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コラム

更新2021.04.09

続・OEMまたはバッジエンジニアリングのクルマ達、何かとても面白い。

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まつばらあつし

前回の記事ではOEM車、すなわち「Original Equipment Manufacturing=相手先のブランド名で製造する」製品について、いくつか記してみたが、今回はその続編。ちょっと「レア」なクルマをいくつか調べてみようと思う。

例えばドイツの巨人フォルクスワーゲン(以下VW)。VWには「シャラン」というミニバンが存在するが、今を遡ること17年前、当時VWはこのミニバンを欧州フォード社と共同開発しており、両者のブランドで販売していたことがある。それが「VW・シャラン」と「フォード・ギャラクシー」。当時日本でもギャラクシーが販売されており、ボクの友人が買ったりしていたのだが、1年そこそこで日本での販売が中止されたりして、あまり成功したクルマとはいえなかった。


ちなみに、VW・シャランとフォード・ギャラクシーは現在でも販売されている人気のミニバンだが、もちろんOEM車ではなく全く別々の設計のクルマとなっている。まあ、彼らは一時的な「兄弟」だった、と言うワケ。

もうひとつついでに「フォード・ギャラクシー」と言う名は、アメリカのフォード社でもフルサイズのセダン/ハードトップとして生産されていたが、アメリカのギャラクシーは「Galaxie」、ヨーロッパのミニバンは「Galaxy」と、スペルが異なっていた。

さて、70年代のシトロエンと言えば、ハイドロニューマチックサスペンションなど、先進的で革新的な技術を大衆レベルで提供するというような、ちょっと特殊なイメージがある。しかし、1975年に登場した「シトロエンLN」は、同じくフランスのプジョー104をベースにしたOEMというよりは派生した兄弟車とも言うべきクルマで、104の車体に2CV譲りの2気筒水平対向エンジンを積んだものだ。

「シトロエンLN」は、シトロエンらしい先進的なイメージも、革新的な技術もない小型車だったが、その分頑丈で便利なクルマだったと言われている。また、プジョー104は、タルボ社の「サンバ」という小型車のベースにもなっており、いわば3兄弟的な小型車だったといえるだろう。


さらに、このプジョー104ベースのクルマとして、1978年にはシトロエン・ヴィザというクルマも作られている。ブタの鼻のような可愛いフロント周りで、少数が日本にも上陸した。しかし、あまり人気がなかったようで、10年後の1988年には新型のAXが登場し、104ベースのシトロエン車は1世代で消えて行った。

さて、意外なOEM車といえばアルファロメオ。アルファのOEM車??と思う方も多いかもしれないが、知る人ぞ知る、と言うようなOEM車がアルファロメオには存在する。それが「アルファロメオ・アルナ」だ。


この「アルナ」はなんと、日本の日産とアルファロメオが提携したクルマで、日産パルサーのボディにアルファスッドの臓物を詰め込んである。だから「アルナ」も、厳密にはOEM車というよりは、混血車とでもいうようなクルマではあった。どちらかといえば自己主張の強くないパルサーにアルファのエンジンを詰め込んだところで、果たしてイタリアで売れるのだろうか??と危惧されていたが、案の定というか、わずか4年で生産中止となった。

結果として日本にも輸入されず、商業的には失敗に終わった日伊同盟(笑)ではあったが、そこはちゃっかりしたもの。当時の日産パルサーに「ミラノX1」という、アルファロメオのクローバーリーフをイメージしたスポーティグレードを設けて、日本でのイメージ向上に少しは役立っていた…ようではある。

「アルナ」と同じく日本のクルマをベースにしたOEM車は幾つかあるが、中でも三菱はお得意のSUVの分野でPSAプジョー/シトロエングループとは仲が良く、2007年に三菱「アウトランダー」のOEMとして「プジョー4007」と「シトロエン Cクロッサー」を提供。車体の生産は日本で行うと報道されていた。その後、2012年には三菱の「RVR」をベースにした兄弟車「プジョー4008」と「シトロエンC4エアクロス」が発売されている。

この「プジョー4008」と「シトロエンC4エアクロス」は、それぞれ外板が異なる。三菱らしい武骨なイメージ、プジョーはシャープなシティSUVっぽく、そしてシトロエンは名前の通りC4みたいな外板で、それぞれの個性が見てとれる。単なるOEM、あるいはエンブレムだけを取っ換えたバッジエンジニアリングではない、新しい世代の「兄弟車」という印象を受ける。

こうしてみると、世界のクルマ事情、思っているよりもOEM車が多いという事に気がつく。日本という島国でもOEM車がたくさん走っているが、陸続きの大陸では、多分それ以上にOEMのクルマは多いのだろう。何かとても面白いな。ということで、また機会があれば幾つか調べてまとめてみようと思っている。

それでは、また・・・。

[ライター/まつばらあつし]

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