするには、外装の状態、色褪せが気になります。引き取ってはみたものの、売ろうにも売れない・・・。小売りをするとなればそれなりに責任も伴います。さらに、車検が間もなく切れる状態でした。フランスモータース、ヤナセが仕入れたこのクルマ、以降、ことあるごとに点検整備はディーラーで受けている個体でもあります。

前回の車検時も、事業を引き継いだ横浜の日産ディーラーで一連の作業を受けていて、それからの積算距離は1000km程度。特に問題もなさそうです。しかも、ワンオーナー車であるこの個体、「川崎33」というナンバーも、筆者は引き継げます。そんなことから「このクルマ、エアコン効くかなあ。エアコンが効いて、しかも車検が通ったとしたら、このクルマをメインのアシとして少し使うのもありかな・・・」と思い始めました。

ムッシュに断って、一周試乗することにしてみました。まずドアを開けたとたん、想定するフランス車の剛性感をはるかに凌駕するしっかりとしたボディ。その後、都度都度感じることとなるのですが、20世紀との別れを惜しむかのようにルノーがこのラグナに込めた技術の粋、そして、間もなく20年という歳月を迎えつつあるにも関わらず、いまだに35000kmに満たないという極めて僅少なマイレージ。さらに、その間に趣味的に・・・ではなく、どこか淡泊ではあるけれど、必要最低限以上に注がれてきて愛情・・・。この双方についての驚き、同時に初めて感じたのでした。

イグニッションをオンすると、柔らかく一発で、静かに目覚めるエンジン。たちまち強烈に送り出される、猛暑にも負けないエアコンの冷気。あらゆる点に歳月を感じさせないほころびのない灯火・警告灯類。いやなにおい、ほころびのない内装のコンディション。一瞬にしてそうしたことを冷静に確認できるほど気を安らかにさせる秀逸かつ大きすぎないシート。そして、気持ちを静かにさせる佇まい・・・。

それでも、確実に高揚させるコンディションを誇るこのルノー ラグナ、実は一番気になっていたオートマチックでした。悪名高き「AL4」、極東の島国ではおよそその挙動はふさわしくないとされ、これが故障してクルマとの別れを告げる人の話を聞いたことは一度や二度ではありません。ここに怪しいにおいがあれば、そこであきらめるつもりでした。しかしながらどうでしょう。結論としては、今までに乗った数多のオートマチックの中でも屈指の滑らかにして静かな動き。それこそ、セルシオ用のオートマチックにも匹敵するほどショックが少ないコンディションでした。最後の4速は60km/hをまたがないと至らしむことのないローギアながら、ひとたび4速をまたいだら、ある程度のトルクを送り続けることで4速を保つ挙動のこのオートマチック。これを今体験するというのも、こういうコンディションのクルマならできると思わせるほどの無垢さが感じられたのです。

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この記事の筆者:中込 健太郎

大手自動車買取販売会社で、クルマの売買業務を経て、本社マーケティングチームに異動。WEB広告を担当し...