アイキャッチ画像
コラム

更新2020.08.21

AZTEC(アズテック) はジウジアーロとイタルデザインの夢と情熱の結晶だ

ライター画像

松村 透

ジウジアーロが1988年に発表し、1990年のジュネーブショーやトリノショーにも出品された「AZTEC(アズテック)」というクルマをご存知ですか?


ジウジアーロ氏およびイタルデザイン社が手掛けた名車は数あれど、それは自動車メーカーからの依頼によりデザインされたもの。AZTEC(アズテック)は、ジウジアーロ氏の名前を後世に残すべく生産されたモデルなのです。



左右に独立した車内…というより、もはやコクピット。乗降は左右のドアを上下に開閉させて行うスタイル。ドライブデートで女性がミニスカートを身につけてきたら(もしくはそうリクエストしてあったとしたら)、サービスショットは確実でしょう。いずれにしても、レーシングカー並みに乗り降りが大変そうです。助手席のアモーレ(?)との会話は、ヘッドフォンに備えつけられたインカムで行うことも可能です。これなら、運転しながら耳元で囁くように愛を伝えられます。

いまどきのスーパーカーより潔く割り切った感のあるフォルムが実に強烈です。ルーフカバー(キャノピー?)のようなものは装備されていますが、出先で雨が降ってきたらどうするんだろう…などと余計な心配をしてしまう筆者のような小心者は、そもそもオーナーになる資格などないのです。

エンジンはアウディの5気筒ターボを搭載。当初は220psと280ps仕様の2種類が用意されていた模様ですが、結果的に搭載されたエンジンは250ps仕様。これを横置きにミッドシップマウントし、駆動方式は4WDとアナウンスされました。

イタルデザイン社の宮川秀之氏がイタリア・トリノに設立した企業が製造・販売の権利を得て、当初は世界限定50台がすべて日本で販売される計画だった(!!!)というAZTEC(アズテック)。このあたりも勢いも時代を感じさせます。

結果的に、1億円ともいわれる車両価格とバブル崩壊が重なり、日本に上陸した個体はわずかで、生産台数も25台前後(諸説あり)に留まったという説が有力です。筆者も、かつて日本国内の中古車販売店でAZTEC(アズテック)が販売されているのを確認していました。販売価格は2500万円くらいだったと記憶しています。


エンジンや駆動形式にアウディの血統が色濃く感じられるAZTEC(アズテック)、生い立ちは異なりますが、アウディR8と並べてみたくなるのは筆者だけでしょうか。

前衛的にさえ思えるAZTEC(アズテック)のデザインは、21世紀になったいまでも色褪せません。わずかではありますが、いまでお現存する個体が世界に存在するようです。日本にあった個体は、果たして国内に存在しているのでしょうか。

[ライター/江上 透]

外車王SOKENは輸入車買取20年以上の外車王が運営しています

外車王SOKENは輸入車買取20年以上の外車王が運営しています
輸入車に特化して20年以上のノウハウがあり、輸入車の年間査定申込数20,000件以上と実績も豊富で、多くの輸入車オーナーに選ばれています!最短当日、無料で専門スタッフが出張査定にお伺いします。ご契約後の買取額の減額や不当なキャンセル料を請求する二重査定は一切ありません。