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更新2018.04.18

雪国を走るクルマは要注意!アンダーフロアのサビが猛烈に進行する理由

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高山 則政

クルマは長く乗っていると・・・、乗らずに放置しても傷んでいきますが、特に劣化が進むのが冬のような気がします。当然、地域差はあるわけですが雪国やウインターレジャー等で雪国に行くクルマでは冬から春までをどう越すか?という点。そして、春先のチェックやケアなどがクルマをキレイに長持ちさせる上でスゴく効いてくると思います。

走るのさえ危険になる床下のサビ


雪国に行くと、ボディや下回りのサビが恐ろしく進行したクルマを見ることがあり、ドライバーさんに「危ないから乗らないほうがいいですよ・・・」と声掛け(心の声)していることがあります。それらには、ドアの塗装がブクブク膨れていたり、サイドシルが朽ちて穴が開きそうになっているのがありますが、一目で分かるくらい腐食したクルマの下回りは目もあてられない状況で、走行による応力を受ける骨格部やサスペンション周りも相当腐食しているはずです。

以前、会社の同僚が某ネットオークションの個人売買で軽オープンのスズキ・カプチーノを買い、「エンジンは調子いいけど、アクセルに連動してデフから音がするので診て欲しい」と言われて預かったことがあります。リフトアップしてビックリ!下回りの腐食が激しく進行していて、リヤサスペンションのアーム1本がもげていました!!

つまり、加減速で起こる駆動の反力を受けるサスペンションアームが押し引きされた時に、サスペンションメンバーという取り付け部にぶつかって音が出ていたのです。4輪ダブルウィッシュボーンでサスアームの取り付け部が多いことからタイヤが取れずに済んだのが幸いでした。当然、ボディの腐食もひどいもので、ストラットタワーは横に大穴が開き、骨格部の厚いパネルはパイ皮のように膨れ、助手席の取り付け部はボルト1本しか効いておらず重い人が乗ると床が抜けそうな状態でした。

室内からサビの広がり度を知るためフロアのカーペットを剥いて試しに走ってみると、風が下から入って座席下までオープンエアモータリング!オーナーはそんな底抜け気味のカプチーノに嫁さんを載せて高速クルージングを楽しんでいた・・・と言うので、他人事ながら背筋が凍る思いでした。

このケースでは現状渡しで車両代金が払い込済みで、現車確認時に気づかないほうが悪いと言えそうですが、売り主もワルよのう・・・と思ったのは、エンジンルームの穴を適当なパテで塞いでその上にペイントするなど、見える部分は素人にスグにバレないように小細工してあったことでした。クルマは確か群馬で買ったもので、購入時はスタッドレスが付いていたと思います。もともとカプチーノはボディがサビやすいようですが(というか、以前ワゴンRでもリコールがあったりしたし、スズキ車全般かな?)、サビには季節や地域ならでの理由もあります。

アンダーフロアのサビが猛烈に進行する理由

アンダーフロアのサビが猛烈に進行する理由
▲北海道、東北をツーリングした時に見かけたクルマ。上はサイドシルが朽ちて穴が開いたデミオ。リヤフェンダーも腐食しているようで、上から補修したあとがあるもののボコボコになっている。サイドシルは骨格部材なのでこうなるとボディ剛性の低下やキシミ音がでている可能性あり。下はサイドシルの腐食が目立ってきたクルマ。塗装がサビで赤茶色になりブクブク浮いているのが分かる

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雪国を走るクルマはアンダーフロアのサビに注意


サビで思い出しましたが、4WDのラインナップがメインで結構頑丈に作ってあるはずのスバル車も何もしないと腐ってしまいます。

雪国に住む友人がレガシィに乗ってましたが、ある時ブレーキが効きにくいという相談を受けました。すぐに行ける距離ではないので、ディーラーへ持ち込むことを勧め、診断してもらったところ「異常なし」だったとのこと。ところが、しばらく経ってから自分が診たところ、フロントのブレーキローターの内側がサビサビで、ブレーキパッドの一部しか接触してませんでした。これはブレーキキャリパーやパッドがサビで固着したのが原因でした。

しかし、これほど酷いのにディーラーで「異常なし」となったのはナゼなのか?ディーラーを訪問してメカニックを質したところ、驚愕の事実が判明しました。

彼らは、車検で使うブレーキテスターに載せて、ブレーキペダルを思いっきり踏んで効いたからOK・・・という診断をしていたんです。せめてホイールを外して、ブレーキキャリパーをめくって目視していれば素人でも異常に気づいたハズ。ましてや定期点検とか車検ではなく、ピンポイントで不調を訴えており、それが重要保安部品であるブレーキだというのに適切な点検方法を採らないという理解力や想像力の低さ。

情けないのは、フロントをはじめとしたメカさんのそれほど大したことじゃないでしょう・・・という態度でした。正規ディーラーの看板を上げながら、改善する気のなさに怒る前に脱力してしまいました。友人も、地方では他のディーラーに行くという選択肢がなく、付き合いをやめるわけにも行かないので、あまりコトを荒立てなくないということで引かざるを得ませんでした(サビ以外の愚痴になってしまいました。すいません)。

このレガシィは、その数年後もコーナリングでゴッゴッとかシャリシャリという周期的に接触する異音が出るというので、これまた診に行ったところリヤブレーキのバックプレートがサビで膨張して、コーナリング中だけブレーキローターがバックプレートに接触するということもありました。これはタイヤがコーナーで横力を受けた時、わずかながら車軸部がたわんでいるからです。

乗っている本人が気づくくらいになると下回りは結構悲惨で、マフラーの遮熱板などは朽ち果てて大穴が空いているなど、どれだけ持つか分からないという感じでした。その後友人は、新車のインプレッサに買い替えますが、納車前に防錆処理をやってもらい自分でも追加処理したようです。そんなわけで、サビは美観の問題ではなく、快適性や安全性能に直結した問題に発展するケースが多くなっていると思います。

アンダーフロアのサビが猛烈に進行する理由

アンダーフロアのサビが猛烈に進行する理由
▲これはトヨタエスティマのフロントブレーキ。毎シーズンスキーに行っているが、下回り洗車を毎回実施しているもの。全体的に良い状態だが、摩擦面のピカピカしている部分の幅に注目していただきたい。外側から見ると正常でも、ホイール裏から見ると外周や内周部のサビ幅が広いのが分かるだろうか?これはサビで動きが悪くなって内側のパッドの当たり方が悪くなっているため。本文中のレガシィはもっとひどかった

アンダーフロアのサビが猛烈に進行する理由

アンダーフロアのサビが猛烈に進行する理由

アンダーフロアのサビが猛烈に進行する理由
▲バンパー下(写真上)、マフラー下(写真中央)、ボンネット先端など、下から上に取り付けられるボルトがサビやすい。これは、雨天後などの水が最後まで垂れているから。(写真下)ボディは鋼板のエッジやブラケットの角や端からサビる。これはその部分に塗装がのりにくく薄くなっているから

サビが猛烈に進行するのは路面の凍結防止剤が原因


雪国のクルマで酷いサビが発生するのは、路面に撒かれる凍結防止剤が主な原因です。スパイクタイヤが使えていた時代は、鋼板の処理が未熟なのと、空洞部に未塗装部があったり、水抜き不具合などといった構造や部材、製造面などが良くなくてサビました。これが、スタッドレスタイヤ時代になると塩(塩化ナトリウム、塩化カルシウムなど)を大量に撒くようになり、ボディの防錆鋼板や下塗りの塗装が進歩したにも関わらず、潮風を常時受ける海岸沿い並みに酷いサビが起こるようになってきました。

アンダーフロアのサビが猛烈に進行する理由
▲凍結防止剤散布車(国土交通省 中部地方整備局 高山国道事務所のHPより)
出典:http://www.cbr.mlit.go.jp/

アンダーフロアのサビが猛烈に進行する理由
▲作業中の車両の例(中日本高速道路株式会社 雪道ドライブガイドのページより)
出典:http://www.c-nexco.co.jp/

冬の路面を走ると、前走車が巻き上げた水滴を受けるなどしてクルマ全体が汚れるので、洗車をすることが多くなりますが、春先になったら下回りの洗浄や点検・補修も行うべきだと思います。自分は雪国から帰ってきたら早めにコイン洗車場へ行って下回りを洗うようにしていますが、1回の料金分で下回りだけを洗浄します。

雪国に住んでいると、洗車の水が凍結して悪さをする恐れがあるし、家の雪かき等でクルマどころでない場合もあるので、いつでも洗車とはいかないですが、もう雪が降らないぞとなった時点で下回り洗浄をしておいたほうが良いです。

ちなみに、アメリカのシカゴを訪問した時にドライブスルー洗車場の下回り洗浄マシンを見に行ったことがあります。これは手でノズルを持つとかではなく、ピットの上を通過するだけで高圧洗浄してくれるものでした。日本の自動洗車機にも下回り洗浄というモードが付いたのがありますが、それは横からタイヤハウス付近に水を掛けるだけで、お金をトルためのトッピングでしかないもので、次元が違いました。

アンダーフロアのサビが猛烈に進行する理由
▲高圧洗浄機でタイヤハウスやアンダーフロアを丁寧に水洗い。雪国から帰ってきたら早めにやっておくと、新たなサビの発生や拡大をある程度は防げる。雪国住まいなら、サビる前に本格的な防錆処理とシーズンごとに下回り点検をやっておきたいところ

ということで、雪道ドライブの予定がある人はアンダーフロアのサビにも注意してください。また、雪国のカーオーナーさんは、アンダーフロアの腐食が進むと時には危険な状態になるので、防錆処理や定期点検の実施をオススメします。

次回は、サビる前にサビを防ぐ防錆処理について紹介したいと思います。

[ライター・撮影/高山 則政]

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