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ドイツ現地レポ

更新2017.03.23

走行規制で需要増?ドイツのエコで得するまちづくり「パークアンドライド」とは

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NAO

「パークアンドライド(Park&Ride)」という制度をご存知でしょうか?都市中心部へ車で直接入らず郊外に駐車し、そこから公共機関を利用して目的地まで足を運ぶことを言います。

公共交通機関を利用することで地方自治体の経済を活性化


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この制度を初めに取り入れたのは、ドイツのフライブルク市。小さな街ですが環境首都として世界的に有名です。ここでは街の中心部直径約700mで乗用車・バイクの乗り入れが禁止されており、唯一利用できるのは路面電車。各路面電車の終点駅には無料駐車場があり、ここで車を止めて市街地まで移動します。

このシステムのメリットは、公共交通機関を利用することで地方自治体の経済を活性させること、渋滞緩和、そしてなにより環境保護が一番の狙いです。

街中心部にある教会などの遺産建築を守ることもありますが、交通量を減らすことで配達業などの業務スムーズ化、また交通事故率を減らす目的もあります。

ドイツではフライブルク市だけではなく、全国各地ほぼすべての街に取り入れられています。無料、そして日を跨いでも駐車できるので、毎日の通勤や数日間出張や旅行で電車・飛行機を使い、数日後に帰ってくる場合にも重宝します。

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▲「P+R」の表記があればパークアンドライド併設駅

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▲鉄道駅のパークアンドライド。朝は常に満車状態

クリスマスマーケットなどのイベントシーズンは世界中から観光客が押し寄せるので、各市もこの制度を利用するように呼びかけています。レンタカーを借りてドイツを旅行する際など、パークアンドライドがあることを覚えておくといいかもしれません。最近ではウェブサイトやアプリで近くのパークアンドライドの空き具合も検索できるようになっているので便利ですよ。

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▲ケルンの駐車場地図。パークアンドライドを意味する「P+R」の表示が街中心部にはなく、郊外&鉄道沿線にあるのがわかる

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日本でもパークアンドライドは増えている


日本では観光地である京都と奈良をはじめ、今では羽田空港周辺でもパークアンドライドを取り入れており、実際渋滞量は緩和されているようです。京都府だとパークアンドライド制度を通して年間約110億円の利益が出ています。

最近では商業施設・観光地周辺だけではなく、各交通機関もパークアンドライドを提供しています。しかし、パークアンドライド通勤を推奨するまで十分な大きさの駐車場が確保できていないことも課題となっているようです。

ヨーロッパの街は昔より城壁に囲まれ、建物が集中していたこともあり、未だ城壁外(郊外)に空いた土地が多く、広大な駐車場が造れるのもパークアンドライドが普及した1つのポイントでしょう。

今後の環境政策に伴い、大都市ではますます需要が高まるか


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先月、ドイツ在住者にとって大きなニュースとなったのは、シュトゥットガルト市が来年より市中心部のディーゼル車走行禁止を決定したこと。市内在住約38000人のドライバー達が影響を受けると言われています。

規制区域の走行が許可されているのはユーロ6基準を満たした車種のみで、2015年製造モデルでさえユーロ5認定となっているディーゼル車は実質ほぼ排除ということとなります。

フライブルク市より3倍の人口を抱える大都市シュトゥットガルトとなると、この走行禁止令はかなりの大事となりそうです。切り替え始めた人が多いとはいえ、ドイツではディーゼル車がまだまだ主流となっています。来年よりマイカー通勤ができなくなる市民も増えることから、同市はパークアンドライドエリアを更に増やす予定となっています。

来年のシュトゥットガルト市を皮切りに、今後ミュンヘンやフランクフルトなど大都市からこの環境政策が施行されていく見込みです。ドイツは小さな街だと鉄道駅もなく、クルマがないと生活できない地域も多くあります。そのためドイツ人のマイカー通勤率は高く、他都市から通っている人も少なくありません。通勤通学者、旅行者関わらず、パークアンドライドの需要は今後更に高まっていきそうです。

[ライター・カメラ/NAO]

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