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メンテナンス

更新2018.09.19

真の試練の始まり!「スバル360」ボディレストア後の苦難とそこから学んだこととは

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鈴木 修一郎

また、久しぶりに自分のスバル360の事について書こうと思います。

前回、真の試練の始まりはボディレストアが終わってからだったと締めましたが、納車当日、当時筆者の職場はガレージプレアデスの近所だったので、自分のスバル360を受け取った後、所用で職場に戻りました。そして職場の前の敷地にスバル360を止め、すぐ戻るつもりでドアを開けたまま降りたときのことでした。

ボディレストア後のスバル360


ご存知の方も多いと思いますが、スバル360のドアは乗降性を重視した後ろヒンジ前開きドア。ヒンジもごくシンプルなもので、ストッパー機構は無く、Bピラー付け根にゴムベルトのストッパーがあるだけなのですが…、なんとプレアデスのミスでストッパーゴムの付け忘れがあり、上りのスロープに停めたスバル360のドアはそのまま、本来のドアの開度を通り越してリアクォーターに接触という事態に…。この時はドアの調整も含めてクレーム処理で、ということになったのですが、なんとも幸先の悪いスタートでした。

現在写真は残っていませんが、この時ジェネレーターをダイナモからACオルタネーターにしたりもしました。



レストア後初のロングドライブは、当時出入りしていたチャットルームのOFF会の東京都北区にある飛鳥山公園のお花見OFF会。首都高速道路を走るのはこのクルマはもちろん、筆者もはじめての体験でした。とはいえまだ内装が出来上がっておらず、暫定的に取り付けた部品取り車から外したフロントシートのみでリアシートもまだつけていなかったのですが、リアシートのシートバックが遮音材としても機能していたようで、4時間も常時4000~5000rpmで回るエンジンの轟音にさらされているのは堪えました。

ところがこの時、ふとドアウィンドーの外を見ると、ドアパネルに一か所塗装したばかりの塗膜にクラックが入っていることに気づきます。その数か月後にはフロントノーズにもクラックと変色が発生(後でわかったのですが、パテの厚盛が原因だったようです)したりと、早くも暗雲立ち込めるものでした。

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レストアから更に2ヶ月後、エンジンに異変が!?


そしてレストアから2か月後、名古屋高速を走行中のことです。突然エンジンルームから耳をつんざくような金切り音と失速、どうにかギアをニュートラルに入れ惰性ですぐ近くのインターから降りてJAFのロードサービスを呼ぶことに。ようやく手元に戻ってきたと思った矢先、今度はエンジンブローで再び終わりの見えない修理に茫然と立ちすくむことに…。

ちなみに後年になって知ったのですが、スバル360のキャブレターには冬用ジェットと夏用ジェットがあり、整備書やオーナーズマニュアルにはカブり防止で燃調の薄い夏用ジェットを使用する事が指定されています。当時はその通りに夏用ジェット、冬用ジェットを使い分けていたのですが、実はこの燃調の指定は当時の街中のスピードレンジ30~40km/h(当時の軽自動車は一般道40km/h制限)とガソリンの燃焼温度(近年のガソリンは燃焼効率が高く燃焼温度が高いようです)を前提としているらしく、現在のスピードレンジ(60km/hと燃焼効率の高い高性能ガソリン)では燃焼温度が高くなりすぎ、ピストンが溶ける危険性が高くなるとのことで、夏用ジェットで気温の低い日に高速道路を走ると高確率でエンジンブローするという話。プレアデスの社長でさえうっかり夏用ジェットのまま高速道路を走ってしまい、ブローさせたくらいです。

もしスバル360を所有されている方、今後所有を考えている方、現在の使用環境では夏場でも冬用指定のジェットのまま燃調を変えない様に注意してください。

幸い、筆者自身のツテで必要なオーバーサイズピストン調達のメドが立ったのですが、当時のガレージプレアデスはまだまだレストアショップ一本でやっていくのは難しく、他の仕事と兼業のため、部品がそろったからと言って即、オーバーホールにかかる事が出来るわけではありませんでした。そのためガレージプレアデスの社長がタダ当然で引き上げてきた車検の残っているレックス(後に筆者の紹介で友人の愛車となります)がしばらくの間代車になるのですが、6月から9月までの夏の間、エアコンなしのスバル360に代わって快適なエアコン付きのレックスでしのぐことが出来たというのもなんとも皮肉なものでした。

エンジンに引き続きブレーキにも異変


ところが、9月に入りまたスバル360とのカーライフが再開となったと思った矢先の事。ある日、停車直後に後輪を見るとブレーキドラムから油脂類が焼けた匂いとともにに白煙が立ち上っている事に気づきます。エンジンブローの次はブレーキのホイールシリンダーのフルード漏れ。しかも4輪すべてのシリンダーとライニングが使い物にならなくなるという有様でした。ここで思い出したのが、あるスバル360オーナーの言葉「スバル360に限らず昔のクルマは乗りはじめよりも乗り始めて数年たってからトラブルが続発する」でした。

たまにクラシックカーで「先代オーナーの時はなんともなかったのにオーナーが変わったとたん故障が続発する」という話を聞きます。どうやら昔のクルマの場合、オーナーが変わると前オーナーの扱い方でかろうじて動いていた部品が耐えられずに破断したり、使用環境の変化について行けずに、今までだましだまし動いていた部品が連鎖的に壊れてしまったり、ということが起こるようです。

納車1カ月にして早くも修理工場に逆戻り。しかもホイールシリンダーは新品のインナーカップへの交換でフルード漏れが治るような摩耗ではなく、ホイールシリンダーとブレーキライニングを4輪分交換。例によって部品の調達には1カ月以上を要し、今度は代車も無く、年末近くまで自分の移動手段のクルマが無い生活。友人と遊びに行くにも移動手段が無い以上断らなければならないという状況が続くハメに…。結局2002年のうち、まともにスバル360に乗ることが出来たのは延べでも3~4か月ほどしかなかったのではないでしょうか。

正直なところ、いっそ手放そうかと思ったこともありました。でもボディは全塗装し、エンジンはオーバーホールし、ブレーキまで直し、ましてや長年にわたって恋焦がれたスバル360をそうそう簡単に手放す気にもなれません。そもそも、面倒くさいのは入手する前から分かっていた事。2002年の秋ごろからある事を実行しようと密かにリサーチを始めます。

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そして次なる施策に…!


まず手始めに、いつまでも整備・修理をガレージプレアデスにまかせっきりでは整備費用にキリがないので、まず整備書と首っ引きでクラッチ交換を覚えることに。いずれ自分でエンジンを組めるようにならなければならないのを見越して、納車時に暫定的に載せていた部品取りエンジンを分解することで、DIYオーバーホールの予行演習みたいな事も始めました。


▲はじめて自分で外したクラッチ





現在では製造廃止になってしまいましたが、まだ当時はスバルの部品センターからスバル360の新品のクラッチが手に入りました。



2年ほど自宅の軒下に置いてあった部品取りEK32型エンジン。まずは手持ちの工具を使い、整備マニュアルをもとに分解していきます。ここから筆者のDIYメカニックが始まります。





ピストンにはスカッフが入り圧縮も抜けかかっていました。



2ストロークエンジン車を触れたことのある人ならお馴染みの光景かと思いますが、クランクケースにビッシリこびりついているのは30年分のカーボンとオイルが混じったスラッジです。

そうしてスバル360購入から4年目が終わり、ようやくこれで安定期に入れると思ったのですが…年明けにはまたトラブルが立て続けに発生します。それはまた次の機会に。

[ライター・カメラ/鈴木修一郎]

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