あなたは強烈なノスタルジーを感じるだろうか。消えてゆくドライブインレストラン

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アメリカやヨーロッパには後れを取るも、日本でも自動車の国産化に果敢に挑む挑戦者があわれてから100年以上、日本の一般労働者が一家に一台念願の自家用車を手にすることも可能になり、第一回日本GPが開催されてから早50年以上、今や日本車も「ヘリテイジ」と呼べる歴史的、文化的バックグラウンドを持つまでになりました。当然その中には日本独自の自動車文化も少なからず存在します。その、日本のモータリーゼーションの歴史の産物の一つに「ドライブインレストラン」というのがあるのではないでしょうか。

ドライブインレストラン

ドライブインレストランの文化が、郊外や地方の幹線道路沿いに存在した

アメリカのカーアクション映画やロードムービーを見ていると、片田舎のハイウェイ沿いで遠くの客先に向かうビジネスマンの薄汚れた4ドアセダンのプリマスやピータービルトのエイティーン・ホイーラーの大型トレーラーが止まって、サンドイッチを頬張り、コーヒーでのどを潤しながら、備え付けのピンボールや、ビリヤードに興じてひと時の休息をとる「ドライブインレストラン」や西海岸のクロームの装飾に、赤い表皮の椅子に、派手なネオンサインの電飾で、週末の夜になれば50’sオールディーズポップスをBGMに、若者たちがダッジチャージャーやデュースクーペのホットロッド、キャルルック仕様のVW等、思い思いのカスタマイズした自慢の愛車で集まり、ポリスの目を盗んでシグナルGPを始めたりというシーンが出てきます。

筆者の大好きな映画でスティーブン・スピルバーグ監督の出世作「激突」にもデニス・ウィーバー演じる主人公デイヴィッド・マンの赤いプリマス・バリアントが、得体のしれない古いピータービルトのタンクローリーに執拗に追われる中、ドライブインレストランに立ち寄り、自分が路上で見ず知らずのトラックに追われる羽目になってしまった心理的葛藤を印象的に描いているシーンがあります。ちなみに、このときロケで使用されたレストランは現在でも実際に営業しているようで、余談ですがプリマスを追いかけていたピータービルトのタンクローリーの劇用車も予備車を入れて2台用意した内、スタントシーンで使用しなかった方の車両も現存し、今もイベントで展示される事があると聞きます。筆者も、もしアメリカに行く機会があれば、三ツ星の有名レストランより、むしろハイウェイ沿いのドライブインレストランやダイナーでサンドイッチやハンバーガーを頬張ってみたいものです。

この通り、モータリーゼーションとロードサイドの飲食店や小売り店舗というのは密接な関係にあるといってもよいでしょう。特に日本の戦後のモータリーゼーションはアメリカの影響も大きく、ロードサイドのファミリーレストランや大型スーパーなどはアメリカを意識した部分があると思います。実は日本のではお馴染みのファミリーレストランの「デニーズ」が元はアメリカ資本の企業で、その後日本で本家とは全く別物の店舗として現地化したということをご存知の方も今や少ないことでしょう。

少々、話が脱線してしまいましたが、戦後日本のモータリーゼーションにおいてアメリカのロードサイドのドライブインレストランに相当する、日本独自のロードサイドのドライブインレストランの文化が、かつて郊外や地方の幹線道路沿いに存在した日本独自のドライブインレストランではないでしょうか?

1960年代~1970年代の日本映画やTVドラマを見ていると、自動車で移動するシーンによく途中で幹線道路沿いのドライブインレストランに立ち寄って小休止するという描写があったりします。今や、伝説の映画シリーズとなり、日本のトラックドライバーには聖典のような作品である、菅原文太演じる「一番星」こと「星桃次郎」と愛川欽也演じる「やもめのジョナサン」こと「松下金造」のトラックドライバーのドタバタ騒動と人情劇を描いた「トラック野郎」もまず、行きつけのドライブインで他のドライバーととっくみあいの喧嘩をしたり、いわゆる「マドンナ」と呼ばれる、ヒロインで店の給仕のアルバイトをしている女性に、桃次郎が一目ぼれするというパターンから始まります。ちなみにこのシリーズのロケで使われていたドライブインは現在も営業していると聞きます。

カップ麺やハンバーガー、サンドイッチを販売する自販機が懐かしい

サンスイ

筆者の幼少期、毎年夏に恒例で親戚と奥飛騨栃尾温泉に行くのが年中行事となっていました。まだ当時は東海北陸道がなく、名古屋から奥飛騨に行くには国道41号線を4時間ほどかけて走っていったのですが、高速道路とトンネルが大好きだった筆者でも(どうやら幼少期にて「スポーツ」よりも「グランドツーリング」を好む素養があったようです。)41号線のワインディングロードを父のクルマで走るというのはまた違った楽しさがありました。当時は地方に行くとまだ民家の軒先や整備工場でダットサンブルーバードやトヨペットコロナ、スバル360の生き残りに遭遇することがあるのも楽しみの一つでした。

そして途中、下呂を超えたあたりでドライブインレストランで休憩に入るのが恒例でいつもうどんを食べていた記憶があります。かつては日本でも自動車によるレジャーとドライブインは密接な関係があったのでしょう。当時はまだ24時間営業の店も少なく深夜便の長距離トラックドライバーには広大な駐車場を持つ敷地に入浴施設まで備えた大型のドライブインレストランはさぞかし重宝した事かと思います。

自販機

しかし、聞くところによるとこういった形態のドライブインレストランは絶滅の危機にあるようで、幹線道路沿いのドライブインレストランが次々廃業するという話を耳にします。かつて岐阜県の国道19号線には「サンスイ」という自販機のドライブインレストランが存在していました。カップ麺やハンバーガー、サンドイッチを販売する自販機は、かつてはゲームセンターやボーリング場でも見られた設備です。ある程度の年齢の方なら、強烈なノスタルジーを感じる方も多いのではないかと思います。

筆者がサンスイに最後にたちよったのは10年近く前、しかしその時点ではもう既に自販機の不具合も目立ち、稼働はしていても結局最後は常駐のスタッフが機械を開けてとりださないといけないという有様でした。もう21世紀に入ると既にこういった自動販売機はメーカーの修理サポートも無く、壊れたら最後そのまま使用中止、うどんの自販機に至っては現在日本で稼働しているのは全国に数台しか現存していないという話です。ちなみにオートレストランサンスイは数年前に廃業してしまったとのことです。

別れを惜しむかのように、古いクルマでぎわっていたオートレストラン長島

そんな中、国道23号線(通称名四国道)沿いの愛知県から三重県に入ってすぐの「オートレストラン長島」が去る3月31日13:00をもって廃業という話を聞き、営業日最後の週末の夜となる3月25日に「オートレストラン長島」に行ってきました。

普段は、グローブボックスに仕込んだDVDデッキで自分の好きな映画やお気に入りのアニメのDVDを流しながらドライブするのですが、この時ばかりは「初代セリカGT」自慢の装備の電動アンテナを伸ばして、DVDデッキにコアキシャル2WAYスピーカー+ツィーターにサブウーファーのDVDカーシアターを載せながらも、あえて残しておいたモノラスルピーカーの純正カーラジオで久しぶりに東海ラジオの深夜放送を聞きながら深夜のバイパスを長島に向かってセリカLBを走らせました。

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この記事の筆者:鈴木 修一郎

愛知県名古屋市在住。幼少期より自動車が好きで、物心着く前から関心の対象はニューモデルよりもクラシ...