トヨタ博物館で「日本のクラシックカーの昔と今」について語り尽くす

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クラシックカーが好きな方も多いカレントライフの読者の皆様の中には、トヨタ博物館の布垣館長が昨今のクラシックカーの事情についてどう考えておられるのか知りたいという方も多いと思います。ズバリ、昨今の日本でのクラシックカーの事情についてもどう思われているかについてもお話を伺いました。

─ちょっとシビアな話になるんですが……昔は国産車のクラシックカーが格下に見られていた時期があったと記憶してるんですが、それについてはどう思われていますか?

別にクラシックカーに限らずトヨタ自動車も含めてですけど、トヨタ自動車が創業した時点で欧米のクルマって50年近い歴史あったわけでですし、トヨタが50周年の時点で100年の歴史の中で半分だなと言う認識だったんじゃないかと思うんですよね。ですからトヨタ博物館が創館された89年時点でトヨタが50年、ベンツは100年だったとかいう感じから言うと、この博物館が出来た時には成人の半分くらいしか歴史がなかったんです。勿論それに加えて、実際日本車が89年以降に急激に海外に生産を移していったわけで、それ以前の50年と言ったら国内の市場がメインで海外で日本車が認めていただけるにはまだまだ歴史が浅かったでんすね。

ですからトヨタ博物館が出来てから今年で28年なんですが、それ以前の50年とその後の28年では実はクルマの生産量は博物館が出来てから作られたクルマの生産量の方が倍くらい多いんです。ですから歴史がそれ以前とそれ以後でかなり様変わりしていって……ですから、これは量が出るということではなくって実際に直接日本のクルマに乗られたり、接する機会が急激に増えていたわけですから、世界の中で日本のクルマの位置づけというのがそれと並行してだんだん認めていただけるようになったんです。

─レクサスのLS400(初代セルシオ)とか、あとNSXとか輸出はしてなかったですけどGT-Rがニュルブルクリンクでフェラーリ、ポルシェに迫る数値を叩き出したっていう……やっぱりあのあたりが一つのターニングポイントみたいになったと?

もちろん60年代の2000GTのスピードトライアルもターニングポイントになったと思いますが、結局そういった事の積み重ね一つ一つで世界に一つずつ、日本の自動車メーカーのクルマがそういうタイミングで認知されていったんだと、それから30年ずれてクラシックカーの価値に移行していくわけですから、ある意味今になってようやくそういったものが世界中の人たちに認められ始めたのかなと。

ですから、日本のクルマがオークションで良い値段が付いたというのも、純粋にクルマとして良い物は良い、別に日本車だから良いとか悪いかではなく日本車の中でもいいクルマはあるだろうし、そうでないクルマもあるだろうし(苦笑)。それは純粋に良いものは良いという時代になってきたと思うんですね。

─ここ数年クラシックカーの市場価格が暴騰しているというのは博物館の方としてはこの状況についてはどう思われてるんでしょうか?

例えばオークションの価格だとか、そういった市場での販売価格について問い合わせがあった場合は、それはお答えできないと言ってるんです。それは何故かと言うとクルマの歴史的な価値とオークションの価格というのは別だと言う風に思ってます。勿論、全く関係ないわけではないと思います。ですが、例えばトヨタ博物館があのクルマをこれこれいくらぐらいすると言うのを市場価格に反映されては困るなと……歴史的な価値があるものと市場の価格が連動するというのはあると思うんです。

例えば値段の高い物の代表選手に上げられてるトヨタ2000GTがあるんですが、値段が上がる事自体は、あのクルマのスタイリングにあるとか当時の性能であるというものが、それなりに社会にインパクトがあっただろうし、かつ、今見ても良いものは美しいと言う風に見ていただけるというのはそれはやっぱり美術品といっしょで、時の流れに耐えるだけの力があるからそういう値段がついてるんだと思うんですよね。そこについては我々も嬉しいことだと思いますし、だけれども、だからといってそれが何億円だというのが適正かっていうのは我々も預かり知るところではありません。

一方でクルマの愛好家を増やすということでは適切な値段というのはあるかもしれませんし、それを超えた評価が付くことでクルマの魅力が伝わりにくくなるんだとしたらそれは問題だと思いますし、例えばクルマの魅力と全く関係ない所で、これを持っておくと後で得をするとか得しないとか、投機目的で買われてしまうのはクルマの文化とは違う話になってしまうので、そこは我々の口出しするところの話じゃなくなっちゃうんですよね……例えばバイオリンなんかでもストラディバリウスという名器になった途端、何億円になっちゃいますよね。クルマの値段にもまして凄い値段になっちゃってますけど、世間があの音をどのくらい理解できるかとかは別として、そのぐらいの価値が付くことで人の注目を集めることは確かだと思います。

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この記事の筆者:鈴木 修一郎

愛知県名古屋市在住。幼少期より自動車が好きで、物心着く前から関心の対象はニューモデルよりもクラシ...