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車悦

更新2023.11.22

フリーランス自動車ライターが選ぶ、カー・オブ・ザ・イヤー2017とは?

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中込 健太郎

本当に早いですね。なんだかまだ3月くらいの感覚です。ぜんぜん間に合ってない。何も終わってない感じさえするのですが、もう年の瀬。こうして時間とは過ぎていくのですね。怖いものです。さて、そんなことを改めて実感したのは編集部から「今年、中込さんが選ぶ個人的カーオブザイヤーは?」という連絡を受けてのこと。だいたい11月くらいからのイベントがらみの原稿だってまだ終わっていないのに。恐ろしい限りです。

今年もおかげさまで様々なクルマに乗せていただきました。そんなクルマの中で今年を締めくくる一台というのを少し振り返ってみたいと思います。

中込氏的カー・オブ・ザ・イヤー2017とは?

ニューモデルではないですが、好感触だったのは、フォルクスワーゲンのマイナーチェンジしたup!と、モデル末期、最後の5ナンバーボディのポロでしょうか。最近のクルマ、やたらと、乗る人を「ステージに上げる」ようなところがあります。しかし、クルマってパーソナルな空間であって、個人的なモビリティという側面は強いですよね。だから、「嗚呼、帰ってきたな」と思える感覚って大事なことではないでしょうか。この2台は、そこのところとても色濃く残しているように感じます。up!も手漕ぎで乗ればスムーズに行く・・・と思っていましたが、自動変速モードで、クルマと会話しながら変速のタイミングを諮るような乗り味は、それこそ、昔でいうところのマニュアル車が持っていた楽しさに近いものなのではないでしょうか。「慣れればOK」は、本来みんなが使うクルマではあってはならないことなのではないか、と思ったこともありましたが、あのコツをつかむと、むしろマニュアル車よりも楽しいのではないかと思う瞬間すらありました。軽自動車も、ちょっと贅沢を言い出すと200万円では収まらないこのご時世。200万円できっちりおさまる価格帯で、ザ・ドイツ車のしっかり感が買えるのは、とても素晴らしいことなのではないでしょうか。

中込氏的カー・オブ・ザ・イヤー2017とは?

あと、アテンザのワゴン「ディーゼル・マニュアル・四駆」が21世紀の今乗れることの喜びは感涙モノでした。しかもあのクルマ、マニュアルなのに追従型クルーズコントロールまでついていて「手でキコキコ変速する楽しさがあれば疲れなんて感じない」ばかりでなく、「本当に疲れ知らずのマニュアル車」である点は感動を覚えたというか、思わず笑いがこみ上げてくるほどでした。ああいうクルマをしっかりカタログに乗せ続ける一点をもってしても注目に値しますし、そんなに小ぶりなクルマではないのについつい寄り道してしまう、乗る人のフットワークを軽くさせる一台。印象的でした。

マツダと言えば、このエンジンが刷新されて搭載された、グローバル視点を国内にも展開、ではなく、国内市場を見据えたニューモデルCX-8も、ずっと大きく重たいはずなのに、アテンザよりも身軽にすら感じるとてもよくできたクルマでした(これについてはCLでもできればレポートしたいと思っています)。

中込氏的カー・オブ・ザ・イヤー2017とは?

また、コンパクトなクルマという点では、ホンダのN-BOX。誤解を恐れずに言えば、ホンダ車の中で一番いいかもしれないと思う出来栄えでした。N360、シビックと、こういうベーシックなクルマを作らせると昔からうまいメーカーでしたが、惜しみなくお金もかけて作られているし、それが鈍重になるのではなく、スリム化にもかなりのきんすをかけている。目に見えないホンダイズムみたいな部分へのこだわりも強く感じることができる一台。軽自動車として、ではなく全方位的に非の打ち所がないクルマに仕上がっており、感銘を受けた次第です。

ただ、私としては、マセラティ レヴァンテSも強く推しておきたいと思います。マセラティがSUVなんて!と腹を立てるエンスージアストがいるのも理解はできます。しかし、見栄えからして、多くの人に受け入れられるのが今のご時世、SUVなのです。この手のクルマが売れて、お金を稼いで、看板商品を開発するという手法は、もはやプレミアムカーブランドの常套手段と言ってもいいでしょう。しかしそんな中にあって、ただちょいちょいとお手軽にトライデント付けたSUV作りました、ではないところに「さすがマセラティ」と思ったわけです。

今や、グラントゥーリズモ以外のすべてのモデルで四輪駆動が選べるマセラティ。そんなブランドで、そこに特化したニューモデルを出すにあたっては、独自の優位性、プレミアム感が必要でした。ドライバーに執拗にトライデントあるいは「マセラティ」のブランドを主張する設えや、初の全モデルエアサスペンションの採用などで、ベースとなっているギブリにも負けないフラットでジェントル…。そしてスポーティーな振る舞いすら見せるのです。一度アクセルペダルを踏み込めば、GTである主張も当然のこととして披露してくれるこのレヴァンテ。ビトゥルボが世に出た時だって、それなりの抵抗がファンの中にはあったのではないでしょうか。それを思うと、レヴァンテいいじゃないか!心ときめく一台でした。

しかし、今年乗った一台としては、シボレー コルベット グランスポーツを挙げておきたいと思います。まさに内燃機関の最後のきらめきを見たような気がしたからです。6.2リッターV8 OHVエンジンというのも唯一無二ですが、それと組み合わせられる7速のMTを操りながら、デロデロとトルクの波を背で感じて走ることは、おそらく金輪際人間が許されることのないことなのではないでしょうか。日本で本気を出せる場所などありません。7速あったって使い切れっこないのです。でもそういう問題ではないのではないか。あの時乗って、思わずほろりと熱いものがこみ上げてきた。そんな体験はここ最近ありませんでした。できることならもう一度乗りたい。利口な人は日本の道路事情に合わせたクルマがないから日本でアメ車は売れないとアメリカに食って掛かる。しかしそうではないと思うのです。アメ車はこうでないと。

昔のイギリス車よりも旧弊で、イタリアのクルマよりも日本のことなどみじんも考えていない。明日のことを考えるのはドイツ車に任せた。こういうキャラクターのクルマに乗って豪快に笑っている陽気なアメリカにこそ、魅力を感じるのではないでしょうか。トランプ政権からの要求にこたえられる奴はお前しかいないんだ!無責任にもそう思わずにはいられないので、この「陽気な特殊車両」を今年の一台としたいと思います。

[ライター/画像 中込健太郎]

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