クルマ文化をモノ語るイベントへ。トヨタ博物館・布垣館長へ独占インタビュー

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今回、トヨタ博物館クラシックカーフェスティバルを取材するにあたって、布垣館長にお話を伺いたいというオファーを申し込んだのですが、てっきりちょっとした質疑応答で終わると思っていたらなんと、応接室に案内され60分に及ぶ独占インタビューとなりました。

トヨタ博物館の応接室に通される……筆者自身こんな日が訪れるなど全く想像もしていませんでした。「クラシックカーに乗っていると普通は信じられない事に遭遇する」以前、そんなことを記事内に書いた自分自身、今回のトヨタ博物館クラシックカーフェスティバルで信じられない状況を目の当たりにすることになりました。

1989年の開館以来、もう数えきれないくらい通い詰めたはずのトヨタ博物館で一度たりとも入る事の許されなかった、受付奥の関係者スペースに案内され重厚な扉の向こうの、自分が立ち入る日が来るなど全く想像もしなかった応接スペースに案内され、緊張ながらしばし待っていると布垣館長がお見えになり、インタビューが始まりました。

─私自身イベントには第一回から欠かさず通っております。まずこのイベントの開催の経緯や理念についてお聞かせ願えますか?

僕の理解では、博物館の設立当初からのイベントで、館の設立当初の理念とクラシックカーフェスティバルの理念は連動しているものと理解しています。トヨタ博物館の理念は皆さまと共にクルマの歴史を学んで人とクルマの豊かな未来のために博物館を作りました。単純に古いクルマを並べるだけでなくて、人とクルマの豊かな未来をどうやって考えるかというために博物館を作りました。トヨタ博物館の特徴として古いクルマを動かない静態保存するだけでなく動態保存でちゃんと動く状態で保存することでクルマの魅力を伝えたいというのがあります。クラシックカーフェスティバルというのは、実際に動くクラシックカーがあつまる絶好の機会なわけです。皆さんにそういうのを見ていただいてクルマの文化を豊かにしていきたいなと思います。

─動く昔のクルマを実際に見てもらってそれを文化につなげるということですか?

これは私がクルマを開発する側にいた知見を申し上げると、『クルマは動いてナンボでしょ』と、クルマはいわば走るために作られている機械ですので、形も機能も走ることを前提に全て考えられているものですからその姿で見ていただかないと動物を剥製状態で見ているのと変わらないというか。


▲布垣館長による博物館所蔵トヨタ2000GT「007は二度死ぬ」劇用車デモンストレーション走行

─クルマからちょっとそれるんですが鉄道マニアの間で『生首保存』というのがあって、交通博物館なんかで新幹線を半分に切って顔だけを壁にくっつけて保存するのがあるんですが、鉄道マニアの間でもこの保存方法はあまりよく思われてないらしいんですよ。せめて静態保存でいいから全部残してくれという話もあるそうです。

すごい表現ですね(笑)

─まだ自動車はいいですよね。僕は冗談半分で海に沈んだ戦艦大和を引き上げたってレストア出来ないけどトヨペットクラウンなら、山の中に放置してあるのでも、頑張ればレストアできる。零戦レストアするくらいなら腐り落ちたクラウンをレストアする方が簡単だといったりするんですよ(苦笑)。確か今はトヨタ博物館の所蔵車両は全て動く状態で保存しているんですよね?

基本展示してあるクルマは動く状態で保存されていて、ただ、それぞれのクルマの状況によって多少違います。というのは、パナール・ルバッソールみたいなクルマというのはエンジン始動するだけでも結構大変で、プリバーナーで火をつけるような簡単に点火プラグで着火するようなものではないですし、あるいは蒸気自動車みたいなクルマもありまして、こういったクルマの場合あまり動態保存に拘るとかえって錆が進んでしまうんので、場合によっては水を抜いた状態で保存しておいた方が錆とか防げるということもありますから、今は蒸気自動車の場合、あえて圧縮空気を入れて燃料を入れて動かす事に拘ずに保存しています。

そういう事もありますし、歴史的に大事なクルマはあえてそのままの状態で残しています。わかりやすい例でいうと大統領が乗っていたクルマとかは大統領が座っていた椅子の皮を替えたら意味がなくなるわけです。例え見た目が古くなってもそのまま残しておいた方がいいクルマもあるんです。

─実は私もセリカLBをフルレストアしたんですが、断腸の思いでした。一昨年まで一切手付かずのフルオリジナルだったのですが、シートもボロボロでフロアに腐食も発生しましてもうしょうがないと塗装も、シートも純正だったのですが、手元に戻ってきたときは一抹の寂しさがあったというか、大事にしていたクルマを手放したような……

別のクルマになっちゃったと(苦笑)そういうクルマというのは他の物に置き換えてしまうと歴史上の価値が低下してしまうものですから、そういったクルマに関しては何が何でも動かすということに拘らず保存することも考えられます。

─オランダのローマン博物館のAA型もそれに近い考え方なんですか?

実車見られました?

─いや、まだオランダまで行ける身分じゃないので(苦笑)いずれは見に行きたいなと。

あそこも、世界で初めてのクルマだとか、映画で使われたクルマだとか、AA型もそうですけど、見つかったそのもの、その状態で置かれていたそのものに価値があるというクルマに関してはそのままにしてすね。

─たしかイスパノ・スイザもそのままですよね。

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この記事の筆者:鈴木 修一郎

愛知県名古屋市在住。幼少期より自動車が好きで、物心着く前から関心の対象はニューモデルよりもクラシ...