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よもやま話

更新2023.11.22

朝風呂から出てきたらミッレミリア!信州の渋温泉は日本のいいところだ

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中込 健太郎

今年で20回を数えた、イタリアのクラシックカーラリーミッレミリアの意思を汲む「La Festa Mille Miglia」。今年も大変な盛り上がりの中幕を下ろしました。

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振り返ると私も、第一回のころ、ちょうど古いクルマに興味を持ち始めたころで、ぜひ見てみたかったのですが、当時は神宮前のイベントの入場料だけでも確か4000円くらいして、とても手が出ず、ノスタルジックヒーローとカーグラフィックの懸賞を応募して券を入手したと記憶しています。あの時はスターリングモスが、かつて自身がステアリングを握った、カーナンバー722のメルセデスベンツ300SLRが日本に空輸され、日本の道を走りました。サポートカーが全部ランチア・テーマだったのも懐かしい思い出ですが(笑)

あの300SLRの音は今も忘れられません。ものすごい音量もさることながら、感情を吐露するような、あるいはその非凡なる性能を饒舌に語るような、そんな音でした。優美なクラシックカーの、実はきわめて雄々しいエグゾーストノート、そして排気ガスのにおいが今よりもっと一台一台個性があって、エモーショナルなものだということをこのとき知ったのです。

なんてこともあったのち、私がこんな自動車のライターのような立場になるとは微塵も思っていなかったのですが、今年、主催者もいろいろ変わりましたし、関連のレポートの記事を書く機会もないので、これはあまりご縁がないのだなあと思ったりもして、ただ見物に行くだけなら行かないほうがましだ。どこかふてくされるというか、いじけていた面もあるかもしれません。一番昔からなじみのあるクラシックカーイベントは、ライターになってからはあまりなじみのない存在になっていました。

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しかし、今回はたまたまなのですが、とっておきの形でミッレミリアの名車を見ることができました。クルマで温泉に行くのが好きで、時々入りに行っているのですが、「朝風呂から出てきたらミッレミリア!」こんな幸せがあっていいのでしょうか!!その時のことを少しノートしておきましょう。

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最近夜寝付けないことが少なくありません。私の遅筆が原因で明け方までイベントのレポートを書いていたり、パソコンに向かっていることが多いのも原因の一つかもしれません。しかし、それが終わって横になってもなかなか寝付けないのです。この日もそうでした。秋だし、今まで入ったことのない温泉にでも朝風呂に行こうかと、あきらめて支度をし、家を出たのは3時半。もう少し早く出ていたらよかったのですが、こんな時間だから結局高速に乗ったのが4時1分。深夜割引がギリギリ「適応されない」時間です。仕方ないです、まあ良しとしましょう。

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こういう思い立ったらの外出では、やはりシルビアヴァリエッタが頼もしい。特に今は秋です。高速を走るとかも関係なく当然屋根を開け、クルマを西へ走らせます。諏訪湖までもうすぐというところでだいぶ明るくなってきました。梓川SAで、少し眠れそうだったので、朝ご飯を食べてちょっと寝ることにしました。目を覚ますと9時くらい。そのあたりで温泉は、、、と調べると、北信濃、渋温泉の外湯の一軒が10時から入れるのだとか。距離的にもちょうどいいので、一度車を降り、屈伸などして、再び屋根を下ろして出発することに。志賀高原熊の湯などはスキーでよく行ったものです。子供のころは長野県に入ってからがかなりの旅でした。道も険しかったものです。

しかし今やほんの目と鼻の先、というとややオーバーかもしれませんが、だいぶ近いですね。志賀高原と渋温泉。湯田中駅から少し入ったところは、古くからの湯場で開湯1300年の歴史があるのだとか。昔は善光寺に行く道の途中で、疲れをいやしたり、湯治なんかをしたのかもしれませんね。9つある外湯は、基本この温泉街に宿泊した人のための施設。宿泊して外湯めぐりをするというのがスタイルのようです。

そして、9番目の「大湯」が訪問客に解放されています。共同の駐車場に停めて、おじさんに言うと、500円で入湯券をくれます。半券を切ると絵葉書になっているその券をもって、大湯の周りの温泉宿に行くと「鍵を開けて」くれます。渋温泉は訪問したお客さんを「一泊住民」として扱う習慣があるそうで、すべて鍵はかけてあるのですが、宿泊客には鍵を「貸し出し」、つまり託すのだそうです。そういうしきたりのようなものがベースにあるこの文化。

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渋温泉の大湯は鉄分も多めのようで、においからしてかなり違います。少し熱め、しかし入れないほどではありません。しかし短時間でもぽかぽか。中で出会った人は二人とも神奈川の人だと言っていたな。みんな好きねえ。(ただ外国人の人が一人入ってきて、社交辞令でどちらからいらしたのですか?と聞いたら笑顔で「言わない!」とか言われたので、それを聞いて以降一切目も合わさないことにしました。まあ、別に知りたいわけでもないですが、社交辞令で聞いたのにあの言い方はないよなあ・・・)

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でもって、ふろから上がるとミッレミリアが!!昔、サックス奏者ナベサダこと渡辺貞夫さんが撮った写真集を買いました。それにはイタリアのミッレミリアのレースの模様、そして沿道の人たちの表情がとてもよくとらえられていました。狭い古い町並み、自動車が走ることなど想定されていなかったはずです。そんな石畳を行くクラシックカー。そしてそれを見守る子供、お年寄り。そんな光景に「イタリアっていいなあ」と思ったものです。しかし、渋温泉、その光景がそのままありました。

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しかも、ミッレミリアを迎えるのに、特に町として腰の引けた感じもなく。それはさすがに歴史のある温泉街。気高さを感じます。そしてミッレミリアのクルマも、同様です。信州の渋温泉を走るだなんて、作った人たちのだれが想像したでしょう。クラシックを愛でる楽しみはこういうことなのです。当時はファンタジーにもならなかったようなことが、時を経て、遠い隔たりを乗り越えて融合する。目の前でさらっと事実として輝きを放つ。

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今まではスタート地点でのイベントでクルマを見て過ごすだけでしたが、日本の風景の中に名車が映える。この光景を見ると、今まで私の見ていたイベントのいずれもどこか陳腐なものに思えるほど。やはりクルマは走ってナンボですし、できれば出場してみたい。そういう思いにもなろうというものです。でも日本のいいところには温泉があるのですね。

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帰りに佐久の「旧中込学校」に立ち寄る中込のシルビアヴァリエッタ「#ただいま帰りました」(笑)

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この日1日だけならいざ知らず、実はこの翌日にも、車列に遭遇します。奇遇ですね(笑)少し触れたいのですがそれはまた改めて。

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