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車悦

更新2023.11.22

命ある間、ちょっとお預かり。クラシックカーを買うということ

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中込 健太郎

ラフェスタ ミッレミリアなども楽しく、最近ではクラシックカーのイベントもいくつも開催されています。ひところに比べ日本でも少しは一般化してきたといえるのかもしれません。しかし、古い自動車雑誌のバックナンバーなど見ると、ああ、無理してでも買っておくのだった。そう思うことが少なくありません。ポルシェ356、ハコスカGT-R、トヨタ2000GT、MG-A。いずれもごくごく身近な価格で在庫リストに掲載されている広告を多数見るのですから。当時はこんな値段で買えたのか、と驚くばかりです。逆に今ではものすごい価格に跳ねあがっています。その原因は、一つにはそれだけ多くの人がクラシックカーのほうを向くようになった、ということではないでしょうか。総論としてはいいことだと思っています。

命ある間、ちょっとお預かり。クラシックカーを買うということ

でもほかのものと違い、クラシックカーを入手することは「所有」が最終目的ではないと思うのです。それほどまでに高価なクルマであっても「命ある間、ちょっとお預かり」することにほかならないのです。価格はそれくらい羨望の的だという証。そのきんすが支払えたならば、命ある限り、このクルマを次の世代に継承すべく預かる。クラシックカーを買うということにはそんな側面があるように思うのです。

ですので、よく私も含めて無責任に「そんな価格のあるクルマじゃないだろう」とか「そこまでしてほしくはないなあ」というような発言がありますが、おそらく「安心してください。価値を理解し、ほれ込み、買える人が買えればいいのですから。」ということなのだろうなあ、と我に返って思ったりするものです。あと、売り主のスタンスも、10年くらいしたら土に返ってしまうクルマの中古車のような相場があるわけでもないので、極論「いくらで売ってもいい」のです。誰も買わないようなきんすで並べても、あるいは、皆が思っているより、相当安い金額で、信頼のおける人に預けても、それは持っている人の自由なのだと思います。

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ただ、その中で、高い金額で売り出したものでも共感を集められるかどうかの境目。それは何かといえば、決して、車種に依存するのではなく、誰が所有し、どんな寵愛を受けてきて、どんなレースでどんな戦績を収めてきたか、といったエピソード、ヒストリーかということは重要なファクターなのではないでしょうか。クラシックカーを買おうと思っている方は、こういう点も気にして、どうしても車種に憧れがあり、少しでも安価に入手したいというのであれば、こうしたヒストリーの少ないクルマで、場合によっては途中のオーナーの個人的な趣味による色替えなども経ているようなクルマであっても購入を検討すべきでしょうし、逆に明らかな輝かしいヒストリーも含めてという考え方もありでしょう。

最近のメディアでトヨタ2000GTを「1億円のクルマ」のように取り上げるものが少なからず見受けられますが、こうしたことも、ほかのクルマも1億で売れるわけではないでしょうし、逆に言えばものによってはもっと高価ではないとは言い切れないのです。何より、日本の自動車産業黎明期のこのクルマ、これまでは希少だけれど、それほど高価な金額を払ってまで買うほどのクルマではない、との評価も少なからずあったわけです。それでもこのクルマに惚れ込み、浮気せずに所有し続けてきた、そういう一途さに対しても称賛も含めての価格なのかもしれませんよね。

命ある間、ちょっとお預かり。クラシックカーを買うということ

だいたいそもそも考えてみてほしいのは、クラシックカーというほどでないにせよ、希少車というのは、もちろん生産台数自体が限定で少ないものもありますが、少なからず、新車当時は人気がなく売れなかった、というものがあるのです。それをだいぶ後になってから高いだなんだといったところで、という話だと思うのです。

とにかく、普通の中古車だって相場に当てはまらないクルマは多いわけでして、まして希少な、工芸品のように美しい往年の名車たち。そのクルマがいかにして今まで生きながらえてきたのか。そこにも思いを馳せてみませんか?それこそが単なる旧車ではなくヒストリックカーといわれる理由であり、現代といろいろな部分が異なる様式を持ったクラシックカーを愛でる楽しみだと思うのです。目の前で燦然と輝く美しいクルマの持つエピソードにもぜひご注目いただきたいところです。

命ある間、ちょっとお預かり。クラシックカーを買うということ

そして、もし、所有するとしたら、あなたが所有したという事実がそのクルマの生い立ちに書き加えられるのです。それをぜひ忘れないでい頂きたい。そんな風に思うのです。

[ライター/中込健太郎 カメラ/江上透]

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