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ドイツ現地レポ

更新2018.08.09

「Käfer」の愛称で親しまれる、ドイツの誇る名車「フォルクスワーゲン・タイプ1」!そのカルマン製カブリオレをご紹介

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守屋 健

連日30度以上の異常な暑さが続くドイツ。筆者の住むベルリンの近距離電車や地下鉄には冷房がなく、うだるような暑さに現地の人々はじっと耐えています。バスや路面電車ではエアコンが効いていることが多いですが、冷房能力を超えた暑さのせいなのか、それほど涼しくないことが多いです。現代のほとんどのクルマにはエアコンが装備されていますが、エアコンのない古いクルマたちからすると、なかなか厳しい季節ですよね。

シトロエン2CVやフィアット500のように、エアコンがないクルマの暑さ対策としては、とにかく「屋根を開けること」に尽きます。日差しの強い場合はそれも限界があるとは思いますが、今回ご紹介するクルマもその例に漏れず、太陽の下で幌を全開にして停まっていました。ドイツが誇る名車中の名車、フォルクスワーゲン・タイプ1のカブリオレです。

ドイツでの愛称は「Käfer(ケーファー)」




フォルクスワーゲン・タイプ1、と一般的に言われているクルマの正式名称は、「フォルクスワーゲン1303S」というように、フォルクスワーゲンの後ろにただ単に数字とアルファベットが付くだけのものでした。この個体の場合は「フォルクスワーゲン1302LSカブリオレ」というのが正しい呼び名なのですが、やはり英語圏で呼ばれている「ビートル」「バグ」や日本での「かぶと虫」という名前の方がやっぱり馴染みがありますよね。ドイツでの愛称は「der Käfer(ケーファー)」で、かぶと虫やてんとう虫、こがね虫などの甲虫を意味します。ちなみにタイプ1はドイツ語で「Typ eins(テュープ・アインス)」といいますが、多くの人々はもっぱら「Käfer!」と呼んでいますね。

フォルクスワーゲン・タイプ1のカブリオレモデルは、ヘブミューラー製の2座席タイプと、カルマン製の4座席タイプの2種類が生産されました。写真の個体はカルマンで生産された4座席タイプです。リアに「VW1302LS」のエンブレムが貼られていますが、それによれば1970年から1975年まで生産された当時の高級仕様「LS」モデルということになります。パワーユニットは開発当初の1.5倍以上にも拡大された1,584cc空冷水平対向4気筒エンジンで、最高出力50馬力を発生。最高速度は135km/hに達していました。

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幌を開けたまま駐車…大丈夫?




ちなみに、ヘブミューラーが開発した2シーターカブリオレは、1948年から1953年の5年間にわずか696台しか生産されませんでした。現存している数も90台前後と言われており、ドイツのクラシックカーイベントでもなかなかお目にかかることのできない貴重な存在となっています。筆者も、ヘブミューラー・カブリオレをドイツの公道で見かけたことはいまだにありません。

ドイツで生活していて驚くのが、オープンカーの幌を開けっ放しで駐車することが当たり前、ということです。さすがに車内に荷物を残したままクルマを離れることはありませんが、中古のマツダ・ロードスターやBMW Z3といった手頃なオープンカーから、今回のタイプ1のような古いカブリオレ、果てはメルセデス・ベンツの現行SLクラスまで、屋根を開けたまま駐車している姿を見かけると「大丈夫かな…?」とこちらが心配になってしまいます。近年治安が悪化していると言われているベルリンでも、幌を開けたまま停めているクルマは日常的に見かけるので、いたずらや盗難は意外なほど少ないのかもしれません。



Hナンバーに代表される、古いクルマを大切にする制度や保険、文化が育っている国、ドイツ。オープンカーの幌を開けっ放しで駐車することが当たり前の社会。そして、愛車に愛情を注いで、古いクルマでも日常の足としてガンガン使うオーナーたち。エアコンが付いてない?大丈夫、暑いけど幌を開けて走ろう!そんなオーナーの声が聞こえてきそうな、フォルクスワーゲン・タイプ1カブリオレ。ガソリンエンジン車が公道を走れなくなるその日まで、いつまでも元気に走り続けてほしいですね!

[ライター・カメラ/守屋健]

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