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ドイツ現地レポ

更新2018.07.19

個性的なスタイルと世界初の4WSを併せ持つ!3代目ホンダ・プレリュードとドイツにて邂逅

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守屋 健

ワールドカップの喧騒も過ぎ去り、筆者の住むベルリンにも普段通りの静かな夏が戻ってきました。この時期、とくにドイツで目立つ日本車といえばマツダ・ロードスターが挙げられるでしょうか。フルオープンで颯爽と走る姿は、見ていてとても爽快感があります。

ところが、それ以外の日本車といえば、タクシーに使われることの多いトヨタ・プリウス、小型ハッチバックであるトヨタ・ヤリスや日産ミクラ(マーチの海外での名前)くらいで、ドイツの公道を走る日本車は思っていたよりも少ないな…というのが筆者の印象です。

そんな中、絶対数こそ少ないですが日産GT-R(R35)の存在感はさすがに圧倒的で、駐車していても走っていても注目度は抜群です。その日もたまたま駐車していたR35を眺めていたら、すぐ近くに、低く平べったいスタイリングのクーペを見つけました。新車ではもう見ることのできないリトラクタブル・ヘッドライトを装備し、一世を風靡したスペシャルティカー。今回の主役は、懐かしい3代目ホンダ・プレリュードです。

64万台弱生産の大ヒットモデル




見つけた時に思わず「あっ」と声を上げてしまったほど、ドイツでは見かけることの少ない1980年代〜1990年代の日本車。クラシックカーのイベントに参加するには「まだ早い」この年代のクルマは、公道ではなかなかお目にかかれません。まして、かつて64万台弱が生産され、日本では大人気を誇ったものの、21世紀に入ってからは急激に姿を消していった3代目プレリュードと、ここドイツで再会できるとは思ってもみませんでした。

3代目ホンダ・プレリュードのデビューは1987年で、1991年までの4年間販売されました。エンジンは2リッター直列4気筒のDOHCとSOHC、北米向けの2.1リッター直列4気筒の3種類がラインナップ。今回撮影した個体は、2リッターDOHCモデルのようですね。ボアxストロークは81x95mmとホンダとしてはロングストローク設計となっていて、最高出力145PS、最大トルク17.8kgmを発生しました。

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薄いボンネットと絶滅種「リトラクタブル・ヘッドライト」




3代目プレリュードの外観でもっとも目を引くのが、ここに2リッターのエンジンが収まっているのか?と思ってしまうほど低く、薄いボンネットです。フロントタイヤのホイールハウスからボンネット上端までの薄さは、まさにミッドシップカー並みと言ってもよいでしょう。この狭い空間になんとかエンジンを収めるために、エンジンを18度後ろに傾けて搭載し、カムシャフトのタイミングプーリーやクランク軸のドライブプーリーを小径化するなど、数々の工夫がなされています。



それから、リトラクタブル・ヘッドライトも当時を代表する装備と言えるでしょう。対人事故での安全性の問題や、部品増による重量増・コスト高、空気抵抗の増加などの多くの問題を理由に、新車市場から姿を消して久しい装備ではありますが、やはりこのデザインが好きだ!という方も少なくないのではないでしょうか。同じくホンダのNSXがリトラクタブル・ヘッドライトを採用していましたが、後期型NSXで固定式ヘッドライトに変わってしまった時は、筆者も寂しく、残念な気持ちになったのを覚えています。

量産車世界初、4WSを搭載




3代目ホンダ・プレリュードを語る上で外せない話題が、量産車世界初となった機械式4輪操舵システム、4WSでしょう。ステアリングの舵角が小さい時は前輪と同位相に、ステアリングの舵角が大きいと前輪と逆位相に後輪が操舵するシステムはまさに画期的で、4WSなしのモデルに比べて最小回転半径が50cmも短縮されていました。切れ角は最大でも5.3度で、注意深く観察しないとわからない程度でしたし、電子制御ではないため速度や横Gなどを考慮した制御はできませんでしたが、そのアイディアは現代でも脈々と生き続けています。BMW、アウディ、フェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェ、ルノーといったメーカーを中心に、電子制御化されながら再び採用されることが増えているのは特筆すべき点でしょう。

かつて「デートカー」と称されつつ、内部には先進の技術を秘めていた3代目ホンダ・プレリュード。「サンルーフ全車標準装備」ということもあり、室内は明るく、低速ではかなり軽い操舵感のパワーステアリングと相まって、女性からも支持を受けたこのクルマ。写真の個体のオーナーは男性でしょうか、女性でしょうか。これからもドイツの地を元気に走り回ってほしいですね!

[ライター・カメラ/守屋健]

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