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ドイツピックス

更新2017.04.14

女神が記す歴史。シトロエンDSの60年を振り返る。

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NAO

20年間フランスの高級車の主軸を担うモデルとして第一線で活躍したシトロエンDSは歴史に残る名車と言われています。エンテとルノーに並び、フランスの車文化のシンボルであったシトロエンDS。名前の由来に関しては諸説ありますが、フランス語では 「デ・エス」 と発音され、同じ発音で「女神」という意味のフランス語「déesse(デエス)」を意味しているという説が有力で、ファンの間では「女神」という愛称で親しまれています。そんなシトロエンDSは今年で創立60周年を迎えました。



パリで行われたシトロエンDS創立60周年のイベントには色とりどりの女神たちが集結。ドイツ・ドュッセルドルフでもオーナーたちによる祝賀イベントが行われました。

1955年10月にパリのサロンでお披露目されたDSのプロトコルは、まるで他の惑星から来たかのような衝撃的な「未来」デザインをまとっていました。1949年に考案されたスケッチを皮切りに、長年にわたって贅沢かつ斬新なフォルムにこだわって開発されてきました。



シトロエンDS生みの親の一人であるデザイナー、フラミニオ・ベルトーニ氏が考案したデザインは丸みがありながらも、シャープで未来的な外観。車輪をなくせばまるで空飛ぶ円盤UFOのようで、当時のパリッ子たちを驚かせました。この日、受付開始からわずか15分たらずで743台のオーダーが入ったそうです。

DS最大の特徴は、油圧動力による一種のエア・サスペンション機構を中心とした「ハイドロニューマチック・システム」が搭載されていることです。DSの車重は約1.3tと軽量なため、力強い走りを実現していました。ベルトーニ氏の開発仲間でもありライバルでもある設計者ラファヴューレ氏が航空エンジニアというのもあり、航空機の設計思想が随所に見られ、車体重心は前に、空力重心は後部に、というサスペンションが安定性を与えています。車輪を1つ外した3車輪の状態でも安定した走りを見せるのは、絶妙な重心バランスが成せる業といえるでしょう。

そしてDSで思い浮かぶのは、艷々とした美しい光沢のあるボディです。製造はほぼ手作業で行われ、フェンダー、ボンネット、ドア、屋根などの部品はボルトで固定されています。ダッシュボードは、非常にシックな仕立てです。スポークステアリングの一本ホイールは、数十年にわたるシトロエンDSブランドの典型的な特徴となっています。左ハンドル仕様車では、ホイールが時計「8時」の位置、右ハンドル仕様車では「4時」の位置になっています。

パリの人々に愛されていたDSはモータースポーツでも活躍していました。1956年と1966年にモンテカルロレースで優勝、そして1974年に長距離ワールドカップラリーで見事優勝を飾り、ラリー活動を終えました。

同じく、政治のシーンでも活躍していたDS。3輪でも走行可能であると説明しましたが、その性能を実際に証明する事件が起こりました。1962年DSの愛好家でもあった当時のフランス大統領シャルル・ド・ゴール氏が乗っていたDS車両が襲撃され、車両とタイヤに14発の銃弾が撃ち込まれました。後方の片輪がパンクし、完全に機能しない状態にもかかわらず、3輪走行をで逃げ切ったことで女神が大統領の命を救ったと言われています。

1975年までに、シトロエンDSは130万台製造されました。別れを惜しむファンのためにその後シトロエンCXをリリースしましたが、そこに女神の面影はなく、彼女は更に惜しまれる存在となりました。生産期間は20年のみでしたが、創立以来半世紀を超えてもいまもなお愛される存在のシトロエンDS。個性あふれる車は、末長く愛される存在になることがよく分かります。

「宇宙船」と呼ばれ、当時衝撃を与えたアートなデザインはセンスの磨かれたパリの人々を魅了し、フランス大統領をはじめ著名人たちにも親しまれています。時代を超えた今でも、女神はフランスの生活をあざやかに彩ってくれています。

出典・参照元:http://www.auto-news.de

[ライター/NAO]

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