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車悦

更新2023.11.22

国民性や民族の気質がつくりに現れる。クルマに見る「お国柄」@車悦

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中込 健太郎

(こちらの記事は、2014年秋に配信いたしましたメールマガジン「こだわり輸入車ジャーナル」からの抜粋です)

いよいよ11月に入りました。木々は色づき、まさに「錦秋極まる」といった感じになってまいりました。皆様いかがお過ごしでしょうか?四季のある日本では、この時期は一年で最もドライブに向く時ではないでしょうか。まだ寒すぎず、朝晩の冷えも上着でしのぐことができる。車窓から見える風景は赤や黄色、色とりどりに燃えるよう。どんどんクルでおでかけしたいものですね。

クルマに乗ると、そういう季節感を感じることができるのは楽しいものですが、最近思うのがクルマにも「お国柄」があるのではないか、ということです。そんなに多くの車に乗ったわけではないですが、日本車、ドイツ車、フランス車、イタリア車には乗ってきました。そうすると、皆タイヤが4本ついて、エンジンがあって、ハンドルが付いてはいるのですが、メーカーというか、お国柄を彷彿とさせる部分があることに気がつきます。



例えば日本車に乗ります。そうすると、この国に生まれ、この国の水を飲んで育ってきたからということもあるでしょうが、何とも言えない、何モノにも代え難い落ち着いた雰囲気があります。多かれ少なかれ、「うちが一番」というものでしょうか。まあ、だからこそ、そこには、もっと個性的なクルマがいい、と、輸入車に食指が向く動機をもな内包している、という面はあろうかと思いますが。すべてが、私たちがするような方法で、私たちの温度感、力加減で動くように感じるのです。



ドイツ車は日本人から見ると、ブレが少なく、もっと高速に高精度なライン取りで走らせることが可能です。日本車以上に精度が高く、遊びがない。しかし、その濃密なクオリティに日本車と同じ方向性でありながら、日本車以上の高い満足感を容易に感じることができます。なるほど、だからこの国ではドイツ車は人気があるのだろう。そんな風に納得できたりします。


photo by Alexandre Prévot [CC BY-SA 2.0](Wikimedia Commons)

しかし、フランス車に乗ったとき、日本車とは違うということはもちろん、頭ではわかっているものの、妙な心地よさと、ドイツ車に乗った時とは明らかに違う感覚を覚えたのは今でも昨日のことのように覚えております。MECEという言葉があります。それぞれに重複することなく全体として抜け漏れがない。そんな意味合いで経営学やコンサルタントの世界で良く使われる言葉のようですが、強いて言えばそういう感覚に近いような気がするのです。クルマを外から客観視すると、なんだか頼りないような印象もないではありません。しかし、乗るほどに、全く無駄がない、どころか、あまたのクルマと比較しても決して遜色ない、むしろ明確なアドバンテージすら感じることができるかのような、素晴らしく心地よい乗り味をもたらしてくれるのです。これは、おそらく、運転する私自身、また他のパッセンジャーでさえ、クルマの一部に取り込まれているのではないか。そう思わずにはいられません。私が見て聞いて、意図したように舵を切り、ブレーキを踏みアクセルを踏み込んでいくと、それと呼応するようにクルマが反応する。悪意を持って言えば、吝嗇(りんしょく)なフランス人らしいと言えるかもしれないですが、いずれにしても、人間の感覚に過剰に作用してくることがない。あのノリ味には若い青春期の青々とした雰囲気、黎明の輝きのようなものを感じることができ、ドイツ車とはまた違った感覚でした。



イタリア車はフランス車とは違って、クルマでありながら「クルマではない点に対するアピール」にかなりご執心なご様子だと思うのです。まず、いろんな「電気仕掛け」の装備に対して「どうせこういうところが壊れるんだから、粋がってこった動きはしなくていいよ・・・」と終始思わせられます。また、もろもろの配置も、まったく理にかなっていなかったりするのです。Dレンジに動かさないと出し入れできないCD。なんだかハンドルを切るときゅっきゅっと音のするクリアランスを無視したレザーの縫製。でも「カッコイイかどうか」また「楽しいかどうか」を自動車工学的、諸々の各論以上に重視していることを強く感じるのです。そんな車に乗っていると、日常の細々とした不安も、全て杞憂に終わるような気がしてくるから不思議です。

クルマは人が作るもの、国民性や、民族の気質がつくりに現れることは、別段不思議なことではないかもしれません。だからこそ、輸入車に乗る意味も、クルマをチョイスする楽しみもある、と言っても過言ではないのだと思うのです。いつも申しておりますが、輸入車に乗ることは、一番身近な異文化コミュニケーションです。ぜひ諸々の事象、想定外の出来事さえも楽しんで見る。好んで苦労をせよというのではありませんが、こういう外国の風土・文化に触れて、選んだクルマのおかげで視野が広がり、器が大きくなったとしたら、こんなに愉快なことはない、そう思いませんか?

[ライター/中込健太郎]

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