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オーナーインタビュー

更新2023.11.22

愛車はMT・ナビ無し!「ポルシェ ボクスター」オーナー 釜谷まりんさん・あすりさんへインタビュー

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中込 健太郎

「ありゃ、きっとブリュンヒルデの生まれ変わりに違いない」


愛車はMT・ナビ無し!「ポルシェ ボクスター」オーナー 釜谷まりんさん・あすりさんへインタビュー

日曜日の朝、みなとみらいのカフェで話を聞き終え、クルマを伊勢佐木町の方に走らせているとき、わたしは、ある種の確信のようなものを持って、そんな風なイメージがわいてきました。ブリュンヒルデは北欧の神話に登場する人物で、ワーグナーの楽劇「ニーベルングの指輪」では主神ヴォータンと知の女神エルダの間に産まれた女性で、グラーネという愛馬をよく駆っています。若人の志は決然としています。知的でアグレッシブな彼女だからそんなことを彷彿とさせたのかもしれません。

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私は常々、男の方がクルマ好きは多いですが「オトコは適当に好きなクルマに乗っていればいい」と思っています。シノゴノ言ってないで、その前にあるクルマに「あなたは乗るのか乗らないのか」突き詰めると問題はその一点に尽きると思うのです。ただ、さほどクルマにはこだわらないという人も少なくない女性にこそ「服を選ぶ時のあの絶妙な選定基準でクルマを選んでほしい」と思うのです。クルマは洋服の上に羽織るコートのさらに外側で、大きく目立つ存在です。そしてもともとメカニカルである種男性的な要素を多く含んでいます。(イタリア語など、クルマは女性名詞になっている言語もありますが、ああいうのは「男性から見て」そうなったのではないか、そんな風に踏んでいます。)そのコントラストを「意識して魅せる」ことに注意しだしたら、街角のクルマ大好き少年が喉を枯らさん勢いで御託を並べたところで、歯が立たない話に違いない、そんな風に思っているのです。

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そんな歯が立たない黄色の987、ボクスターにマニュアルで乗る釜谷まりんさん(写真左)、と妹さんの釜谷あすりさん(写真右)にお話を伺いました。実は別の機会に、モデルでダンサーとしても活躍されている釜谷あすりさんに取材させて頂く機会がありました。いろいろとクルマのお話を伺っていくうちに、「姉がボクスターに乗っていて」という話になり、今回取材させていただく運びとなりました。

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はじめて運転したのはドバイの砂漠で・・・


「そんなにマニアという感じではありませんでしたが、父が好きだったもので」
現在医学部に通う大学生のまりんさん。そんな感じでクルマとのことを話し始めてくれました。父の薫陶は大切なのですね。「マニュアルとはいえ、やはりポルシェだからなのかなあ、アクティブなお嬢様・・・」そんなステレオタイプな目算が頭をよぎるかよぎらないかというころから、あらゆる先入観や、彼女からお見受けする印象は音を立てて崩れ落ちていくことになります。「父は様々なクルマに乗りました。30台ほど、フェラーリやBMWなども乗りましたがポルシェが好きで、そんなこともあったかもしれません。」この黄色いボクスターは、右ハンドルのマニュアル車ということで探していた中でたまたま見つかった個体なのだそうです。アルファロメオなどもありましたが、機械的な信頼性と「クルマの挙動を汲み取れるようになる練習ができる方がいい」というお父様の推薦もあって、5年ほど前に30,000キロを刻んでいないかなり程度の良好な2006年式を購入し、現在40,000キロを超えたところとのこと。

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しかし、だからといってマニュアルのポルシェ、それを乗りこなすことに躊躇なかったというのはかなりクルマも、運転も好きに違いありません。そう大学に入ったばかりでクルマに感化されるものでしょうか?「はじめてクルマを運転したのは中学3年生のときなんです、ドバイの砂漠でトヨタの4輪駆動車に乗りました。」以来、お父様の影響もあり、クルマを思い通りに操ることへの興味が根強く育まれていったのでしょう。ただ、免許を取ったばかりのころはお父様を隣に乗せ、鎌倉の奥で「坂道発進」の特訓にべそかきながらいそしんだことも。「かまくらの半クラ」それはなによりの練習になるでしょう(笑)父の言う通りも楽なことばかりでもなかったようです。

ポルシェである前に「愛車」


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ボクスターは現在通学にも使う大切なアシで「第三京浜で環八を通り用賀から首都高に乗って・・・」思わず割って入ってしまいました。「横浜青葉で良くないですか?」すると「第三京浜が好きなんです」そのまったく理詰まっていないのだけれど、どうしても通りたい道というのはありますよね。何となくわかります。現在大学で自動車部に属し、日々ドライビングテクニックも磨いているまりんさん「ジムカーナに出る時はPSMを解除します、よく回るなあ、と。」そりゃそうだと思います(笑)A級ライセンスも取得、サーキットもよく走るのだそうです。今では大学対抗のカートレースのレディス部門で優勝するまでに。ただ、「スポーツ走行命」かというとそうばかりでもないのが彼女「やはりオープンカーですから屋根はよく開けます」夕方以降や、冬場、シートヒーターをつけてのオープンンは最高だといいます。クリスマスのイルミネーションツアーは毎シーズンの楽しみなのだとか。「サンタ帽をかぶって女友達と表参道から西麻布を抜けけやき坂、東京タワー経由でお台場というルートが定番コース」なのだそうです。東京の年の瀬の風情も感じながらゆったりと走れる道ですね。

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女性とお話ししていると、道に関して曖昧なことが多いように思いますが、彼女のやけに「シュア」な土地勘について訪ねてみると「実はナビがないのです。父に地図を渡されて自主経路設計をずっとやっていたもので、自然と組み立てられてしまうのです」ポルシェのインパネにモニターは似合わないとも言いますが、あの自主経路設計、今では「教習所でしかやらない」という人も少なくないのでは。やはりアレは効果があるのかもしれませんね。また走る為なら燃費は二の次?「よく気にしています。街中だけで7キロ/リットル、高速道路だと10キロ/リットルを超えることも」完全に良きパートナーといった感じですね。

「好きは好きだけど大学に入って自分でクルマを使うようになってから明確に自分の問題としてクルマと向き合えるようになりました」そして「医学部に通い、女子大生がお飾りでポルシェに乗ってる、と思われるのは自分自身いやだし、なにより、進めてくれて買ってくれた父にも申し訳ない」と言うとき、彼女の眼差しにはある種の鋭さがありました。だからこそ基本は「一人で乗る」のだそうです。「女性だから2人乗りの空間に誰でも彼でも乗せるのは不安があるというのもあるのですが、ギヤを入れた時の『カチャ』という感触がクルマと語り合っているようで好きです」というまりんさん。「よく、マニュアルって大変?サーキットってどのくらいスピード出すの?とか聞かれるのですが、クルマの運転って実はすべてエンジンの回転数ですよね」とトークがオーバーレヴに達したまりんさんは「“ぶん”って音聞いてクラッチつなぐ、というか・・・」というときに腕をタコメーターの針のように動かすジェスチャーまでつけて付け加えてくれました。「音でだいたいわかりますよね」と話す彼女の笑顔はまるで少年のようでした。

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姉妹から高評価のクルマは「ハイエース」!?


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まりんさんのジェスチャーまで飛び出したところで、とれだかは優にOKなのですが(笑)せっかく姉妹で来てくださいましたので、ダンサーとしても活躍する妹のあすりさんにも少しお話を。「なんというか『カーライフ』はしたいんです。クルマがあるからこそできる暮らしと言うか。でも、音で回転数を把握するとか上手くできなくて、普段は仲いいんですけど姉妹で喧嘩になりそうで」だからオートマチックのボクスターなら、と思うこともあるそうです。ただ、ご自宅にはマリンスポーツに行くとき用にハイエースがあったことがあり「あれは運転しやすかったです」とのこと。「母と普通に買い物行くのに乗っていきました。なんだか端から見ると引っ越しのためにレンタカー借りてきたふうに見えたかも。」というあすりさんにお姉様が続きます。「わたしも友達と東京ディズニーリゾートに深夜に前乗りして、うしろで寝て朝一から満喫したことがありました」お姉さんがお姉さんなら、妹さんも妹さんという感じでしょうか(笑)あらゆる方向に隙がない。「クルマは○○じゃないと」とか狭量なことを言っている自称クルマ好きの皆さん、私も含めてですが、猛省を促されたような気がしました。

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最後にこんな環境でカーライフを満喫している釜谷まりんさん、将来はばりばりドクターとして東奔西走されたいのですよね?「わたしは、医者であり、母であり、妻であり、一人の女性でいたいんですよね」女性として生まれた以上、それを貪欲にも妥協せず全部味わいたいという彼女のポジティブな姿勢は、自分で思い思いにクルマと向き合い、道と向き合いながらギヤを選んで主体的にポルシェを走らせることに似ているのかもしれません。

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大きなお父さまの存在があって愛馬と駆ける彼女は、だからブリュンヒルデと符合するのです。しかしこの人のコ・ドライバーに立候補するのも一筋縄では行かなそうですね。ブリュンヒルデもヴォータンによって火を放たれ、そこから助け出した「恐れを知らない男」と結婚させられることになっていますが(笑)

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最後に「他に何か欲しいクルマ、憧れのクルマは?」と聞くと「今のところありません」とのこと。他に代えがきかない感じがあるのです。ガレージハウスに憧れがあって、そこにいつまでも保存しておきたいとのこと。クルマっていいよなとも思うし、こういう人がいれば安心だ、そう思いました。もしできたら、10年後、20年後、黄色の987とどんなふうに過ごされているのか、今から楽しみで仕方ないオーナーインタビューでした。

[ライター/中込健太郎 カメラ/江上透]

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