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コラム

更新2018.08.01

厄介ながらもやめられない!楽ちんさを知ってもなお欲してしまうクラシックカーの刺激

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鈴木 修一郎

実は現在、諸般の事情で5月から愛車のセリカLBが長期修理にかかることになり、手元にありません。詳細な経緯は近いうちにまとめて記事化しようと思っていますが、いつもあるはずの自分の愛車が手元にないというのは本当に寂しいものです。

そればかりか、スバル360はようやくサフ入れが終わりファンシュラウドやボディパネルの一部の塗装に入ったところで依然、完成のメドは立っておらず。現在、まともに動くクルマは自宅に亡父が遺したクルマ一台という状態で、ネタ集めや資料を探しに出かけようと思うと、母が乗って行ってしまっていて仕事が滞るということもしばしば…

一ヶ月の「楽ちんなクルマ」生活


実は、最初の一カ月は保険の代車特約でしばらく現行ヴィッツが筆者の足となってくれていました。好事家や数寄者が多い筆者の仲間内では「今時のクルマは人間をダメにする(苦笑)」なんて話すことがあります。「一応エアコンも付いてるし、DVDも付いてて、新東名の110km/h区間も難なくクルーズできる自分のセリカLBはまだまだヌルい方だ」と思っていました。しかしいざヴィッツに乗ってみると、スマートキーはもちろんアンサーバック付きの電動格納ミラー連動のドアロックに、ボタン式スターター、エアコンこそマニュアルエアコンでしたがブルートゥース付きDVDナビも装備で、今時のクルマらしくヘッドライトのローハイ切り替えもオートで、ブレーキアシストも装備されていました。

キーをかばんやポケットにでも入れておけば、ドアハンドルに触れただけでドアロックが解除されミラーも起き上がり、そのままボタンを押せばエンジンがスタート。スマホもナビに連動しているので、モニターにスマホの音楽リストも表示され、プレイヤーに触れることなく音楽の再生が始まります。

スマホに電話がかかっても、今まではクルマを止められそうな場所を探してもう一度かけ直して…だったのが、ディスプレイに電話をかけてきた相手の名前が表示されて、ハンドル上の通話ボタンを押すだけ音楽もラジオもミュートされ走行中でもそのまま通話も可能。最近はCVTの制御も昔の様な違和感は無く、あれだけ「楽ちんなクルマ」を否定していたはずの自分が気が付くと「あ~もうクルマなんてこんなものでいいや」と思い始める始末。

一時は930型ポルシェ911カレラとビューエルというかなりディープなクルマとモーターサイクルを所有していた友人が、先代モデルのBMW・X1に買い替えた途端、「もうクルマとかバイクとかの趣味性とかどうでもよくなった(笑)」と言い出した理由がなんとなくわかるような気がしました。なにしろ筆者自身、チョイ乗り程度なら玄関先にすぐ止めてあるクルーで出かけるのですが、むしろ「ヴィッツの方が楽ちん」という理由で、わざわざ自宅から少し離れた月極駐車場に止めてあるヴィッツで好んで出かけるようになったくらいです。そしてなにより、燃費もソレックスキャブのセリカどころか、90年代のRB型エンジンのクルーよりもはるかに安くつくので尚のことです。

しかし、そんな堕落した(?)カーライフも代車特約の一カ月で終わり、手元に自由に使えるクルマが無い状態になると、つい最近まで「クルマなんてこんなものでよいや」なんて言っていたこともコロっと忘れて、時に猛獣を押さえつけるようなあの猛々しいセリカLBが恋しいと言い出す始末。あのくらいの修理なら今時のクルマであれば代車の貸出期間の一カ月もあれば直ったと思うのですが、あいにく修理できる工場が限られ、部品調達のメドがまったく立たない昔のクルマは工場の順番待ちと部品探しで一カ月はあっという間でした。「クルマなんてこんなんでもいい」という夢の様な(?)ぐうたらカーライフから一転、いつでも使用可能なクルマが手元にないという現実を突きつけられる一方で、厄介で面倒くさいながらも乗ってるだけで刺激的なクラシックカーライフが恋しくなるというから、本当に人間とは因果な生き物です。

かえってセリカに構う事が出来なくなり、出不精になったがゆえにアマゾンや楽天市場やモノタロウにますます依存し、スバル360の自宅レストアが捗ったというのも皮肉な物です…

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部品取り車を受け取りに大洗ドライブ




しかし、そんなある日、北関東某所で書類無し(登録不可能)のセリカLBの部品取り車があるというオファーを受け買い付けに行くことに。現金なもので部品取りを買い付けに行くついでに自分の好きなアニメ作品のガールズ&パンツァー(ガルパン)の聖地の大洗まで小旅行ができるとなれば、中込さんのデュトロでグランドツーリングを真似するかの如く、筆者も積載車をチャーター(筆者の場合はふそうのキャンターでしたが)。

シルバーアクセ工房を営む友人にサポートを頼めないかダメ元で聞いてみると「北関東までクルマを取りに行くついでに大洗にも行きたいんだけどどう」の一言で二つ返事でOKでした。もっとも、彼もまた筆者と同じ、いわゆる「ガルパンおじさん(中高年男性のガルパンファンの愛称)」ゆえに「大洗に行く」と聞いた途端、仕掛かり中の作品があったところでお構いなしについてくると言った事でしょう。

今回借りた積載車は、最近のトラックに増えてる6速ツインクラッチATのデュオニック搭載モデル。人によっては幅寄せの微調整や上りや加速がかったるいと意見は分かれますが、サポートをお願いした友人は普段AGSのスズキエブリィに乗っているため、このテのロボダイズドクラッチの扱いには慣れているのと、急な話で宿代と高速代はこっちで持つという話でお願いしたので、大半の行程の運転手役も買って出てくれました。大きなディーゼルエンジンのクルマを運転するあたり、さしずめ当人にはまるでガルパンの登場キャラのように戦車を動かしているような気分だったのかもしれません。

セリカと違い80km/h巡行がやっとの2tロングトラック。首都高に乗った時点ですでにひたちなか市に取ったホテルのチェックイン時間が迫り、常磐道から東関東自動車道に抜ける頃にはもう日が変わろうかという時間でした。しかし、ぶっ通しで運転手をしていた友人は東水戸道路の「水戸大洗」の看板を見るや、筆者の無茶な頼みに付き合わされたにもかかわらず「マジで大洗来た~!」とはしゃいでいたあたり、大洗はよほど行きたかったのでしょう。


▲首都高6号線の名物「うんこビル」(アサヒビール本社ビル)も改装が終わっていました

厳密には部品取りのセリカは栃木からの出物なのですが、もう一つの部品が茨城なのでひたちなか市のホテルをベースキャンプに栃木の部品取り車を引き上げてから、茨城の部品を引き取り、大洗の市内観光、ちょっとしたトレジャーハンティングの気分です。



今回のお宝、セリカLBの部品取り車とご対面、サビ腐食は多い物の「パテによる余計な修復」が無く、しかも思いがけず筆者のLBと同じ昭和48年式、実はセリカLBには昭和48年4月~12月の8か月間しか作られていない「初期型」があり、初期型のみインパネやコンソールが黒でシートに赤いステッチがありシートバックにセリカのエンブレムのエンボス加工が施されています。シートが社外品に交換されていることが多く、また昭和48年車自体の個体数が少ないため、これらのオリジナルのパーツが手に入るというのは滅多にありません。



「戦利品」とともに大洗を凱旋(?)中央がシルバーアクセ職人の友人。念願のガルパンの聖地巡礼がかなった嬉しさを隠せずにはいられない様子でした。しかしまさかセリカLBで乗り付けた半年後に今度はボロボロのセリカLBを載せた積載車でまた大洗に行くことになるとは…ちなみにこの時、二人の共通の友人(ガルパンファンですが熱狂的なR33スカイラインマニアです)に見られていたことが発覚します。



翌日はココス大洗店で食事をし、お土産を買ってからのんびり名古屋へ戻ります。帰りは快適さを優先して新東名を利用、どうにかレンタカーの返却の時間にも間に合い、日付が変わる前に豊田市に住む友人を自宅に送り届ける事が出来ました。

無事部品取り車を受け取ることはできたが…




最近になってマンスリープランでレンタル可能な格安レンタカーというサービスを展開している業者を地元で見つけ、(これも近日中記事化したいと思っています)部品取り車は一旦、筆者の自宅近くの駐車場に保管して、セリカLBを預けている東海自動車が引き取りに来たら、即格安レンタカーで代わりのクルマを借りに行くという算段でいたのですが…

東海自動車の社長曰く
「ゴメン鈴木君、7月にはとりかかれる予定でいたんだけど、震災の影響で関西の部品メーカーから部品が入ってこうせんから、仕事が進まみゃあせんでヤードに部品取り置くスペースが空く見通しがまったくたたんのだわ」

仮置きのつもりで置いたはずの部品取り車は、あれから一カ月近く経とうとしている今もなお、同じセリカなんだからここが自分の居場所だと言わんばかりに、筆者のセリカLBの駐車場に鎮座しています。そのため、代わりのクルマを借りに行くこともいまだできず、厄介ながらもなぜかやめられない、憂鬱な日々はまだまだ続きそうです。

[ライター・カメラ/鈴木修一郎]

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