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コラム

更新2020.08.24

ランチア・ストラトス HFは、レプリカモデルが市販されるほど人気

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松村 透

スーパーカーブーム当時、多くの子供達の熱い視線は、フェラーリやランボルギーニに注がれていました。当時は異色の存在だったかもしれないランチア・ストラトスですが、大人になり、このクルマの魅力に気づいてしまった方も少なくないはず。そんな、ランチア・ストラトスと言うクルマに改めてスポットを当ててみたいと思います。


トリノショーに現れた、プロトタイプ「Zero」


1970年のイタリア・トリノショー。ベルトーネブースに1台のクルマが展示されました。その名を「ストラトス・ゼロ」。このクルマにはランチアは関与しておらず、ベルトーネ社が独自に開発したショーモデルでした。くさびを想起させるその特殊なデザインを手掛けたのは、若くしてベルトーネ社のチーフスタイリストを務めた、マルチェロ・ガンディー二。このストラトス・ゼロは大いに注目を集めましたが、その特異なフォルムゆえに「あくまでショーモデルにすぎない」という印象を人々に与えたのでした。

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そして、ランチア・ストラトスが誕生する


しかし、このクルマをラリーの世界に放つために、市販化へと導く者が現れます。当時、ランチアのモータースポーツ部門を率いていたチェザーレ・フィオリオが、ベルトーネ社の生産能力と Zeroに着目したのでした。ランチア・フルビアを経て次世代のラリーカーとなりうるクルマを模索していたフィオリオは、Zeroをベースに、ラリー世界選手権に出場するマシンの開発を決意します。ラリー世界選手権に出場するためには、ベースとなる市販車を一定数生産する義務が課せられます。そこで、年間500台のグループ4規定を満たすべく市販されたのが、ランチア・ストラトスなのです。


生産型ランチア・ストラトスの仕様


ストラトス・ゼロが出展された1年後のトリノショーのベルトーネブースに、生産型の「ランチア・ストラトスHF」が展示されました。このHFは「High Fidelity」の頭文字を取ったものと言われています。ストラトスに与えられたのは、フェラーリ・ディーノに搭載されていたV6 2.4リッターエンジンでした。ディーノの195馬力に対し、ストラトスは190馬力。その回転数も、7800回転から7000回転に下げられるなど、ラリーで使われることを想定し、最高速よりもスタート時の加速に重点が置かれたチューニングが施されていました。エンジンがミッドシップ・横置きに搭載されるため、前後のホイールベースが極端に短く設計されたストラトスは、日本の軽自動車、例えばホンダ・ビートや、オートザム・AZ-1よりも短いほどでした。また、モノコック構造を活かし、前後のカウルがワンタッチで大きく開く設計は、優れた整備性を誇りました。さらに、ラリーカーのベース車らしく、ドアポケットにヘルメットが置けるほどの広大スペースが用意されていました。

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ラリー世界選手権で活躍。しかし、市販車は・・・


1972年末からラリー世界選手権に実戦投入されたストラトスは、その特性を活かし、1974年〜76にかけてワールド・ラリー・チャンピオンシップを獲得しました。しかし、市販されたストラトスは、デ・トマソ・パンテーラよりも高価であることからも誰もが買えるクルマではなく、市販された1972年から75年までの生産台数は492台に留まりました。なお、日本に持ち込まれたストラトスはすべて並行輸入車でした。その希少性と人気の高さから市場に出回ることが少ないため、現代においてもレプリカモデルが市販されるほどです。

40年経っても色あせない。1970年代のラリー界を席巻したランチア・ストラトスの動画




雑誌などの記事で見た、街中で見掛けた…等々、ふとしたきっかけで「ストラトスってスゲーカッコイイじゃん!」。スーパーカー世代の方であれば、小さい頃は王道のカウンタックやミウラに傾倒していたとしても、大人になってストラトスの魅力に「気づいてしまった」ということがあるかもしれません。

前後のホイールベースが、ビートやAZ-1よりも短いという事実に改めて驚かされます。乗り手を選ぶであろうストラトスですが、このクルマを乗りこなした人だけが味わえる至極の世界を体験してみたいものです。

[ライター/江上透]

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