案ずるより走るべし！GLA45 AMGは「かつての尺度」では測れないメルセデス。

中込健太郎

少しご無沙汰しておりますがいかがお過ごしですか？だいぶ暑くなってきましたね。
5月末に開催した「第１回カーフェスinイオンモール木更津」。そこにご来場いただいた皆様には見ていただいたのですが、GLA45 AMG 4MATIC EDITION1に乗せていただきましたので、その感想を少しまとめておこうと思います。

ある意味で軽くショッキングなクルマでした。

どこから書いていったらいいでしょうか。でもこれは間違いのないところです。重厚で和やかで、全幅の信頼を寄せてしまっていい、そんなメルセデスは、華美ではないが当然にスウィートで、自然と平和な気持ちになる。どこかスウィートな感じがあるものです。ながらくそんなところがある種の美徳として備わっていたクルマなのだと思います。しかし、そういう既成概念でこのクルマを見ようとすると、かなり振り回される印象を受けたのは少なからず衝撃を受けた点であります。

エントリーモデルAクラス派生車種、いまではかなり充実していますね。以前GLA250は乗せていただいたことがあって、いい意味で随分古風なメルセデスだなあと感じたものでしたが、あれとは大きく異なるクルマだったと言えるでしょう。

そのGLAに搭載されている2000ccエンジンは360馬力を発生します。量産2000ccエンジン車では最高出力だそうです。ただ乗るとこのすごみを見せつけられると言うことはなく、ふだんから普通に街乗りもできるのは、ある意味において間違いなくメルセデスのメルセデスであるところなのではないでしょうか。

しっかり腹ごしらえをしてから乗ろう！

最近のダウンサイジングターボはアイドリング時には4気筒の粋を出ないパワー感のクルマも少なくありません。しかし、アイドリングストップから目覚めると、かなりにぎやかなエンジン音。全体的に騒々しい。でもこれはいいことだと思います。古来のメルセデス趣味の延長上のクルマではないのでしょう。しかし、それなりにAMGの派手な外観。それでいて十分なクリアランスと、絶対的に小さくないボディのハッチゲートを開けると荷物の積み降ろしもなかなか便利。案外実用にも応えてくれます。そして乗り始めたらこともなげにすごい加速をしてくれますし、燃費もそんなことを試しても1リットルあたり8キロ台は走る燃費はそれなりに良好。古来のメルセデスには希薄だった「しっかりと主張」するキャラクターを備えたクルマではないでしょうか。

しかし、このクルマに乗るときにはしっかりと腹ごしらえをしてから乗られることをお勧めします。かなりパワーもあり、各部分から伝わり聞こえるメカニカルな音も小さくない上に、なによりマイルドさが無いのは事実です。おなかがすいたままこのクルマに乗るとバテそうな気がしました。

でもそんな時に見つけた山間の道の駅で食べた、地元のお母さん特性のおにぎり。美味しかったなあ。だからやはり、GTではあるのだと思いました。

クルマを買うと言うことは「ひんしゅくを買うと言うこと」

これは常々申し上げていることです。何かとストレスの多い昨今。おつとめの方は右肩上がりの給与体系はもはや期待できない割に、要求してくるものは多いのではありませんか？ご自身で経営されている方はそういう方で、ライバルなどを考えるとリスクの割に利幅も取れず、そのわりに自分たちの独自性を前面に押し出すことも難しいなど、とにかく「割が悪い」わりに「リスクの高い」世の中で「ストレスを抱えながら」生きている方がおおいのではないでしょうか。そんな中で稼いだお金の中から至近を捻出して買うのが「クルマ」ではないでしょうか。

そう考えると「そんなクルマでいいのですか？」「貴方のなけなしのキンスで契約するクルマはその程度ですか？」そんな心配をしたくなるのです。家族から白い目で見られるかもしれません。親戚から「やあねえ」と言われるかもしれません。ご近所さんから色眼鏡で見られるかもしれませんが、それでも何か吹っ切れた、突き抜けている、あるいは「歌舞いたチョイス」しないのはむしろ勿体無い気がするのです。せっかく大枚をはたくのだから、そういう「顰蹙(ひんしゅく)の数々」を積極的に買いにいってでも、何かを突き抜けるようなエネルギーを感じる車選び、したほうがいいのではないか。常々そう思っているのです。

そういう点では、古来のメルセデスのキャラとはだいぶ違いますが、このクルマ、琴線に触れる方も少なくない気がしています。もし、事業が軌道に乗り、クルマを買おうとか思う若き裕福な自動車初心者の方がいたら、このクルマもご覧になってみていいのではないかと思うのです。奇をてらって買ってみても、あくまで実用性についての説得力を放棄していない点も、実はメルセデスのエッセンスかも。

新車で買える「健全な顰蹙」、今時こういうクルマはなかなかないのではないか。そう感じさせられた１台。是非一度お近くのメルセデスベンツのお店で直接見ていただきたい、1台でした。