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車悦

更新2023.11.22

エンブレムは“トライデント”がモチーフ。マセラティ創立100周年に寄せる@車悦

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中込 健太郎

よくクラシック音楽では、作曲家の生誕●●周年、とか没後●●周年の年に、もう一度その作曲家の功績をたたえ、素晴らしさを改めて味わうという意味で、誰が先導するということもなく、コンサートで作品が多く取り上げられたり、年間を通して関連する催しが行われたりします。こうすることで、社会構造、文化、人々の考え方など、作曲された当時とはまったく異なる今ならではの捉え方、鑑賞ができるという意味で、有意義なことと言えるでしょう。

歴史というのは、事実が何年前に起こった、ということだけでは衰退し、色褪せてしまいます。つねに後世で振り返るからこそ、その歳月に意味が付与され、つねに新しい感覚での感動を呼び、脈々と語り継がれ、歴史として紡がれるのだと思います。そしてそれが伝統へと昇華する。こういうことも大切にしなければいけないなと最近特に思うようになりました。



自動車の世界でも、21世紀も10年以上が過ぎ、創立から100周年を超すメーカーが出てきました。自動車の場合は工業製品ということもあり、メーカー主導ではあるのですが、最近通年でキャンペーンを実施するブランドも数多く見受けられます。昨年はアストンマーティンが創立100周年でした。そして、今年はイタリアのボローニャで起こり、のちにモデナに移ってからも名車の数々を世に送り出してきたマセラティが、めでたく100周年を迎えました。

エンブレムは、マセラティのふるさとボローニャのシンボルの『ネプチューンの噴水』に因んでいて、ネプチューンの持つ三叉の銛(もり)、“トライデント”がモチーフとなっています。またマセラティ三兄弟の結束の意味もこめられています。イニシャルが「M」で兄弟の結束が込められている・・・このエピソードを聞くと、「三本の矢」の故事を語源としたJリーグチーム「サンフレッチェ広島」の前身であるサッカーチームを持っていた日本のメーカー、MAZDAとの近似性に思わず思いをはせてしまうのですが、マツダもいろいろ大変な時期を経て今がありますし、一世紀の間看板を守り続けたマセラティ、その歴史は決して余裕綽々、安寧のうちに100年を迎えたわけではありません。

そうそう倒産もし、シトロエン、プジョー、デ・トマソ、フィアット、フェラーリ。数々のメーカーの支援や協力もあり生きながらえてきた歴史というべきでしょう。そして、イタリアを代表する高級車メーカーというイメージの強いマセラティですが、そうした生い立ちの中で育まれた「立ち位置」でそうなったいわば運命の結果のようなものなのではないでしょうか。



だから、トライデントのマークを付けたクルマというのは、乗ると独特のオーラ、殺気にも似た「重み」がひしひしと伝わってくる気がするのです。今まで代々支えてきたクライアント(ユーザー、もちろんイタリアの貴族階級のような人が多数を占める)のこだわりや、今までかかわった多くのエンジニア、職人の志、歴史に翻弄される中、場合によってはかなわなかったことの未練。そうした、時に栄光を、しかし時には敗北を喫したことによる必ずしも輝かしいきれいな歴史ばかりではない生い立ち。最新のモデルでさえ、どこか脈々と息づいているような気がするのです。

やはり一世紀残った看板を残すということは並々ならぬエネルギーを要すことでしょうし、今、そういうクルマに乗るということは、単に「高級車」に乗るということの意味以上に、そんな「歴史の中で培われてきた独特の重み」に触れることであり「世紀の重みの上澄みを暮らしに取り入れること」なのではないかと思うのです。それはそれで、ただ高価なクルマ、豪華なクルマに乗るということに加えて贅沢なことであることは言うまでもありませんが。

そんなマセラティ、イタリア本国はもちろんのこと、日本でも東京~京都を中心に、伝統文化の交流をテーマに数々のインベントが今年一杯、多数予定されています。また世界でも5番目のマーケットである日本。ラインナップもさらに充実させ、さらなる拡販を狙うとのこと。街で「イタリアの伊達」に触れる機会もますます増えるかもしれませんね。

また、トレンドに習い、特に4ドアモデルではディーゼルエンジンもすでにラインナップ。メーカーによる日本への導入に先駆けて、ガレージカレントではギブリのディーゼルエンジン仕様の受注を先行ですでに開始しているとのこと。100年の歴史と最先端の常識を同時に体感できる貴重なモデルとして大変注目を集めています。

100周年おめでとう!100周年お疲れ様!そうマセラティに想いをはせるということができるのは「次の100年」に夢を抱けるからこそあり得る話なのではないでしょうか。皆さんもマセラティの今までの名車を愛でる機会がありましたら、その輝きを堪能していただきたいですし、この先のマセラティにも是非ご注目ください。

[ライター/中込健太郎]

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