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更新2020.08.20

続・カーウィンドウフィルム回想録。2代目レガシィワゴンはドル箱だった!

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松村 透

今回は「カーウィンドウフィルム回想録」の続編です。前回の記事はこちらです。

いまから20年前、知人の紹介で、東京都内にあるウィンドウフィルム施工店でアルバイトしたときの体験談をまとめました。当時のエピソードなど、いまでもあまり知られていないことがあるかもしれません。

筆者がお世話になった施工店のカーフィルムはアメリカ製だった!




多くの店舗が日本製を採用するなか、筆者がお世話になった施工店は世界初の窓ガラス用フィルムを開発したMADICO(マディコ)社のフィルムを取り扱っていました。当時の日本製のフィルムに比べて耐久性が高く「外からは車内が見えにくいが、なかからは外がよく見えること」が評判を呼び、特に輸入車オーナーのあいだで人気でした。欠点は日本製のフィルムよりも厚みがあるため、施工の難易度が上がること。筆者の場合、いきなりマディコのフィルムを貼ることになったので、難しいと知ったのは後になってからでした(先輩は敢えていわなかったのかもしれません)。

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2代目レガシィワゴンはドル箱だった!



筆者がウィンドウフィルム施工店でアルバイトしていたとき、当時はまだ日本でのミニバン人気はそれほどでもなく、ステーションワゴンが圧倒的に多かったように思います。レガシィツーリングワゴンを筆頭に、トヨタ カルディナ、カローラワゴン、日産アベニール、三菱レグナム…等々。輸入車では、メルセデス・ベンツE320Tやボルボ850、960…とった感じです。BMWはセダンの方が人気でした。なかでもフィルム施工の依頼が多かったのは、2代目レガシィツーリングワゴンでした。当時、ものすごく売れたんです。しかも、プライバシーガラスの設定がなかったので、多くのレガシィはフィルム施工を行います。1日1台は施工していたような…。私だけでも、優に100台以上は施工したのではないかと思います。

真夏に車内でフィルムを貼る作業は正直しんどい




基本的には工場にクルマを持ち込んで作業することになるのですが、ディーラーやガソリンスタンドなどに出張して施工することもあります。フィルム施工に埃や細かなゴミは大敵です。可能な限りドアを閉め切って作業することになります。もちろん梅雨時や真夏も同様です。若いときはいまより体力もありましたが、真夏にレガシィツーリングワゴンを2台まとめて施工したときはさすがに倒れそうになりました。500ml缶のスポーツドリンク2本を一気飲みして仕事に復帰したことを覚えています。

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ジャガーのガラスは柔らかい?


ガラスにも硬い、柔らかいといったメーカーごとの特性があることを知ったのもこの仕事でした。いまでも覚えているのは、英国車がよく採用している「Triplex」というガラスは特に傷がつきやすいから注意しろ、と教わりました。輸入車はガラス面に鉄粉が付着していることがあり、施工時にカッターの歯を軽くガラス面に当てながら落とす工程があります。しかし「Triplex」ではこの方法が使えません。日常生活ではそれほど気にする必要はありませんが、基本的にデリケートなガラスなので、もし、愛車のガラスが「Triplex」社だとしたらご注意ください。

芸能人の愛車はすべてフルスモーク



東京都内にある専門店だけに、芸能人の愛車が持ち込まれることもしばしばです。もちろん、オーナー自らが持ち込むようなことは一度もなく、自動車販売店の方が代理で運んできます。いまでも活躍している方たちの愛車も施工しました。ある有名なミュージシャンのシボレー・コルベットのフィルム施工は私も手伝いました。いまでも乗っているのでしょうか…。いまほどフルスモークの規制が厳しくなかったので、大抵は全面(フルスモーク)施工でした。黒系のフィルムだといかついとのことで、薄めのグリーン系のフィルムを施工しました。ぱっと見はフルスモークとは分からない自然な仕上がりです(残念ながら、現在は廃盤)。

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フルスモークは一度施工するとやみつきに


面白いもので、いちどフルスモークにしたクルマのオーナーは、クルマを買い替えても「今回も同じ仕様(フルスモーク)で」と頼まれることが本当に多かったです。もう時効(?)なのでお話ししますが、なかには車検のときだけ前席のフィルムを剥がし、通したその足でお店にやってきて再びフルスモークに…というオーナーもいました。実は筆者も、芸能人御用達の薄めのグリーン系のフィルムを全面に貼ってみたことがあります。夏場のエアコンの効きが格段に違うので驚きました。もちろん、いま施工してもらうことはできません。摘発されてしまいますし。

恐怖のフルスモーク2重貼り



他の記事でも書いたことがあるので重複しますが、乗用車用のマディコのカーフィルムでもっとも濃い黒系ものが透過率8%でした。その次が21%、31%、36%、51%の順です。人気は透過率21%でした。通常はこれで充分です。8%は商用車バンなど、ガラス面が大きいクルマ向けのものでした。あるとき「一番濃いフィルムでフルスモークを2重に貼ってくれ」という依頼がありました。こちらとしては、2重貼りは高く売れる割に作業が楽(ゴミが目立たない)なので美味しい仕事です。しかし、実際に透過率8%の全面2重貼りは、車外はもちろん車内からも視界がかなり遮られます。安全を考慮してサイドミラーが見えるよう、部分的にフィルムをカットしました。このクルマのオーナー氏はどんな用途に使ったのでしょうか…。

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メーカーごとにオーナーの性格も異なる不思議さを体験


面白いもので本当に異なるから驚きです。日本車の高級車やドイツ車系のオーナーさんは基本的に細かい方が多いです。なかでもBMW系のオーナーさんが、仕上がりに対してもっともシビア。依頼するたびに必ずクレームをつけてくる人がいて、社内ではちょっとした有名人でした。反面、アメリカ車のオーナーさんは大らかな方が多く「(フィルムが)貼ってあればそれでいいよ」というスタンス。イタリア車オーナーさんは予測不可能でした(笑)。ガラスに張りついて仕上がりに不備がないか入念にチェックする方、パッとクルマを見て、代金を支払って帰ってしまう方、様々でした。

素人にもウィンドウフィルムは貼れるのか?




これは当時からよく質問されました。筆者の主観になりますが「プロレベルは難しい」という考えです。もちろん、練習すればできるようになりますが、カー用品店で揃えた道具でいきなりフィルムを貼っても、かなりの確率で失敗します。その時間と手間とお金をプロに委ねた方が確実です。おそらくはいまも変わらないと思うのですが、カー用品店で売られているカーフィルムと業務用とでは、素材も耐久性も異なります。カーフィルムの施工が趣味だったり、楽しくて仕方ないという場合を除き、プロに依頼した方が安心です。友人や知人の紹介ならさらに安心です。玉石混交の世界でもあるので…。

当時、筆者にカーフィルム貼りのイロハを教えてくださった先輩とはいまも交流があります。いまも現役として都内の自動車販売店やディーラーを飛び回っています。キャリア25年くらいになるはずなので、もはや達人の域といってよいでしょう。先日も、私が丁稚奉公だった頃に生まれた20代の後輩が人生初の愛車を手に入れ、先輩に相談したところ、破格値でフィルムを貼ってくれました。ありがたいお話しです。

まさか20数年前のできごとをこんな形で記事にするとは夢にも思いませんでした。さらに20年後、こんな記事を書いていたなあと思い出すのでしょうか…。

[ライター/江上透]

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