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メンテナンス

更新2016.04.26

なぜ外車の車検代は高いのか?輸入車ディーラーと主治医の違い

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松村 透

新規登録車は3年、それ以降は2年ごとに実施する法定2年点検および車検。この時期が近づいてくると、どこで車検を通すか、いっそ自分でやってしまおうか。それとも乗り替えようかと思案する方も少なくないはず。

クラシックカーおよびネオクラシックカーと呼ばれているような、ひと昔もふた昔も前の愛車を所有している方なら、安心して任せられる主治医にお任せというケースもあるかと思います。または、ユーザー車検で対応している方も。

何となく‥あるいは経験上「外車の車検は高い」というイメージはありませんか?では、なぜ高いのでしょうか。また、実際に輸入車ディーラーに車検を任せている人の割合はどれくらいか?下記にまとめました。

外車の車検代が高い理由-設備投資


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主な設備投資
1.ディーラーの敷地確保
正規ディーラーを構えるにはさまざまな規定があります。本国が定める基準を満たす展示スペースを確保するためには、それなりの用地を確保しなければなりません。その他、整備工場や駐車スペース…。また、クルマの往来が多い国道沿いなど、クルマでのアクセスが便利な場所を確保することも重要です。

2.新車整備センター
海外の工場から船積みされた正規輸入車の多くは、いったん日本国内にある新車整備センター「Vehicle Preparation Center、通称”VPC”などと呼ばれます」に持ち込まれます。

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ここでクルマの状態をチェックし、場合によっては補修作業を行います。実際、ここで働く方に話しを伺ったことがあるのですが、日本人の新車に対するチェックは厳しい(特にキズ)ようです。日本車の高品質さは、こういった厳しい環境ゆえに形になったといえそうです。

最近は新車整備センター内を回れるツアーなども組まれています。自分の愛車や気になるメーカーの新車整備センターの敷地を見るのは、クルマ好きならずとも、親子でも楽しめるはずなので、ぜひ参加してみてください。

▼メルセデス・ベンツ 豊橋新車整備センター
http://mb-live.jp/campaign/ca_toyohashi_vpc_150223.html

(募集終了していますが、今後の参考までに掲載しておきます)
▼「Volkswagen Group Japan 豊橋本社ツアー」のご案内(募集終了)
http://www.volkswagen.co.jp/ja/volkswagen/events/2016/0328.html

(4月26日追記)
▼「Volkswagen Group Japan 豊橋本社ツアー」のご案内 2016年5月27日(金)~28日(土)1泊2日
応募期間:2016年4月25日(月)~5月1日(日)
http://www.volkswagen.co.jp/

3.パーツセンター
現行だけでなく、過去のモデルを含めて、膨大な純正部品をストックする大型の倉庫が必要です。それがパーツセンターです。もちろんすべてのパーツを保有するわけではなく、必要に応じて本国から送られてくるものもあります。こういった輸送コストも価格に反映されてしまうのはやむを得ないことです。

4.専用工具
通称、SST(Special Service Toolの略)と呼ばれる特殊工具。車種などによってさまざまな工具が用意されています。街の整備工場のオヤジさんが、自身が使いやすいように造ってしまうこともあります。こういった、メーカーが用意した専用の工具が揃っているのも正規ディーラーならではの強みといえます。

5.各種ツール(DMを含む)
ディーラーから送られてくる「車検が切れる1カ月前であることを知らせるDM」。これもディーラーにとっては、インポーターから購入しているケースが大半です。個人情報保護への配慮から、圧着ハガキで送られてくる場合もあります。当然、通常の官製ハガキよりも高額です。

余談ですが、クルマのカタログもインポーターから「買っている」のです。高額なクルマになるほど装丁も豪華になります。当然、単価も跳ね上がり、ちょっとした専門書を買うくらいのものもあります。筆者の自宅でも、若いときに集めたカタログを保管していますが、当時、買えるはずもない10代の若者にスカイラインGT-Rのカタログを快く渡してくれた日産プリンスの方に、改めてお礼をいいたい気分です。

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外車の車検代が高い理由-人的設備


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●技術トレーニング
次々に発売されるニューモデルや、新しい技術など。正規ディーラーのメカニックやサービスフロント(サービスアドバイザーなどと呼称する場合も)は、インポーターが主催するこれらトレーニングを受講しています。カリキュラムは細分化されており、知識や経験度合いに応じたノウハウを身につけていきます。

●人件費そのもの
メーカーや立地によって異なりますが、正規ディーラーを運営するには、それに応じた人員が必要です。セールス、メカニック、サービスフロント、ショールームレディ、事務職…等々。ユーザーにとって気持ちの良い接客やおもてなしをするためのトレーニングも行っています。

常時更新される最新の情報と技術と享受できる「安心料」こそが、正規ディーラーに愛車を預ける大きなメリットといえそうです。

では、実際の入庫率はどうなのか?


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ここでは実際のデータを参考にしてみてください。


「車検利用実態調査」2015年5月のデータ
出典:ジーエフケー・ライフスタイルトラッキング・ジャパン株式会社

■メーカー系列カーディーラーでの新車購入者におけるカーディーラーへの車検入庫率は、国産車は71%に対し外国車では82%

【国産車・外国車の車検入庫状況の違い】
新車をメーカー系列ディーラーで購入した消費者のうち、直近の車検をカーディーラーで受けた割合(車検入庫率)は国産車では71%であったのに対し、外国車では82%に達した。その一方で、カーディーラーが新車販売時に設けている車検メンテナンスパックの加入率をみると、外国車は52%と国産車(55%)をやや下回った。また、2年後に迎える次回車検時も同じ依頼先を利用したいかを尋ねたところ、国産車購入者のうち71%が次回も利用意向を示したのに対し、外国車購入者では65%にとどまった。外国車購入者は現在の車検先として多くがカーディーラーを選択しているものの、カーディーラーへのロイヤルティーは国産車購入者ほど高くないことが伺えた。


※筆者の認識では、新車で購入したユーザーも、各種保証が切れる5年以降は入庫率が下がる感覚です。7年以降はさらに下がります。

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では、街の整備工場ならではの優位性とは?


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紹介や、友人・知人が勤めている(経営している)場合なら、マニュアル通りにならざるを得ないディーラーの対応に対して融通が利くだけでなく、総じて費用が抑えられるのも大きな魅力です。

ただし、新車で購入したクルマは、できるだけ同じところで点検整備を受けた方が良いというのが筆者の経験上の考えです。人間でいうカルテ(整備履歴)がきちんと残っているからです。私の知人は、新車で購入したときからメンテナンスを任せているメカニックの「おっかけ」をしています。担当のメカニック氏が勤務しているディーラー網のなかで移動があるため、知人もそれに応じて預けるディーラーを変えているそうです。

輸入車ディーラーでは、古いクルマを整備できる人(ノウハウ)がいない場合もある


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正規ディーラーでは対応できないこともあるのがこのケースです。技術を持っていた人が退職したり、引退してしまったり、さらには途中でインポーターが変わってしまったり…。そこで頼りになるのが、街の整備工場や看板すら掲げていない「知る人ぞ知る」工場の存在です。

経験やカンが(センスも?)求められる世界ほど、いざというときに頼りになる主治医の存在ほど心強いものはありません。日曜日に出先でクルマが故障して、数時間後には文句一ついわずに積載車で迎えに来てくれたときは神に見えた・・・。筆者も経験がありますが、こういった付き合いは正規ディーラーではなかなか難しいものです。

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ディーラー整備と街の修理工場では査定額が違う都市伝説は本当か?


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都市伝説めいているので、前述のカレント自動車のA氏に聞いてみました。

「確実にプラス査定になるとは言いきれませんが、プラスの要素には充分なりますよ!」とのことでした。

手放す直前までディーラーできちんとメンテナンスをしている=きとんとお金を掛けている(丁寧に乗っている)印象を持つそうです。

では、これが街の修理工場だとマイナスなのか?というと、もちろん「No」です。いかに「そのクルマの整備記録簿がしっかり残っているか」が最重要とのことです。自分が中古車(絶版車)を選ぶときに、この記録簿がしっかりしていればいるほど安心ですよね。筆者もユーノスロードスターを手放す際、自分が点検整備をお願いした分の明細はすべて残しておきました。次のオーナーさんに引き渡す際も、原本をすべて添付しました。次の主治医の方が、点検整備する際、どこから手を付ければよいかの判断基準になると思ったからです。1日でも長く、元気な状態を維持して欲しいですし。

カレント自動車のA氏曰く「ディーラーは大きな病院」、「街の工場は町医者」といった感覚で接するのがよいのでは?また、比較的小規模な町工場の方が、ディーラーよりも、メカニックの裁量や考えが反映しやすい点も見逃せません。・・・とのことでした。この例えには筆者も納得しました。

車検を行うのは、新しいクルマは正規ディーラーへ。クラシックカーおよびネオクラシックカーは主治医(街の整備工場や看板すら掲げていない「知る人ぞ知る」工場)へ。これがこの記事の結論です。ユーザー車検もありだと思いますが、やはり頼りになる主治医は必要だと考えます。

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