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オーナーインタビュー

更新2020.03.02

人生の相棒「ローバー MINI カブリオレ」オーナー、合田佳弘さんへインタビュー

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野鶴 美和

今回は岡山県から。主役はローバー MINI カブリオレのオーナー合田佳弘(ごうだ よしひろ)さん、SNSでは「レッツGODA」として知られた存在です。

愛車「レッツ号」とは出会って20年を超えました。年式は並行輸入で国内に入ってきた年で登録してあり、平成5年式。エンジンは現在3基目で、MINI 1000のエンジンをツインキャブに変更したものを搭載。ポイントレス同時点火方式への変更などをおこない、雨に弱いウイークポイントを克服しているそうです。


▲愛車「レッツ号」と、洋服にプリントされたスヌーピーと同じポーズで。

筆者とはオープンカーミーティングでお会いして以来仲良くさせていただいています。不思議と話しかけたくなるオーラの持ち主で、取材当日も通行人に声をかけられて話しこむシーンがありました。もしかするとMINIカブリオレも、そんな合田さんの人柄に引き寄せられたのではないでしょうか。

合田さんの印象はサービス精神にあふれた、チャーミングな大人



▲脱着式のリヤキャリアは、キャンプ用具の運搬で大活躍。装着時は全長が車長の10%をオーバーするので、一度走らせるたびに警察へ申請が必要になるのだそう。

到着早々「まずはお茶でも」と、手際よくティータイムの準備を整える合田さん。トランクからは遊び心あふれるカトラリーやマグカップが登場しました。昔から遊び心豊かで、サプライズも大好き。お会いするたびにもてなしてくださり、思わずうれしくなる何かを準備してくださっているチャーミングな方なのです。


▲工具型のカトラリーやワッペンマグカップなど、小物の一つひとつに遊び心とセンスを感じます。


▲おしゃれなアンティーク・トランクはミニテーブルに変身。コタツの足を使った合田さんのDIY。

アウトドア用湯沸かし器であっというまに淹れた熱いカフェオレをいただきながら、先日遠征した「つま恋」のみやげ話や「24th JAPANミニDAY in 浜名湖」の写真を拝見しつつ、その流れでクラシックMINIの話になりました。

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幼い頃に見た真っ赤なクラシックMINIをきっかけに魅了される



▲合田さんのお宅にあるミニカーやグッズのコレクション。サーキット用ヘルメットにはホンダのステッカーが…。基本MINIひとすじですが、本田宗一郎の思想に胸を打たれ、実はホンダ好きでもあります。〔撮影:合田佳弘さん〕

合田さんのクルマ好きは、技師だったお父様の影響です。仕事柄メンテナンスを得意としていたお父様にひととおり教わり、いままで乗り継いできた愛車のメンテナンスもできるだけ自分でこなしてきました。「本当に気に入ったものを永く使う」というお父様の教えは、現在のカーライフにも生きています。

そんなお父様と幼いころに出かけた38年前のある日。合田さんの心を奪ったのが、目の前を駆け抜けていく真っ赤なクラシックMINIでした。

「MINIに関する知識や開発秘話を雑誌で勉強して、ますますMINIが好きになっていきました」と話す合田さん。中学生になる頃には専門誌『MINI freak』をバイブルとするクルマ好き少年に成長していたのです。

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▲さまざまな仕様の「MINIのミニカー」が並びます。〔撮影:合田佳弘さん〕


▲MINI カブリオレのデザインが施された時計は、見かけるとつい購入してしまうのだそうです。〔撮影:合田佳弘さん〕

ローバー MINI カブリオレ購入の顛末



▲「クラシックMINI乗り同士なら、初対面でもまるで旧知の仲のように打ち解けることができます。その理由は魅力やトラブルの苦労を分かちあえるからなんですよね」

さらに年月が経った1996年。家庭を持って父親となっていた合田さんは、ファミリーカーとしてホンダトゥディを所有。もちろん「一度気に入れば壊れても直して乗る」というお父様の教えにより大切に乗ってきたトゥディは11年目を迎えていました。交換部品も重要かつ高額な部分が多くなり、維持費の負担も増えつつありました。

合田さんはもし購入できるとすればMINIだと決めていたものの、当時人気だったユーノス ロードスターを見て、オープンカーへの憧れもじわじわ。そんなとき、バイブル「MINI freak」の中古車販売広告でMINI カブリオレ…現在の「レッツ号」と出会ったのです。

それはオランダの「キャブリオレ社」がオープンカーに仕立てた個体で、九州のショップにありました。当時の仕様はカリビアンブルーのボディに左ハンドル。価格は約190万円。当時の合田さんにとっては高額すぎるもので、そのときはすぐに諦めてしまいました。


▲限定車ポール・スミス用の七宝焼エンブレムを装着。センターのグレートブリテン島を形どったバッジはもともとリヤトランクに貼り付けるものでしたが、自作ステーを作成してグリルバッジに変身させました。

その2ヶ月後(『MINI freak』は隔月発行)。再び広告にあのMINI カブリオレが登場しました。しかも前回の価格より少しだけ、168万円に値下げされています。そしてさらに2ヶ月後、年末号で…なんと特価の145万円に値下げをされ「クリスマス特選車」として掲載されているではありませんか! 

これは最後のチャンスかもしれません。思いきって奥様に「145万なら軽のターボ車と同じくらいだし、買ってもいいかな?」と相談したところ「軽自動車を10年以上乗って節約もしてくれたから、今度は好きだったMINIを買ったらいいよ」との返事。合田さんはついにMINI カブリオレの購入を決めたのです。

当時、現車確認は写真のやりとりでおこなわれました。ショップからは車体の細部を丁寧に撮影した写真が何度も届きました。その結果、ファブリックのほつれや幌のスクリーンの黄ばみなどの劣化部分が判明し、修繕も含めた大幅な仕様変更をおこなうことになりました。

さらに、ボディカラーはMINI クーパーが復活時の新色だったタヒチブルーに全塗装。加えて左ハンドルを、右ハンドルへ仕様変更することに。

所有しているトゥディの車検が切れるまでまだ1年あったことから、時間がかかってもいいのでウデのいいファクトリーのもとで丁寧に作業をしてほしいと依頼。こうして1年近くの期間を経て、ついに合田さんのもとへMINI カブリオレが納車されました。その夜はうれしさのあまり、車内で眠ったそうです。

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最大のこだわりは「軽量化」



▲「1982年にチャールズ皇太子がダイアナ皇太子妃に贈った誕生日プレゼントが、このMINI カブリオレだったことがオーナーの自慢なんですよ」と合田さん。当時は「高価なゆりかご」と話題になっていたそうです。

合田さんのMINI カブリオレの最大のこだわりは軽量化。家族全員を乗せて快適に走ることと燃費の向上が目的です。屋根のないぶん、鉄骨を各所に追加溶接して車体剛性を上げてあります。よってベーシックなクラシックMINIの車重は620kgに対し、カブリオレは680kgと大人ひとり分ほど重くなっているそうです。そのためMINI カブリオレに合田さんファミリー全員が乗ると、自宅前の坂道をクリアできないという問題が発生してしまいました。


▲サーキット走行も楽しむ合田さん、サイトウロールケージ製の6点式ロールバー(ワンオフ)を装着。岡山から埼玉のショップまで自走したそうです。

そこでボンネットを軽量なカーボン製にしたうえ、リヤトランクリッドを市販のFRP製に。15キロもあったバッテリーは、わずか2.2キロのリチウムイオンバッテリーに交換しました。さらにバネ下荷重を軽くするため、ホイールメーカーの『ワタナベ』に特注した13インチのマグネシウムホイール※を履いています。
※取材当日は10インチのスタッドレスタイヤを装着

壊れないクルマなんてないのだから、好きなクルマに乗るという選択


こんなにMINIを愛している合田さんのことだから、手放すなんて1ミリも考えていなかっただろうと筆者は当然のように思ってきました。今回初めてお聞きしてみました。

「じつは一度ありました。それはBMWからNEW MINIが発売されたとき。家内に『部品を換えるくらいなら壊れないほうにしたら?』と言われて一瞬揺らぎました」とのこと。

「でも、どんなクルマでも古くなれば壊れるのだし、NEW MINIに乗り換えていた友達も高速道路上で動かなくなった経験をして『壊れるときは壊れるから、やっぱりクラシックのほうがいいね。50年以上も前のクルマが現役のほうがスゴイ』と言ってクラシックMINIに戻してました(笑)。そのとき、壊れないクルマなんてないのだから、好きなクルマに乗り続けたほうがいいんじゃないかと思ったんです」

NEW MINIに心が揺らいだのもきっと、趣味を理解して支えてくれた奥様の言葉だったからこそでしょう。

じつは「50年以上前のクルマなのに現役」という話にも根拠がありました。クラシックMINIは、なんと新品の部品が手に入るそうです。しかもJMSA※から純正部品よりも精度の高い日本製の部品が供給されています。極端に言うと、修理をするたび新車に近づくわけです。もしかするとクラシックMINIは、世界一ラッキーな星のもとにあるクルマかもしれません。
※全国のMINI専門店が加盟する組織


▲ポジションランプを点灯すると「ニッコリ」。まるでMINI カブリオレがスマイルを浮かべているかのよう。

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MINI カブリオレを輸入した本人と偶然出会う


さて、「人(オーナー)を選ぶクルマ」にはふさわしい逸話がつきものですが、合田さんも奇跡のようなエピソードをお持ちでした。

合田さんが今までいちばん印象的だった出来事は、MINIカブリオレを輸入した本人と出かけた先で偶然出会ったエピソードでした。

2014年。合田さんは遠征の道中で、神奈川県藤野町にあるパーキングエリアへ立ち寄りました。すると、ひとりの年配男性が合田さんへ近づいてきて言うのです。「そのMINIカブリオレは九州でお買いになったのではありませんか?」と。

合田さんの心臓が高鳴りました。聞けば以前、英国車を輸入する会社にお勤めで当時6台のMINI カブリオレの輸入を担当。合田さんの「レッツ号」はその6台のうちの1台だったというのです。MINI カブリオレが引き寄せてくれた縁なのかもしれないですね。

信頼のおける「主治医」に出会えるかどうかがカーライフを左右する



▲合田さんの通うファクトリー『萬治屋』は、ズラリと並んだMINIが目印。

インタビュー後に“主治医”のファクトリーへ行くと聞き、筆者も図々しくご一緒させていただくことにしました。愛車のメンテナンスを委ねる『萬治屋(まんじや)』は、合田さんが信頼を置くファクトリー。今回はリアキャリアの取り付け部分のヒッチメンバー補強と、エアコンON時にアイドルアップさせるパーツの取付をオーダーするとのこと。

英国ムードあふれるラウンジでコーヒーをいただきながら、萬治屋を選んだ経緯をお聞きしました。

「お付き合いはMINI カブリオレを買ってすぐですね。最初にどこで面倒を見てもらおうかと調べたら、MINIを扱うお店は岡山県に3店あって、そのうち英国車を専門にしているのは2店でした。そのうちクラブがあるのは萬治屋さんだけだったんですね。MINI仲間も欲しかったので、それじゃあ…ということで決めました」


▲待ち時間はゆったりとMINIの専門誌を読みながら。

「フィーリングが合うお店と出会えるかが、その後のカーライフを左右する部分は大きいと思っています。店によっては『ウチで(クルマを)買わないと診ない』という店もありますが、ここ(萬治屋)は分け隔てなく診てくれますから。そしてウデを持っているかどうか。面倒なことはしないという店も多いなか、ここは細部まで丁寧に作業をしてくれます」と合田さんは話しながら、レストア途中のMINIのボディに目をやりました。

合田さんの言葉に社長の萬治大志郎さんは、はにかみながらこう話します。

「合田さんは本当にMINIひとすじですよね。初めての作業も多いので、発見も含めて楽しんでやらせていただいています。配線が多いので苦労もありますけど(笑)」


▲クルマ談義で盛り上がる合田さんと萬治さん。

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思わず話しかけたくなるような、人生の相棒


「自分で面倒を見て、調子良く走ってくれたらすごくうれしい。冬の朝でも一発でエンジンが掛かると『今日は調子いいねぇ』と話しかけたくなるような、人生の相棒です」

まさに「愛車との対話」を見ているようです。手をかけるほど、走り以上の何かで返してくれる...合田さんと「レッツ号」の間には、人とクルマを超えた絆があるかのように感じてしまいます。


▲ファクトリーまで走っている際に撮影、合田さんの丁寧な運転が光ります。

余談ですが、発進からウインカーの点灯、停止まで、合田さんの運転操作の一つひとつが非常に丁寧でした。「介護タクシーの資格を取得しているから癖になっているのでしょうね。教官の言うとおりにしているだけですよ(笑)」と合田さん。言葉や所作の一つひとつに真心をこめている方だと思います。

また、Japan [ Classic MINI ] Charity Meeting、通称「チャリミー」と呼ばれる全国規模のオーナーズミーティングがあるのですが、合田さんはこのミーティングにスタッフとして参加しています。


▲10月23日に「ドイツの森」で開催されたミーティングにて。〔撮影:C.M.O.C 「縁」多賀浩さん〕

こちらは東日本大震災をはじめとした災害復興応援を目的とし、全国のクラシック MINIオーナーたちが開催するもの。交流を深めながら、募金やステッカーの売上金を義援金とするミーティングです。東海地区のひとりのMINIオーナーがSNSで呼びかけてはじまった“草の根運動”が現在は全国規模のイベントまでに成長。MINIオーナーの輪がひろがっています。

合田さんはこのチャリミーの中国エリア(岡山支部)管理人を務めています。他エリアの管理メンバーから「岡山でもやってみたら?」と奨められたことをきっかけに「中国エリア(岡山支部)」の立ち上げを決意したそうです。

チャリミーは(全国規模も含めて)春と秋の2回、ダムやテーマパークの一角を借りて開催されています。興味を持たれた方は、下記URLをぜひご覧ください。

●JAPANチャリティーミーティング 公式サイト
http://minijcmcm.wixsite.com/jcmcm

●岡山クラシックMINI チャリティーミーティング 公式サイト
http://p.mixi.jp/32spirit_in_action

筆者はオープンカー繋がりの仲間として楽しく交流をさせていただいてきたわけですが、今回初耳のエピソードも多く、合田さんのクラシックMINIへの愛情の深さは感じ入ることばかり。非常に楽しく濃い一日を過ごさせていただきました。可愛い「レッツ号」とこれからも最高のカーライフを!

【取材協力】
MINI専門店の萬治屋
住所:〒701-0163 岡山県岡山市北区中撫川403-3
TEL:086-250-7003
営業時間:10:00~20:00
定休日:水曜日
URL:http://www.manjiya.co.jp/


▲「あなたのMINIの困りごと、なんでもご相談ください」と社長の萬治さん。エンジンからレストアまでこなす、MINIオーナーのあいだでも評判のショップです。「正直な商売をしていて、お客さんを大切にしているお店ですよ」と合田さんも絶賛。

[ライター/野鶴美和]

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