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更新2017.10.25

何も知らずに来てクルマが好きになるイベント。ナゴヤクラシックカーミーティング2017

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鈴木 修一郎

週末必ずどこかでクラシックカーイベントが開催されているこの季節ですが、今回は毎年名古屋グランパスエイトのホームグラウンドでもある豊田スタジアムで開催されたナゴヤクラシックカーミーティングのレポートをお届けしたいと思います。

ナゴヤクラシックカーミーティングはどんなイベント?


ナゴヤクラシックカーミーティングは、以前クラシックカー用のカーオーディオのソリューションとして紹介した「ミュージオ」のクラシックカーナゴヤ(http://www.n-classiccar-jp.com/)が主催しているイベントで、筆者がスバル360を購入した当時から開催されていた記憶があるので、すでに20年近い歴史があります。

参加可能な車両は1985年以前に生産された車両、また主催のクラシックカーナゴヤの樋口さんの「もっとフレンドリーで誰でも気軽に楽しめるクラシックカーイベント」というコンセプトで、エントリー車両の基準も緩く、新車から乗り続けてそのままクラシックカーになってしまったフルオリジナルのワンオーナー車からエンジンスワップのフルカスタマイズまでさまざまです。あからさまな違法改造車でない限りとりあえず年式さえクリアしてればOKのイベントなので、クラシックカーオーナー初心者の方でも参加しやすいイベントかもしれません。

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展示される名車たちの一部を紹介


この日は生憎の天気でしたがさっそく、駐車場からもうクラシックカーイベントは始まっていました。



先日「VWの汎用性」についてお伝えしましたが、駐車場に着いた筆者の目に真っ先に飛び込んできたのがまさにそのBAJA1000仕様のVWでした。さすがVW(?)BAJA仕様でも日本の保安基準を満たす事が可能なばかりでなく、愛知県内ではごくまれに路上で見かける事もあります。



いい感じのヤレ具合のルノーキャトル。雨の降りしきる中このアンニュイな感じを醸し出すのは、やはりフランスの大衆車ゆえのなせる技といったところでしょうか。



現在もクライスラーのディヴィジョンとしてその名が残る「ジープ」を三菱が長年国内生産していたという歴史も忘却の彼方へと消えていくのでしょうか…今でいうSUVのはしりとでもいうべきジープのロングホイールベースのクローズドボディのJ36系モデルです。



ポルシェ914もこの雨の中頑張って来ていました。本来なら屋根付きガレージで保管しているようなクルマでも、イベントやミーティングは雨の中でも来るというのはクラシックカーオーナーにとっては一種の矜持のようなものかもしれません。

「クルマに興味のない人でも親しめるイベント」の意味とは


また前述のとおりこのイベントの特色のひとつが、「クルマに興味のない人でも親しめるイベント」であり、元々主催のクラシックカーナゴヤの樋口さん自身がクルマ以外にもアーティストやロックフェス等のイベントを主催している方とあって、ナゴヤクラシックカーミーティングもクルマの展示以外に大道芸人やビンゴ大会等、さまざまな催し物がありクルマ好き以外の人も飽きさせないイベントです。


▲例年ならジャグリングやバルーンアートで盛り上がってるハズなのですが、生憎の天気が…


▲一部ではディープな人気をもつ「農発」の運転会もまたこのイベントの名物です。



農発とは、主に灯油や軽油を燃料に動く焼き玉、マグネトー点火のシンプルな農業用の汎用エンジンで、脱穀機や揚水ポンプの動力源として使われ、戦後の農家の省力化に貢献したといいます。

現在ではクラシックカー趣味の派生として、純粋に趣味の対象としてレストア、運転する愛好者が増えていますが、まだ一部の農村では稀に現役で稼働してるケースもあるそうです。この日もまた独特の匂いを漂わせながら「パシュン、パシュン」という音をたて自慢の愛機をお披露目する愛好家が集まっていました。



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一桁ナンバーを掲げた名車たち




ジャパニーズヒストリックナンバーとでもいうべき、一桁ナンバーを掲げた昭和41年型MS41型トヨペットクラウン。今やクラウンもダウンサイジング化の流れで直4のダウンサイジングターボの小排気量へと移行していますが、SOHC6気筒M型エンジン搭載を示す2000のエンブレムが誇らしげです。当時の日本ではまだまだ5ナンバー枠一杯の2Lセダンも十分フルサイズだったのでしょう。



後ろに回るとなんとトヨグライド・オートマチックのエンブレムが…実はこのクラウン昭和41年型にして2速フルオートマチックのイージードライブモデルでした。まだまだ当時は高級車のオプション装備だったオートマチックトランスミッションもこの後20年を待たずして、国産車に急速に普及していきます。





雨天の中まるで突き刺さるような赤が印象的な初期型いすゞベレット1600GT。正確な年式は失念してしまいましたがホイールの形状から昭和40年前後と思われます。国産車でGTといえばスカイラインがお馴染みですが、実は国産車でGTグレードを設定したのは実はいすゞベレットのほうが先です。





何故かこの日はこの天気の中ベレットの中でも非常に希少なモデルが集まっていました。昭和44年型いすゞベレット1600GTファーストバック。知る人ぞ知るベレットのファーストバッククーペモデルです。昭和42年から3年間受注生産されたモデルで総生産台数は349台というごく少数が生産されたのみです。3連の丸型テールがいかにも60年代のクーペという雰囲気を醸し出しています。





やはりベレットの締めは昭和44年型いすゞベレット1600GTR、G161W型ツインカムエンジンを搭載したベレットのハイエンドモデルとなるのですが、因果な話でベレGもまたスカイラインGT-Rほぼ同時期に「R」を名乗る事になります。当時、メーカー間のモータースポーツ活動が異常なまでに苛烈の一途をだどっていた中「レーシング」を意味する「R」という名を冠するというのは特別な意味合いがあったことでしょう。



昭和43年型トヨペットコロナ。不思議な物でこのクルマの独特の佇まいから「もしや?」と思ったところ、昭和43年の新車購入時から平成26年まで同一オーナーで現在は新車購入時のオーナーの息子さんが所有しているという、ワンオーナー車の同一家族内譲渡車でした。筆者だけがそう思っているのかもしれないのですが、同一家族内で大切にされているクルマというのはフルオリジナルコンディション車の中でもまた違ったオーラを放っているように思えます。



会場内にあったただならぬ雰囲気をもったスバル360…



なんと赤帽サンバー用のスーパーチャージャー付EN07エンジンスワップ仕様!(構造変更申請済み)筆者もウワサには聞いていましたが、まさか地元愛知県の車両だとは知りませんでした。ちなみに軽自動車の規格は、その車両製造された当時の基準が適用されるため、360cc規格の軽に660ccエンジンを搭載した場合、車検証上は小型乗用車扱いになります。

名車とお宝パーツ




この雨の中オープンボディの昭和34年DKA型ダイハツミゼット、これこそがトゥクトゥクのルーツとなった初期型のミゼットです。モーターサイクルと同様シンプルなキックスタート方式のエンジンは新興国では重宝された事かと思います。



トゥクトゥク用の補修パーツという思わぬ形で現在も入手可能という、例のバーハンドルです。



1958年型シボレーベルエア、実は筆者も個人的には57年型のベルエアが好きだったりします。GMのシボレーディヴィジョンの中でもベルエアは若者向けのエントリーモデルとしてのポジションも担っていたこともあり、成功者の象徴キャデラックと並びベルエアは青春の象徴として50’sアメリカンのアイコンとなっています。



左右独立のテールパイプがまさにアメリカンV8の証。オーナーの話では1958年型では一旦テールフィンがおとなしくなったことが当時の市場では受け入れられず、再び1959年型から、巨大なテールフィンに戻ります。



基本、メンテナンスはオーナー自らDIYというベルエアのトランクの中にはお宝パーツがギッシリ!中には希少な当時物の純正部品も…オーナーの方の話では人気のある56年型と57年型は部品には困らないものの、人気薄の58年型は外装部品の入手が難しいという話ですが、純正新品のオーナメントの価格を聞けばそれでも国産クラシックカーオーナーの筆者には羨ましい限りでした。

また、テールフィンの50’sアメリカンもまた昨今のクラシックカーブームは例外ではなく、「ベルエアもプリマス・フューリーもみんな高騰して、僕が買った時はまだ買える値段だったけど、今は手放したらもう買い戻すことが出来ない」と漏らしていました。クラシックカーに文化的価値を見出されるのはいいものの、本当に好きな人の手に渡らないという点では市場価格暴騰は考え物かもしれません。



1967年型フォードカスタム500、1950年代の華美なクロームとそびえるようなテールフィンから一転して、1960年代後半にはプレーンなデザインに落ち着きます。



やっぱりこのあたりの時代のアメリカ車といえば、筆者が幼少期にTVで見ていたアメリカのカーアクション映画の刑事の愛車やサンフランシスコ市警のポリスカーとしてシスコの坂を駆け上がっていくあのイメージが蘇ります。



1969年型VWカルマンギアタイプ34、今回のイベントは欧州車が少な目でしたが雨の中ドイツ車が奮闘していました。



よく見ると右ハンドルでリアウィンドーにはYANASEの黄色いステッカーが、実はこのカルマン、実走行104000Kmの正規輸入車だそうです。



年式を確認するのを失念してしまったのですが、バンパー埋め込みのウィンカーから1970年代後半のVWタイプⅠでしょうか。いくつかの欧州車が参加をキャンセルする中、今回のイベントの欧州車勢はVWが圧倒的でした。やはりそこは質実剛健な実用車のドイツでしょうか。



こういうイベントというとケータリングスタンドもお楽しみのひとつですが、VWタイプⅡも現役のキッチンカーとして頑張っています。



こちらのタイプⅡレイトバスのオーナーは女性の方で、元々ビートルに乗っていてたという筋金入りのVWフリークの方でした。「お料理が好きで大好きなワーゲンバスで移動販売をするのが夢だった」そうで、ワーゲンバスのキッチンカーは正しく天職ともいえる職場のようで彼女の顔はとても輝いていました。もちろんポテトフライは絶品でした。

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クラシックカーイベントといえばスワップミートでお宝さがし




こういうクラシックカーイベントといえば、スワップミートでお宝さがしにいそしむ方も多い事でしょう。先日紹介したTHサービス同様、国産クラシックカーのリプロ部品の供給に取り組んでいるパーツアシストさんに少しだけお話を伺うことが出来ました。


▲通称1ピースグリルと呼ばれる昭和45年型スカイライン用グリルのリプロ品



パーツアシストはハコスカを中心とした日産車のリプロ部品を供給しているのですが国産クラシックの中でも人気の日産車、中でもスカイラインは同じ国産クラシックの他メーカー車のオーナーですら羨ましくなるくらいリプロ品のラインナップが充実しています。やはりTHサービス同様、こちらも日本で企画した部品を海外の工場で製造するというシステムで、現地の工場に直接指示を出しているため品質や精度の管理も万全で、実際に複数の同型車で現車合わせの確認もしているそうです。

古いクルマではどうしても個体差があり、車体のヘタり方も個体によって違うため、フロントグリルひとつでも、ただ図面通りに作れば即ポン付け出来る部品が量産できるわけでも無いという独特の苦労があります。国産車もメーカー純正、社外品問わずこうしたリプロ部品の供給の動きが広まることを願うばかりです。

マニアの聖域みたいなものが無いイベント


今年は生憎の天気のため、一部参加車両のキャンセルや客足が遠のいてしまったことが残念ですが、本来なら参加者も見学者もカジュアルに楽しめるイベントで、クルマのイベントにありがちなマニアの聖域みたいなものが無いのがナゴヤクラシックカーミーティングの醍醐味です。

何も知らずに来て気が付いたらクラシックカーが好きになっていた、そんなイベントがもっと増えて欲しいと願っています。

【取材協力】
店名:Whoopie frites(移動販売)
公式サイト:https://ameblo.jp/whoopiefrites/
連絡先:flyingacebus@gmail.com

店名:パーツアシスト
住所:〒614-8251京都府八幡市岩田茶屋ノ前21
TEL/FAX:075-982-9778
連絡先:info@mspeed-japan.com
営業時間:9:00~18:00 定休日 日曜日・祝日・その他 ※イベント出勤時

[ライター・カメラ/鈴木修一郎]

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