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ドイツピックス

更新2017.03.28

兄弟の意思を継ぎ、世界でたった1台の旧東ドイツ製ポルシェを完全レストアした男性が話題に

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極度の機械オタク。そして旧車の大ファンである、弁護士のアレクサンダー・フリッツ氏。彼がウィーンで偶然目にしたのは、さび付いてしまった1台のクルマ。そのボディの下に見えるのは、ポルシェ356を思わせるようなデザイン。しかしこれは正規の356ではなく、ある双子兄弟が旧東ドイツ時代に造り上げた「オリジナルのポルシェ」でした。

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今から50年前、旧東ドイツ・ドレスデンの学生だった双子のライマン兄弟は、自分たちでスポーツカーを造ることに成功しました。彼らの夢を支えたのは、当時のポルシェ社代表、そして356を設計したフェリー・ポルシェでした。

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東西分裂の時代、どうしても自動車のパーツが揃えられず、ポルシェ社に直接アドバイスしてもらうべく、ライマン兄弟が送った手紙を読んだフェリー氏。するとポルシェ本社から直々に「君たちの力になりたい」と、プランジャーやシリンダーなど中古のオリジナルパーツを譲ってくれたのです。

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▲ポルシェ本社が送った手紙。文末には「君たちの手作りポルシェで素敵なドライブを!」と書かれています(出典:シュピーゲルオンライン)

その後、兄弟は西ドイツへの亡命を試みた挙句、秘密警察に拘束され、刑務所行きに。オリジナルポルシェも没収され姿を消しました。その後、国から返還されたクルマは酷い保存状態で戻ってきたのです。

フリッツ氏は、趣味のカーペイントをするために、友人から見せてもらった写真で偶然このポルシェを知ります。所有者であったライマン氏に連絡して、このクルマが持つ歴史を聞かされた途端、「私が後世に残さなければ!」という使命感を持ったと言います。

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多忙な弁護士の仕事の合間を縫い、合計7000時間をかけてフルレストア。当時、ライマン兄弟に破格値で板金修理を協力してくれたリンドナー氏の名前をとり、このクルマは「リンドナー」と新たに名づけられました。

この「リンドナー」をレストアしている間、ライマン兄弟の弟であるクヌート氏が亡くなりました。レストア完成後間もなく、兄ファルク氏も82歳でこの世を去りました。しかしフリッツ氏は、ライマン兄弟が健在なうちにリンドナーを見つけ、そして生き返らせることができたことに意味があるとし、これからも彼が兄弟の心もクルマとともに受け継ぐそうです。

出典・参照元:http://www.spiegel.de

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