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オーナーインタビュー

更新2018.07.22

2台のロリンザーと暮らす喜び「メルセデス・ベンツ190E 3.0ロリンザー」タイプI&タイプII(W201)オーナー、木下さんにインタビュー

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松村 透

1台のクルマを所有したことがきっかけとなり、その後のカーライフに大きな影響をおよぼすことがあります。しかも、そのクルマが謎めいたヒストリーを持つものだったとしたら…?

今回は、極めて珍しいメルセデス・ベンツ ロリンザー コンプリートカーを2台も所有するオーナー、木下 修一さんをご紹介いたします。

── オーナー紹介&どんな仕事をされているのですか?


2台のロリンザーと暮らす喜び「メルセデス・ベンツ190E 3.0ロリンザー タイプI&タイプII(W201)」オーナー、木下 修一さんにインタビュー

食品関係の製造販売業を営んでいます。

2台のロリンザーと暮らす喜び「メルセデス・ベンツ190E 3.0ロリンザー タイプI&タイプII」オーナー、木下 修一さんにインタビュー
▲木下さんのガレージには2台のロリンザーコンプリートカー、それも3.0リッターが仲良くならんでいます

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── 現在の愛車について教えてください


2台のロリンザーと暮らす喜び「メルセデス・ベンツ190E 3.0ロリンザー タイプI&タイプII(W201)」オーナー、木下 修一さんにインタビュー
▲左:メルセデス・ベンツ190E 3.0ロリンザー タイプI、右:メルセデス・ベンツ190E 3.0ロリンザー タイプII

1台目は1988年式メルセデス・ベンツ190E 3.0ロリンザー タイプI(1989年登録)です。1995年に購入して以来、ずっと所有しているクルマです。2台目は1990年式メルセデス・ベンツ190E 3.0ロリンザー タイプII(1991年登録)です。こちらは昨年購入して、1年ほど掛けて修復してここまできました。ようやく走れる状態になり、これから内装に手を入れるというところまでこぎつけました。車検取得までもう一息といったところです。

── 現在の愛車を手に入れたきっかけを教えてください



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●メルセデス・ベンツ190E 3.0ロリンザー タイプI(以下、3.0ロリンザー タイプI)
当時、属していた地域団体の飲み会の席で隣になった方から、奥様用のクルマを乗り換えたいと思っているという話しを伺ったんです。以前からこのクルマの存在は知っていたんですが、ちょうど私も趣味として楽しめる一台を探していたタイミングで、こちらの予算と先方の希望価格がほぼ合致したんですね。メルセデス・ベンツのなかでも190シリーズはコンパクトなクルマですが、この3.0ロリンザーは重厚感があり、タダモノではない雰囲気を醸し出していたこともあり、その場で即決してしまいました。それがロリンザーとの出会ったきっかけなんです。

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●メルセデス・ベンツ190E 3.0ロリンザー タイプI(以下、3.0ロリンザー タイプII)
1995年に手に入れた3.0ロリンザー タイプIをリフレッシュしながら所有しているうち、部品のストックが増えてきました。もう1台、別のクルマを手に入れて自分好みに仕上げようと思っていたとき、インターネットにこの3.0ロリンザー タイプIIが部品取り車としてアップされていたんです。せっかくのロリンザーコンプリートカーが部品取り車としてバラバラにされてしまうのは忍びない。売り物は遠方にあったので、知人を介して目利きができる方に直接現車確認をしてもらったところ、修理していけば何とか乗れそうだと連絡をいただいたき、購入を決めました。実は、20年近く行方を探し続けていた個体そのものだということが分かり、不思議な縁を感じましたね。

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── 愛車遍歴と輸入車に興味を持ったきっかけを教えてください


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▲動きが独特。懐かしの1本ワイパー

運転免許を取得してからこれまでの愛車遍歴は、現在所有している2台のロリンザーを含めた計4台です。最初の愛車は日産ブルーバード(U11型)でした。これを3ヶ月で廃車にしまして…。その後、同型同色のブルーバードを手に入れ、12年くらい乗りました。もともと、いつか高級車、それもメルセデス・ベンツに乗ってみたいという思いはありましたが、私には手が届くとは思っていませんでした。そんなある日、ふとご縁があったのが3.0ロリンザー タイプIだったいうわけです。

── 3.0ロリンザー タイプIを手に入れるまで輸入車に乗ったことは?


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▲木下さんのガレージには、メルセデス・ベンツやロリンザーなどに関連したアイテムが多数飾られているのです

助手席も含めてありませんでした。日本同様、ドイツも物づくりの国というイメージがありましたから、きっと「イイモノ」なんだろうというイメージ、そして期待感がありました。

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── 初めて3.0ロリンザー タイプIに乗ったときの印象を覚えていますか?


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▲木下さんが大切に乗っているお陰で、30年近く前のクルマとは思えないコンディション

ブルーバードと比較して「小さいクルマだな」というのが正直な印象でした。しかし、乗ってみてすぐに堅牢な造りや何ともいえない安心感を味わえましたね。あきらかに日本車とは違うと感じました。より、機械を操っている感覚が得られたように思います。

── どんなときに愛車に乗りたくなりますか?


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▲タイプIIの内装は、すでにレカロシート(LSをベースにアルカンターラに張り替えたもの)が準備されています。木下さんの手によりこれからさらに磨きが掛けられていくのでしょう

仕事を終えて、夜、気分転換に近所をひとまわり…という乗り方が多いです。私はお酒を嗜まないので、皆さんが飲んでいる時間を走ることにあてています。お風呂から出て、家族が寝静まったころにふらりと出掛けます。クルマに乗れないときでも、ガレージ行ってクルマを眺めたりもしますね(笑)。

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── 2台のロリンザーコンプリートカーの仕様を教えてください



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●3.0ロリンザー タイプI
リアフェンダーはロリンザーのワークショップにて深リムホイールを履くために叩き出してあります。また、ワイドフェンダー・ケプラー製のボンネット&メルセデス・ベンツマニアのあこがれSECマスクが装着されています。その他、レカロシート(LS)を2脚組み込みました。ホールド性を重視して、運転席のみ座面をSR-3用に交換してあります。シートレールを加工して、着座位置を可能な限り下げました。その他、フロントリップスポイラーをメルセデス・ベンツ190EエボリューションIの形状をモチーフに自作して取り付けました。実はサイドステップは流用なんですが、エッジラインを合わせるため自分でパテを盛り自家塗装、スムージング化して取り付けてあります。その他、エンジンルームのエキマニをタコ足化したり、フロントフェンダーラインをさりげなくワイド化してあります。20年掛けて、自分としてはほぼ完成形の粋に達したかなと思います。今後はブッシュ類や定期交換部品にお金を掛けていきたいです。

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●3.0ロリンザー タイプII
もともと、部品取り車として販売されていたクルマです。手持ちの部品を組み込んだり、走れる状態にするべく、修復に時間を費やしているところです。

── 手に入れて良かった点、苦労している点を教えてください



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●3.0ロリンザー タイプI
・良かった点
人が乗っていないクルマを所有できたことです

・苦労している点
ありません!これまで大きな故障もありませんし、部品の調達もなんとかできます。

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●3.0ロリンザー タイプII
・良かった点
国内にはほとんど生息してない(当時、国内登録3台と思われる)クルマを手に入れられたことです。2台のロリンザーコンプリートカーが自分のガレージにあることは幸せだと思います

・苦労している点
今のところありません!

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── ロリンザーの好きなところを聞かせてください


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▲ふとしたきっかけで日本屈指のロリンザーフリークとなった木下さん。貴重なアイテムも多数保有しています

主張が控えめでありながらお洒落に乗れることでしょうか。

── ロリンザーのコンプリートカーを手に入れたことで得た知識や情報もあるようですね?


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▲ロリンザーが製作した当時のカタログ。きれいに保管されており、コンディションは極めて良好。ロリンザーのカタログには190E(W201)タイプIとタイプIIの2台の車両(デザインの過渡期なのか、スポーツとエレガントの2タイプ)が、木下さんのガレージに収まっているのは偶然か、それとも奇跡か?

そうなんです。自分の手に入れたクルマが本当にコンプリートカーなのか?確証を得るべく、ありとあらゆる方法で調べつくしました。翻訳ソフトなどを駆使してロリンザー本社に問い合わせたりもしました。また、共通の知人を介して、私よりも語学が堪能なドイツ在住の方を通じてロリンザー社に問い合わせてもらいました。その結果、以下のようなことが分かったんです。

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●3.0ロリンザーのスペックに関して
ロリンザー本社倉庫や取引先含めて調査を依頼した結果、メルセデス・ベンツ・クラシック/ロリンザーフォーラムなどドイツ・イギリス中心に調査した結果、関する情報は得られず。

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▲ロリンザーが製作した300Km/hメーター。コンパクトなボディーに3リッターエンジンは充分すぎるほどのパワーを発揮。よって、このメーターも、伊達ではなく必要な装備なのです

●木下さんが所有されている個体について
当初ロリンザーのカンパニーカーとして購入/使用されたメルセデス・ベンツ190E 2.6Lだった。通常の2.6Lエンジンを購入→その後、ロリンザーのワークショップで3.0Lにグレードアップしてカスタム→そのまま販売されたという経緯が判明。それが私の個体のオリジナルの書類に2.6Lで書かれている理由だった。

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●3.0ロリンザー生産台数に関して
この個体は、ロリンザー本社工場にてコンプリートカーとしてカスタムされたことが判明。ほとんどの190Eを本社でカスタムをしていたようだが、一部はカスタム前に世界各国のロリンザーディーラーや提携先に出荷してしまったため、果たして何台のコンプリートカーが最終的に生産/販売されたのか正確な数は分からない(ロリンザー側でも把握できていないので、公式にははっきり言えない)とのこと。
※木下さんの推測によると、3.0ロリンザータイプIIにはコーションプレートが装着されており、190クラス生産終了までには50台ほど生産されたかどうか?とのこと。なお、日本国内で1990年に2台の個体(30番台の連番)が登録された模様。

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●木下さんが本国に直接問い合わせして装着を希望したコーションプレートに関して
新旧倉庫を探してもらったところ、在庫は残っていないために発行することができないという回答だった。

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── 予算抜きで、欲しいクルマBEST3は? (上がりの1台も含む)


→3位.BMW 2002ターボ 初のターボカー。生まれた時代も同じ。お金があれば買いたかった
→2位.ランチア ストラトス
→1位.デ・トマソ・パンテーラ スーパーカー世代ど真ん中
→上がりの1台(ご自身にとって究極の1台とは?)
190Eロリンザーの新車があれば乗りたい。フィーリングを味わいたい あれこれ調べてきて良さが分かっている

── あなたにとって、愛車はどんな存在ですか?


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リアスポイラーもロリンザーのオリジナル!そして、美しく輝く3.0のエンブレムが誇らしげだ

「すべてにおける活力源」です。2台のロリンザーコンプリートカーの存在が、生活や仕事の張り合いになっていることは確かです。苦労の末に手に入れたので、手放せません。私が仕事で使う機械は、独自にカスタマイズすることでより使いやすく、便利になります。カスタマイズの作業は自分で行ってきました。その経験がクルマいじりにも活かされていると思います。可能な限り、できるだけ自分で面倒を見てあげたいですね。

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── 補足:2台のロリンザーコンプリートカーを所有する木下修一さんにお会いしてみて


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▲当時のパーツリスト。これもかなり貴重な一品

現在はもちろん、当時から極めてレアな存在であったロリンザー コンプリートカー。筆者もはじめてこの個体を拝見したときは「ロリンザーのコンプリートカーが日本にもあるんだ!」とかなり驚きました。

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▲ガレージの近くには、部品取り車の190Eの姿も

ロリンザーとの縁はふとしたきっかけだったかもしれませんが、自分自身の愛車が本当にコンプリートカーなのか?どんな仕様が造られていたのか…等々、あくなき探究心でロリンザーのことを調べ上げた木下さん。気がつけば、日本屈指のロリンザーフリークとなっていたわけです。

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2台のロリンザーと暮らす喜び「メルセデス・ベンツ190E 3.0ロリンザー タイプI&タイプII」オーナー、木下 修一さんにインタビュー
▲洗車や工具など、あらゆる部品がそろっている木下さんのガレージ。本業で使うものも含まれており、公私ともに大切な工具です「

「やがては子どもに譲ってもいいし、大切にしてくださる方がいらっしゃれば乗っていただいてもいい」と語る木下さん。このクルマの価値を理解され、後世に残していきたいという熱い想いを感じました。

そんな木下さんのガレージで暮らす2台のロリンザーコンプリートカーは、自分たちが安心して暮らせるオーナーを選んだのかもしれません。

── オーナープロフィール


2台のロリンザーと暮らす喜び「メルセデス・ベンツ190E 3.0ロリンザー タイプI&タイプII(W201)」オーナー、木下 修一さんにインタビュー

お名前:木下修一さん
年齢:51才
職業:自営業
愛車:メルセデス・ベンツ190E 3.0ロリンザー タイプI & メルセデス・ベンツ190E 3.0ロリンザー タイプII
年式:1988年製造(1989年登録) & 1990年製造(1991年登録)
ミッション:いずれも4速AT
[ライター・撮影/江上透]

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