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コラム

更新2020.08.20

ルノー車の日本販売台数の約1/3を占めるカングーが、日本で愛されている理由を考えてみる

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まつばらあつし

ルノー・ジャポンの稼ぎ頭、というと、言うまでもなく「ルノー・カングー」。いわゆるトールボーイの、悪く言えば「荷物グルマ」だが、そんな「カングー」が日本では「大人気」だ。いや「大人気」と言うのは大げさかもしれないが、それでも日本における全ルノー車の販売台数の約1/3が、この「カングー」なのだからオドロキである。

2016年のルノー・カングー・ジャンボリーに1000台以上のカングーが集結


なにしろ世界でも唯一「ルノー・カングー」オンリーの公式イベント「ルノー・カングー・ジャンボリー」が毎年開かれており、もちろん今年も開催。8回目となる今回も山中湖に1000台以上のカングーが集結するほどのにぎわいをみせている。まあ、フランス車のこのようなミーティングイベントは、おおむねユルユルな時間というか、クルマの存在感よりも「ひとが集まり楽しむ」というお祭り的な要素が高く、フランスの本社でも注目しているイベントとして定着してきているそうだ。

さて、見た目モロ荷物グルマ的な「カングー」が、なぜ日本で、単独イベントが開けるほどの人気を保っていることができるのか?これはまさに「ナゾ」であり、ルノー本社でも「商業車ばかりのイベントに何でそんなひとが集まるんだ?ニホンジン解らん」状態らしいのだが、ストレートに考えれば「カングー」というクルマのキャラクターが日本のユーザーのココロに触れた、ということになるのだろう。
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実用的プラス「ちょっとオシャレな感じ」がルノー・カングーの魅力




元々この手のクルマ、すなわち荷物グルマっぽい乗用車というジャンルは、我々ニホンジンが大好きなジャンルなのかもしれない。というのも、ここ10年単位で顧みると、すなわちカングーが日本で発売されてから以降だけでも、トヨタ・ファンカーゴ、日産・キューブ、最近でもトヨタ・シエンタなどの「荷物車っぽい乗用車」が売り上げの上位に顔を出していた(いる)ことに注目すべきかもしれない。荷物も積めてヒトも乗せて、ドコかに出かけるといった、クルマの楽しみ方が定着してきている証拠かもしれないし、単にどちらでも使えるマルチパーパス的なモノに安心感を求めているのかもしれない。

その中でも「ルノー・カングー」はひときわ「オシャレ感」の高いクルマなのではないかと思う。単に実用的だけではなく、ヒトも荷物もたくさん積めるだけでなく、プラスして「ちょっとオシャレな感じ」があり、なおかつ値段も国産車と比較してもそれほど高いわけではない。要は「真面目で便利。安物の実用車なのに貧乏臭くない」というのが、カングーのイチバンの取り柄なのだ。

また、ルノーは畳みかけるように連続してカングーの「特別仕様車」を出し続けている、と言う点も見逃せない。すなわち「その時だけしか手に入らないスペシャルなヤツ」が存在するのだ。いや、実はその数がハンパではない。

ルノー・カングーの特別仕様車および限定車(2010年以降)


・2010年6月:特別仕様車「クルール」(特別なボディカラー3色30台ずつ、計90台)
・2010年10月:派生モデル「カングー・ビポップ」発売(2011年12月に販売終了)
・2011年7月:特別仕様車「クルール」(昨年とは異なる4色。テーマはかつてのルノー5の純正色)
・2012年5月:特別仕様車「クルール」(昨年とは異なる3色。テーマはフレンチレトロ)
・2012年11月:特別仕様車「ショコラ」(チョコレート色の30台のみ)
・2013年2月:特別仕様車「クルール」(毎日に花ををテーマに新色3色。各60台)
・2013年6月:バンパーなどが異なるグレード「オーセンティック」を300台限定で追加。
・2014年10月:「風景」を意味するグレード「ペイサージュ」を追加
・2015年6月:「ペイサージュ」に新色追加。6MTの1.2Lターボモデルも限定で追加。AT60台・MT40台
・2015年8月:フランス郵政公社と同じ黄色い塗装の限定車「ラ・ポスト」(1.6L・4AT:90台、1.2L直噴ターボ・6MT:60台)
・2015年10月:特別仕様車「クレール」(青60台とグリーン100台)
・2016年7月現在:バスク地方をモチーフにした限定車「ペイサージュ」(2色計200台)・「アクティフ・ペイサージュ」(3色計270台)

と、まあ、おおむね半年に1回の「限定車」あるいは「特別仕様車」をリリースしているという、元々販売台数がそれほど多くないルノー車(年間約4000台程度)にあって、この限定車の多さは「異常」とも言えるが、これらは毎回の様に「即完売」するのだから恐れ入る。日本では「マイナーな車種」の、さらに「限定車」という希少感に反応するユーザーが多いというのも「カングー」の特長だろう。
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2016年の4月に生産台数が100万台を突破した、2代目のルノー・カングー


便利だけど他とは違う。というモノを求めるニーズにぴったりマッチしている、それゆえの「ルノー・カングー」人気ではあるが、もちろんそれはクルマそのものの「愛嬌あるデザイン」あってこそ。初代〜2代目とキープコンセプトの一貫したデザインは、本国フランス以外でもヨーロッパの各国、アフリカやアジアでも人気が高く、マレーシアではノックダウン生産も行われているとのこと。

また、以前紹介したように兄弟車として、メルセデス・ベンツが「シタン」という商業車を発売しており、実にカングーは日本だけでなく、ワールドワイドに成功しているクルマなのであった。ちなみに2世代目は2016年の4月に生産台数が100万台を突破しているとのこと。何気にスゴイなカングー。

[ライター/まつばらあつし]

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