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ドイツ現地レポ

更新2023.11.22

設計に「ストーリー」が宿っている、フィアットクーボ

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中込 健太郎

私の現在の愛車がマセラティ430とシルビア ヴァリエッタ。なかなか我ながら上手い組み合わせだなと満足は満足なのですが、クルマ好きの悪い癖で、「もし・・・なら」とか実現の可否はともかくとして「ガレージワードローブにおける無責任な反実仮想」に想いを馳せるというのはよくやることであります。

そういう観点では、どうしても荷物の積めるクルマ、プロユースに寄ったキャラクターのクルマ、人を乗せられるクルマはどうしても見過ごせず、興味が行ってしまうのです。日本でもルノーの今屋台骨の一つがカングーだそうですね。おそらくカングーのシリーズだけを製造しているモブージュ工場の人を始め、ルノーの人は不思議に思っているかもしれませんね。乗用車ではなく荷物車ばかりが売れる日本のマーケットのことを。しかし、そこがいいのです。無駄を排したデザイン、作りはフランスらしさの現れるところですし、固めのシートもかえって疲れず、近場のおつかいから長距離の旅行まで難なくこなす、そんなところが全く文化の違う日本でも受けているのでしょう。しかし、ヨーロッパに行くとルノーばかりがこういうクルマを販売しているのではなく、多かれ少なかれ各社こういうクルマを販売しています。

設計に「ストーリー」が宿っている、フィアットクーボ

レポートで送られてきた、ドイツの街角に走るこのクルマもそんな1台と言っても言いでしょう。フィアットクーボ。日本にも少量、すでにヨーロッパの日常に憧れた人が日常のアシにするべく、並行輸入で日本にも持ち込んでいますね。ラテン系のクルマの集まりやイベントでは時々お目にかかることができますね。ただ、正規輸入はされていないため、フィアットのディーラーでは購入することができません。

設計に「ストーリー」が宿っている、フィアットクーボ

前にも申し上げたかもしれませんが、日本ではなんだかどうしてイタリア車なんか買うのか、道楽が過ぎる、と考える人も少なくないかもしれません。確かに、日本に比べるとやや工作精度の面で難があり、またばらつきがあったりして、整っていいことだけをよしとするなら日本車の持つそういった「行き届いた感じ」は希薄だと思われるかもしれません。

しかし、正直申し上げて、設計のまじめさ、そしてクルマ全体隅々まである種の一貫性というか、設計に「ストーリー」が宿っている点においては日本車はおろか、ドイツ車やフランス車にも勝るとも劣らないものがある。そういっても差し支えないでしょう。特にフィアット。「所詮イタリアの大衆車でしょ」と軽んじると、その大衆車風情でさえしっかりと機能性とのバランスも絶妙な、完成されたキャラクターを持ったデザイン、必要にして十分以上、使うほどに愛おしくなるその表情に、ある種のショックを受けるかもしれません。

異質ではあるにせよ、国産車ではかなりの高級車でもない感じ、それはこのクーボのように珍しいものではなくとも、ディーラーで購入することができるパンダあたりを見てもわかるかもしれません。運転席に座ると、どこまでも走りたくなる。荷車であっても家族を乗せ、友達を誘いたくなる。荷室に積むのは画材でしょうか?

早起きして作ったサンドウィッチを入れたバスケットでしょうか?フィアット風情がこういうことをするから、まったくイタリア車にはかなわない。そう思わずにはいられない。そんなクルマだと言っても良いでしょう。

[ライター/CL編集部・中込健太郎 カメラ/ドイツ駐在員]

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