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よもやま話

更新2023.11.22

オペラを聴きに♪(マイバッハSクラスの発表会にお邪魔しました。)

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中込 健太郎

「オペラを聴きにいらっしゃいませんか?」

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メルセデスベンツ日本から、お誘いをいただいたとき、そんな風に声をかけていただきました。あまり魂を込めずに選んだ大学の学業は身に入らず、学生時代の鬱憤はすべてオペラに向いていったようなところがありました。一般にオペラが好きですなんていうと「いいご趣味で」とか言われることも多いのですが、まあ「愛してる!」か「裏切り者め!地獄に堕ちろ」的な切り口が交互にやってくるような世界。気がふれている、というかエキセントリックというか、そんないいものじゃないのではないか、ぼくはそんな風に思う訳です。チケットだって海外からの引っ越し公演なら3万円出してもB席くらいしか買えないものもありました。しかし「とにかく私の歌を聴いてくれ」そんな青く若い情熱が前に出た、学生さんのオペラなんかにも出かけてみたり、新国立劇場の当日限定で60席ほど売り出される、最上階の最後列の券なんかだと1500円なんていうのも少なくありません。そんなのをちからわざでなんとかゲットしたりしていましたので、教養のため、だとか、高貴な趣味のためにオペラを聴くなら「やめちまえ!」私見ですがそんな風に思ったりしているのです。何はともあれ、作曲家が腕によりをかけて作ったとっておきの名曲を戯曲にあて、様々な要素が盛り込まれたオペラは今でも好きなもので、このお誘いは正直、とてもうれしい出来事でした。 2月25日、マイバッハSクラスの発表会は、オペラ歌手による、有名アリアの歌唱を盛り込んだプログラムで大勢の報道関係者を招いて執り行われたのでした。

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大勢の報道陣の前には小さいながらオーケストラピットも設けられました。そして、最初に北川辰彦さんが、モーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」から『もう飛ぶまいぞこの蝶々』を歌い、続いて谷口久美さんがプッチーニの歌劇「ジャンニ・スキッキ」より『私のお父さん』。そして小貫岩夫さんがプッチーニの歌劇「トスカ」の名曲『星は光りぬ』を歌うと、歌の後、通常のコンサート用の編曲とは異なる長めの後奏にあわせて、映像を駆使した演出でプロジェクターでスリーポインテッドスターが映し出されると、音も立てず(実際無音のように感じたが、この静寂こそ荘厳な印象を受けるもの)ステージに一台のマイバッハSクラスに乗って、メルセデスベンツ日本の上野金太郎社長が登場するという演出でした。これは、オペラ「トスカ」第三幕で、間もなく銃殺される画家カヴァラドッシが、明け方の星に、トスカとの愛を想い、泣きながら歌うアリアです。もちろんオペラとのコラボレーション、そういうターゲットに訴求したいという思惑もあるのでしょうが、社運をかけてというのとはまた違った、スリーポインテッドスターのもと、熱くこみ上げる思いをこの歌でぶつけているかのような演出は大変ぐっと来てしまいました。定番中の定番でああいう「雰囲気の意思表示」という意味でとても効果的な演出、曲目だったのではないでしょうか。そして生演奏というのに触れるのは実にいいものですね。ただ、予定では与那城敬さんがカルメンの「闘牛士の歌」を歌われる予定でしたがそれが聴けなかったのは残念でしたが。


「仕切り直し」のマイバッハ
1906年創業のドイツのエンジンメーカー「マイバッハ」は1969年にダイムラー・ベンツの傘下に入って以来、ベンツの1ブランドとしての立ち位置を守ってきました。ツェッペリン飛行船に搭載されていたV12エンジンもマイバッハのしごとなのでした。そして超高級車を製造していたこともあって、最近では2002年にメルセデス・ベンツのシリーズのその上位車種としてマイバッハのブランドから2種類のホイールベースの「57」「62」がリリースされました。昔のマイバッハもあまり商業的に成功したとは言いにくいものがありましたが、このリバイバルの「マイバッハ」もやはり商業的には厳しい現実を突きつけられた格好となった、そういわざるを得ないでしょう。専用の車体ながら、Sクラスをベースとした巨大なボディは初めのうちは都内などでもかなり見かけましたが、そのうち頭打ち、ということだったのでしょうか。最近では、一時のあのマイバッハたちはどこへやら?そんな気にさせるほど一気にその影を潜めました。

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今回、また再びマイバッハのの名前が復活した訳ですが、「メルセデスではない特別なクルマ」というポジションから「さらに上の、特別なSクラス」という立ち位置での「仕切り直し」ということが言えるのではないでしょうか。少し前の「57」「62」のマイバッハはすべてを専用に作った「マイバッハ」オリジナルのクルマでした。中も豪華でロールス・ロイスなどと比べても独自の価値を提案したモデルでした。ただ4000万円前後からという価格帯。購入できる人は当然かなり限られます。

一方で今回は「マイバッハSクラス」。メルセデスベンツのカタログモデルとしての最上級モデル、W222現行Sクラスの上級バージョンとしてリリースされました。ですので価格帯も2200万円〜という価格帯。限られた人のためのクルマには違いありませんが、それでもかなり身近になったのは確か。そして現行のSクラス自体が、今までのSクラスから一歩踏み込んだクオリティ、演出にいたるまで、一言で言うと「じつにいいクルマ」なのであります。それをベースに、ロングボディをさらに20センチほど延長し、そのエクストラはすべて後席の居住空間のために割かれているのです。そして拡大されただけにとどまらないことは言うまでもなく、「五感で感じる極上の快適性」をテーマに惜しみない贅沢な空間を構築。さらに未来の自動運転に通じる最新の運転支援システムを搭載することで、ショーファーの疲労軽減、ひいてはパッセンジャーの安全と快適性にも寄与するというこだわりよう。そしてそれらを量産車として世界最高水準の静粛性で包み込んだ究極の一台に仕上がっているのです。

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コンペティターも多く、日本では、貴族や社交界で華やかさだけを前面に出すという立場の人はそういないのではないでしょうか。そうすると、このクルマが「高くても売れるか」というキャラクターを持ち合わせているかというのは重要な問題と言えるでしょう。もともとは超高級車なりの販売台数でメーカーを維持するというのは相当至難の業であるはずです。そして他方、法人所有になることが多いクルマ、どんなに上質、高品質なクルマであってもアフォーダブルであるかどうか。すなわち妥当性が見出せるか否かは、購入機種(車種)選定では、極めて重要なことになるのではないでしょうか。

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実際会場におかれたマイバッハSクラス、乗ってしまうと、絶対的なサイズの違いはあるものの、立て付けや、意匠のクオリティなどは、マイバッハ57/62時台に比べて大幅にコスト削減されている印象は受けません。ただしかし、マイバッハ57/62でも「このクラスもこんな感じなのね」と思わせられる箇所は、今回もあのとき同様の「そんな感じ」に仕上がって入るのですが。このくらいの価格帯だと「Sクラスにエクストラを払う感覚」あるいは「AMG程度の価格帯でさらに快適性の高いクルマを」という明確なプロダクトとしてのメッセージが感じられる一台になっていました。ただあまりビジネスライクなシーンににはマッチしないかもしれませんが、もともと「しこたま売れる」クルマではないでしょう。メルセデスの高級仕様という意味でのシグネチャーとして、マイバッハの名前を冠したSクラスを誕生させたこと。個人的にはとてもしっくり来たというのが率直な感想です。

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もともとW222Sクラス、重々しさがなく華やかさのあるフォルムで、まったく似てはいないのだけれど、まるで1960年代のファセル・ヴェガエクセランスを見ているかのような優雅で楽しい雰囲気を受けるのでした。それに新しく加わったマイバッハSクラス。後席乗員の顔は、ピラーの位置の関係で外からは見えにくくなったりもしています。いよいよフランスの高級車のようだな、と思ったものです。こんな華やかさかおるメルセデス、業績のよい会社が、定期更新で一台、こんなクルマを購入したら、主に利用するであろう経営陣のメンバーもより笑顔になって、社内の雰囲気がさらによくなって、もっともっと業績が良くなっちゃうのかしら。他のクルマのときには覚えなかったこういう感覚になれたというのは、間違いなくこのクルマが地にアシの着いた高級車である証ではないでしょうか。

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当たり前だろう、って?メルセデスベンツ自体が動かしがたい地位にある、しかも総じて高級車を作っているメーカーです。さらに高級車ブランドだからとはいえ、一度は早々に傾いたブランド「マイバッハ」を引っ張りだすにはそれなりの理由が必要だと思うのです。正直、この前のマイバッハ57/62のシリーズにはその明確な理由、あまり感じることができなかったのです。悪意をもって斜めに見れば「VWがベントレーを、BMWがロールス・ロイスを手に入れたから」以上の主体的な意欲、コンセプトがなかったのです。それを思うと、今回は、本来のマイバッハを振り返れば、もしかしたら「あるまじき下野(げや)モデル」かもしれません。しかし、それでも、このブランドとともに進むのだという、メルセデス・ベンツのベクトルは感じられるではありませんか。早く、街でぜひお目にかかりたいと思います。

高級車とオペラの共通点
私は幼少期からクルマが好きで今も好きです。オペラは学生時代にはまってからですが、高名な作曲家が疑うべくもない名作の台本に最高の曲をつけて完成させたものならではの、壮大で軽妙で時に洒脱な「壮大な型」、愛おしくてたまらないのです。今回一曲歌われた谷口久美さんは、ご自身も実業界で活躍されてきた中でオペラがあったからこそ非常に多くの出会いがあり、助けられたというお話を、上野社長とのトークの中でされていました。でもたしなむだけで、知っているだけでいいのでしょうか?木で装飾し、革を貼りまくってコストのかかったクルマを「出せばいい」というものではないのではないでしょうか。そこには背景があり、歴史があり、あこがれ、踏襲し語り継ぎたい世界があるからこそ、それを自動車の定義の中で表現すること。高級車とはそういうことなのではないでしょうか。オペラもにたところがあって、公演やコンサートをやればいい、知っていればいい、ということなのではないのではないか。演奏者の心意気、趣味センスの善し悪し、すべて露呈するとおもっています。一番大事なのはそういうところに触れることなのではないか。今回他ならぬマイバッハの発表会でオペラを取り上げたというのは、「高級車づくりとは」という極めて重要なこ命題を考えさせてくれたトリガーにもなったというのが個人的な感想でもあるのです。

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なくても死にはしないのです。高級車もオペラも。なにもネットで完結する世の中、クルマで行って、ってしなくてもいいことは多いはずです。他にいろんなエンタテインメントがある中で、オペラが一番、と断言することは難しいのではないでしょうか。でも、だからこそ、そこで高級車を選ぶ、オペラを観に行くとかというのにはそれなりの理由が見出せなければいけないと思うのです。それはとりもなおさず、率先してこういうものに触れ、そこから感じる力、器、趣味センスがユーザー、ファンにも求められているということなのではないでしょうか。

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専用のフレグランス。スパイシーでエキゾチック東洋的な香りながら華やかで深みのある香りでした。ダッシュボードに入っています。
だからこそ高級の高級たる所以なのでしょうが、「高級」って奥深いなあと。 勉強というと薄っぺらですが、今回大変勉強になりました。 確かに「マイバッハSクラスでオペラを聴きに・・・・」 という画を撮り、コンテンツにできたらいいだろうなあ。 オペラファンにはクルマ好きもおおいので、そんなお仕事あったらぜひやらせていただきたいですね。 (関係者の皆さま、お待ち申し上げております(笑))

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MAYBACH公式ウェブサイト
http://www.mercedes-benz.jp/lp/maybach/

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