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更新2017.01.26

初参戦は1992年。今回、11年ぶりに東京オートサロンに行ってみて感じたこと

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松村 透

ここ数年、わずか3日間の来場者数が30万人を突破しているという東京オートサロン(以下。オートサロン)。今年、10数年ぶりに会場へ足を運びました。恥ずかしながら、最後に会場を訪れたのは2006年。実に10年以上のブランクがあり、当時とのギャップに驚かされることばかりでした。

初オートサロンは1992年、晴海の東京国際見本市会場にて


東京オートサロン2017 特集

当時はまだ高校生でしたから(世代がバレますね)、会場までの移動は公共交通機関に頼ることになるため、友人と都バスに揺られながら晴海まで行きました。その道中の晴海通り、確か銀座の歌舞伎座を過ぎたあたりから並走して走るクルマたちの雰囲気が急に変わっていきます。それまでは一般車ばかりだったのが、スカイラインGT-R(R32)はもちろん、180SXやシルビア(S13)、ハチロク、当時発売されたばかりの新型RX-7(FD3S)などの国産チューニングカーで埋め尽くされていく光景は圧巻でした。バスの乗客もみなオートサロンを目指していますから、車内は大盛りあがり。自分たちのテンションも自ずとあがっていきます。新型RX-7を生で観たのもこのときが初めてでした。

●駐車場がすでにオートサロン状態
会場と駐車場が近かったこともあり、停まっているクルマを眺めているだけでも充分に楽しめました。当時の記憶を20代前半のクルマ好きの方たちに話したら「本当に羨ましい。もっと早く生まれたかった」といわれてしまいました。そうなのです。いまや、彼らが生まれる前のできごとなんですよね。R32GT-RやFD3Sが現役バリバリだった当時のオートサロンを彼らが観ることができたらどう感じるのでしょうか。やはり羨ましがるのでしょうね。

●会場内はチューニングカーが中心
当時はOptionなどの国産チューニングカーが人気絶頂だったこともあり、多くのショップがR32型のスカイラインGT-Rを出展していました。その他に人気だったのはZ32型のフェアレディZやRE雨宮に代表されるロータリー系のチューニングカー。VIP系やハイエースなどの1BOX系のカスタムが増えてくるのは数年後だと記憶しています(1996年〜97年頃から?)。

●初オートサロンから10数年間は皆勤賞。しかし次第に足が遠のいていき…
理由はさまざまですが、ひとつはインターネットの普及が大きかったように思います。紙媒体が主流だった頃は、ほとんどのクルマは1カットのみの紹介で詳しいことは分かりませんし、雑誌に紹介されるのは1月末。タイムラグがあっただけでなく、じっくり観るには会場に足を運ぶしかなかったのです。しかし、インターネットの普及により、各媒体が速報記事を公開してくれるようになり、詳細な解説までしてくれることが当たり前となっていきます。そして会場に足を運んでも、あまりの混雑ぶりにじっくり観られない。そんな理由がいくつか重なり、次第に足が遠のいていきました。

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10数年ぶりの東京オートサロンの雰囲気を目の当たりにして浦島太郎状態に


東京オートサロン2017 特集

記憶している限りでは、(オフィシャルな要件を含めて)最後にオートサロン会場に足を運んだのは2006年。毎年、関連記事をチェックしていたので雰囲気は理解しているつもりでしたが、やはり現地に行ってみなければ分からないことがたくさんあります。10数年ぶりに会場に訪れると、そこはまさに浦島太郎状態でした…。

●メーカー/インポーターの出展
振り返ってみると、R33型スカイラインGT-Rのお披露目もオートサロン会場だったと記憶しています。当時は東京モーターショーを差し置いて、ここ(オートサロン)でデビューさせるの?という雰囲気が少なからずあったように思います。

東京オートサロン2017 特集

東京オートサロン2017 特集

しかし、いまとなっては先見の明だったというべきでしょう。各日本車メーカーが大掛かりなブースを構え、メルセデス・ベンツやフォルクスワーゲンなどのインポーターですら「東京モーターショーの廉価版」とは一線を画すような本格的な設えで圧倒されました。モーターショーは2年に1度ですが、オートサロンは毎年開催。展示内容もよりマニアックな方向に舵を切れるという点において、いまやなくてはならない存在となりつつあるのかもしれません。

東京オートサロン2017 AMG

東京オートサロン2017 VW

●海外からの注目度の高さに驚かされる
今回のオートサロンで、個人的にもっともカルチャーショックだったのはこの点です。外国人メディア、来場者が多い!「せっかく来たんだからいろんな情報をキャッチ&ゲットしていこう」という気概のようなものがメラメラと伝わってきます。英語圏、中国語も頻繁に聞かれました。派手なメルセデス・ベンツをバックに記念写真を撮っていたのも中国人(と思われる)家族の皆さんでした。現地でメルセデス・ベンツをこのように改造するつもりなのでしょうか?

東京オートサロン2017 ベンツ

●進む多ジャンル化とインパクト重視志向
筆者がはじめて東京オートサロンに行った1992年は、チューニングカーが中心だったと冒頭で伝えました。それが90年代中頃からVIP系が増えはじめ、ミニバンや1BOX系のカスタム、一見するとベースカーが分からないほどカスタマイズが施されたオリジナルカーまで、多ジャンル化が進んでいることを実感しました。

東京オートサロン2017 ヴェルファイア

何しろ出展者数458社、出展車両台数850台。幕張メッセの会場を埋め尽くす勢いのクルマが展示されるわけですから、来場者にインパクトを残すには膨大な費用を掛けるだけでなく、アイデア勝負のところがありそうです。カスタマイズもスワロフスキーを敷き詰め、オリジナルのエッチング加工を施したり、決してモーターショーのコンセプトカーでは見られないような斬新なアイデアに驚き、感動しました。こういう柔軟な発想や視点こそ、海外の人たちも注目し、期待しているように感じます。その反面、予算青天井のショーカーという位置付けの出品車が増え、大半のユーザーには別世界の存在となりつつあることも否めません。

東京オートサロン2017 GTR

●キャンギャルより派手に、より過激に?
キャンギャル、コンパニオン…呼び方はともかくとして、「オートサロンで人が集まるところにキャンギャルあり」という構図に拍車が掛かったように思います。

東京オートサロン2017 キャンギャル

東京オートサロン2017 キャンギャル

東京オートサロン2017 AMG

いまや、有名なレーシングドライバーやチューナーよりもよほど集客力があるように感じました。コスチュームもより過激になり、クルマはそっちのけでキャンギャル目当てで来場している人も少なからずいそうです。この「過激なコスチューム」が集客のプラス要因になっていることは間違いなさそうですが、そのなかでもさらに熾烈な人気争いがあり、撮る方も超真剣。お目当ての女の子以外には目もくれません。シビアな世界を見せつけられたような気がします。キャンギャルの皆さんも一種たりとも気が抜けませんし…。一見、華やかな世界に映りますが、想像以上に過酷な仕事かもしれません。

東京オートサロン2017 学生

今回、地元の小学生の児童さんたちも見学に来ていたんです。もしかしたら、生まれて初めて生で見る「セクシーなお姉さん」だったのではないでしょうか。まさに未知との遭遇。女子児童たちはともかく、男子児童たちは盛りあがったでしょうね。それとも、先生が意図的に見学コースから外したのでしょうか。やんちゃな児童たち数人が脱走して、キャンギャルをこっそり眺めていた…という光景を目にすることはなかったので、おそらくみんないい子で過ごしたのでしょう。

●学生さんたちの勢いを実感
日本自動車大学校(NATS)、埼玉自動車大学校、トヨタ東京自動車大学校、筑波研究学園専門学校、国際情報工科大学校、静岡工科自動車大学校、東京自動車大学校、中日本自動車短期大学(順不同)…あらゆる学校から生徒さんが造り上げたカスタムカーが出展されていました。

東京オートサロン2017 学生

スーツの着こなしもぎこちないし、展示されているクルマを凝視している人に話し掛けたり、パンフレットを渡すにも躊躇しています。でも、見事に1台のクルマを完成させているんです。たとえ学校のカリキュラムであったとしても、自分たちの造り上げたものが否応無しに人の目に晒されるですから、期待と恐怖は表裏一体でしょう。当時の筆者は怖じ気づいてそんな勇気はなかったと思います。

東京オートサロン2017 学生

メーカーはもちろん、カスタムショップでも造れないような自由な発想でオリジナルのクルマを完成させ、東京オートサロンのようなビッグイベントに出展できたことは生涯忘れることはないと思います。このなかに、必ずや次世代の日本の自動車業界に革命を起こす人が隠れているはずです。

●NSXの運転席に座るために待つ
今年のホンダブースでは、発売されたばかりのNSXが展示されていたばかりか、運転席に座れる粋な計らいも用意されていました。青山ホンダ本社に展示されているNSXもお立ち台に鎮座していて座ることはおろか、触れることもできません。確か、先代NSX-Rが展示されていたときは座ることができて、レカロのバケットシートの生地が破れていたことを思い出します。

東京オートサロン2017 NSX

東京オートサロン2017 NSX

画像は初日のお昼頃。この時点で20分待ちです。あくまで推測ですが、3日間で数千人がNSXのシートに座るために列をなしたのではないでしょうか。筆者はプレスとして会場を訪れているものの、NSXのインプレッション記事を書くような立場ではありません。ましてやオーナー予備軍でもないので、どちらかというと並んでいる方に近い感覚です。

どこかで「今回のNSXで価格を論ずるべきではない」という主旨の記事を読んだ気がしますが、このクルマを論ずる側のメディアと多くの読者の立場に強烈なギャップを感じたのも事実です。20分(ピーク時にはその数倍のはず)待って並んででもNSXの運転席に座りたい人たちがいるんです。メディアとしてそこに気づかなければいけないような気がしました。「決して手が届かないまでも、夢が見られる(またはどのようなクルマかイメージできる)記事こそがメーカーにとっても読者にとってもハッピーなものではないでしょうか。

いち来場者から取材する側になって気づいたこと


東京オートサロン2017 特集

立場が変わると見方も変わります。いち来場者のときは気楽だったなあ…ということはさておき、限られた時間ですべてのブースをチェックしよう、他のメディアもオートサロンの記事を配信するわけだし、差別化するとしたらポイントはどこだろう。仕事の都合や遠方で会場に来られない方にも、現地の雰囲気を感じてもらえるにはどうすればいいだろう…。そんなことを考えながら幕張メッセのなかを駆け回っていました。

大渋滞に巻き込まれながらようやく駐車場にクルマを停めて会場入りすると、幕張メッセ内も人で溢れかえっている…。筆者もそうでしたが、間近で観られずに断念したことが何度もありました。でも、楽しいんですね。気の合う友だちとあれこれいいながら気ままに会場を回り、あっという間に1日が終わる。帰りの湾岸線で大渋滞に巻き込まれてへろへろになりながらも「オートサロン反省会」をしながら家路につく。それっていま思い出しても楽しいんです。取材だとこうはいきません。

若いとき、プレスで取材できるっていいなあと思っていた時期があったんです。柵を乗り越えてショップのデモカーを間近で観られたり、キャンギャルの撮影もいいポジションが用意してもらえたり。で、実際にその立場になってみると「いち来場者の方が100倍楽しめます!」と声を大にしていいたいです。

ここしばらく、オートサロン行ってないなあという方、来年はぜひ。できれば気の合う仲間数人と行くことをお勧めします。

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