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コラム

更新2019.03.26

荒涼とした世界だった23年前の「ミナミの帝王 in 輸入中古車販売店」

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伊達軍曹

わたしは以前「輸入中古車評論家」を名乗り、基本的には古めのクルマすなわち絶版車を愛好する生活を送っていた。

だが近年は、手持ちの絶版車をアッサリ売り払ったうえで新車を購入。そして「新車のレポート」みたいな仕事も、恥ずかしげもなく受注している。

それゆえここ最近は取材で「輸入車の中古車屋さん」に行く頻度は落ちているのだが、それでも行くときは行く。

で、久しぶりに輸入中古車販売店さんに行って思うのは、「昔と比べてガイシャ屋さんもずいぶん小ざっぱりしたものだな」ということだ。

23年前の「ミナミの帝王 in 輸入中古車販売店」



23年ほど前、わたしが輸入中古車専門誌の編集記者になりたてだった頃の輸入車販売店は、ほとんど『ミナミの帝王』の世界だった。

………と書いてしまうと誤解を生むな。えーとそうではなく、正しくは「ごく一部の輸入中古車版売店は『ミナミの帝王』の世界だった」です。

もちろん多くの販売店さんは(今と同様に)小ざっぱりとした雰囲気で、まっとうな商売をされていた。だが一部の販売店はそうではなかったのだ。

実例でお話ししよう。

何の用事があったのか今ではすっかり忘れたが、神奈川県某市の某輸入中古車販売店(現在はもう無い)に、新米記者だったわたしが行ったときのことだ。

実写版ミナミの帝王のなかの竹内力を13倍ほど凶悪にしたような人相および風体の店長らしき人が、自らのデスクにドーン!と足を載せ、電話で誰かを詰めていた。

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マッドマックス的に(?)荒涼とした世界も一部あった



顧客に対して脅しをかけていたのだろうか? いやさすがにそれはないと思われるので、推測だが、

1. 営業成績が悪い自社社員を詰めていた
2. 出入りの業者さんを詰めていた(もっと安くしろ、とか)

のいずれかだったのだと思う。そのどちらだったにせよ、とにかくそれは異様な風景だった。

メルセデス・ベンツなどが並ぶまあまあ瀟洒なショールームの奥に、まるで半社会勢力のオフィースのような風合いの執務室があり、そこで「竹内力×13倍」が吠えているのである。どう考えてもそこは「車を買うべき場所」ではない。

これは、20年以上前のわたしが経験したなかでも極端な例だ。しかしこれが「唯一」というわけではない。

これと似たような光景は各所で見ているし、実際、当時の部下がしでかした不始末がきっかけで、当方の関係者が、とある販売店の関係者から暴行を受けるという事件もあった。

その件はもともと当方側の非を発端としており、軽い暴行を受けた当方関係者様の身体が仕事柄、日頃からかなり鍛えられた頑強なモノだったこともあり、怪我はなかった。そのため警察沙汰にはしなかった。

が、「輸入中古車業界ってのはとんでもねぇところだな……」と、当時のわたしは思わざるを得なかった。

業界はすでに浄化された。だが「負の遺産」は残る



あれから幾星霜……というのも大げさだが、まあ20年くらいがたった。

今ではすっかり「竹内力×13」みたいない風体の輸入中古車業界人はいなくなった。みんな、どこかへ消えた。

そして、当時からマジメなビジネスをやってらっしゃった販売店様各位は相変わらずマジメな風体でマジメなビジネスをやっていらっしゃり、そうではないちょっと悪い人々も、今は悪いことをするとすぐネットで叩かれて商売が立ち行かなくなるため、やむを得ず(?)けっこうマジメにやっている。

つまり業界は浄化されたのだ。表面的にも、内実においても。それゆえ今は、どんな販売店で中古の輸入車を買っても、そう大きな問題は生じない。

まぁとはいえ店のレベルは千差万別なので「どこでも絶対に大丈夫!」とまで言うつもりはない。だが「おおむね大丈夫でしょう」ぐらいにはなっているのだ。それなのに、中古輸入車業界にはいまだ、若干の「負のイメージ」があるようにも思える。おおむね解消はされているのだが、一般的な人々の心のどこかに「それ」はまだあるのだ。

「今やそんなことはないんですよ!」ということを言うために、わたしは6年ほど前「伊達軍曹」「輸入中古車400勝」なる頓狂な筆名を名乗り、啓蒙活動を開始した。

だが道のりは遠い。というか、当時の「竹内力×13倍」に代表される者らの罪は重い。

[ライター/伊達軍曹]

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