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コラム

更新2020.08.24

フランス車好きなら分かる、ドイツ車や日本車にないただ一つの魅力

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まつばらあつし

同じ4つの車輪を持ち、人が乗れるキャビンに、雨風をしのぐボディ。どこの国のクルマであれ基本的な構成要素はみな同じ。同じであるのに関わらず、つくられた国によってそれぞれの「個性」を感じるからこそ、クルマって面白いなあと思う。

さて、その中でフランスのクルマと言うのは、その見た目も、乗って運転してみた感じも、独特の雰囲気を持っている。日本の道路を走る90%程の日本車や、輸入車の中でもナンバーワンのシェアを持つドイツ車が持っていない、フランス車だけが持つモノとはいったいなんなのだろう?

答えはいわゆる「大衆車」、現在ではBセグメントからCセグメントに位置する、フツーの人がフツーに使うクルマにあるのではないかと思うのだ。買い物や通勤など、普段の足として毎日のように使うパートナーとしてのクルマをみてみると、フランス車の魅力がわかるのは筆者だけではないだろう。

ルノーで言えばクリオ(日本名:ルーテシア)がその役割を果たしていると思うのだが、日本での売り上げで考えればカングーの方が相応しいかもしれない。さて、そのカングーは見た目はもちろん、運転席に座って動かしているだけで「何となく楽しい」気持ちにさせてくれる。そして少々ゆったりした反応で、正直「あまり飛ばす気にならない」。実際ステアリングを握って街の中を走っていると、少し割り込みされようが、追い越されようが「ま、いいか」という気持ちになってしまっているのだ。



プジョーであれば現在は208。205から続く元気な小型車だ。キビキビ走るエンジンはもちろん、だいぶ硬くなってきたとは言え、カドの取れたような猫足は健在。峠道などでは足の速いクルマを追いかけることもできるが、街中ではそれほど「飛ばす気にならない」という点で、カングーと同じような雰囲気を持っている。

日本で手に入るシトロエンのローエンドモデルはC3。いにしえの2CVの印象を受け継ぐ丸っこいボディに、運転席の上面まで広がるフロントガラス、出来のいいシートとあいまって、街中をゆっくり流すのには最適な小型車。ベースはプジョーと同じながらも、よりしっとりとした足回りはシトロエンの伝統で、少々うねった田舎道を40〜50km/hで流しているときの乗り心地は、何ともふしぎな感覚だ。乱暴な運転のトラックや、えらいスピードで迫ってくる軽自動車に追いつかれても、やはり「ま、いいか」って気持ちで過ごせるような気がするのは、ルノーの小型車と同じようなモノを感じる。

こうしてみると、同じ大衆車=日本で言えば多くの軽自動車や、トヨタ・ヴィッツ、アクア、日産マーチなどの小型車、ドイツ車で言えばVWポロやゴルフなどの、Cセグメントまでのクルマ達との違いであろう。

日本やドイツのクルマは、燃費もいいし室内も広い。それなりの装備も充実していてエンジンも良く回る。ハンドリングだって街中はきびきびしているし、それなりに静か。大量に販売されるカテゴリーなので、メーカーもかなり力が入っている。そのチカラの入れ所が、多分違うのだ。

フランスのクルマ達に比べ、日本やドイツのクルマに感じるのは「より前に行こう」「より良いものを目指そう」という前向きの姿勢。もちろんそれは正しい。フランスのクルマにも、もちろんそういう面も感じるのだが、それよりもシートの質感であったり内装のポップさであったり、足回りのしなやかさだったり、エンジンの特性だったり、あらゆる面で「カドが丸い」という印象を受ける。物理的な数値で表されるものではなく、ハンドルを握って動かして初めて感じるような「カドの無さ」とでも言えばいいのか。そういう人間に対しての「官能性」というか、ホスピタリティを重視して、そこにチカラを入れているのではないかと思っている。

もちろん日本やドイツのクルマにもそれなりの「官能性」を感じるが、フランス車ほど重視していない。どちらがイイ悪いではなく、単にチカラの入れ所が「違う」のだ。

[ライター/まつばらあつし]

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