最新の電車みたいなドイツ車なんていらねえよ!うおおおおおお!

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昨日は箱根で今日は木更津、そして明日からはポルトガル……みたいな感じで各社の新車試乗会に参加している正統派ジャーナリストと違い、小生は中古車市場の辺境で地べたを這いながら小銭を拾ったり、這ってるついでに土下座したりしながら日々を生きているため、ブランニューなモデルを運転する機会がない。や、ないこともないのだが、正直少ない。しかし過日、ある媒体の仕事で最新世代の某ドイツ車に乗った。

そこで思ったのは「……これならもう、世の中のクルマはぜんぶ自動運転にしちゃっていいんじゃないか?」ということだった。

素晴らしいクルマだが、素晴らしく「電車的」だった

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決してそのクルマのことを批判したいわけではないため車名は秘す。いや批判したいどころか、さすがに最新のドイツ車はさすがであった。

高効率なターボチャージャーを備えた直噴方式の4気筒エンジンは、まるで高性能モーターか何かのようにスムーズかつパワフルであり、最新の8速ATは、いつ変速されてんだかされてないんだかわからないほど、介入感ゼロで常に最適なギアを選び続けた。「電車のマスコンかよ!」ってぐらいにスムーズだった。

回頭に関わる感触と能力も最高だ。結構な速度を出しながら、しかし汚い話で恐縮だが左手で軽く鼻クソをほじりながらテキトーに右手でステアリングをちょいと切ると、事前にイメージしたラインを5ミリと外さずに曲がっていく。20年前なら中谷明彦さんレベルの運転者しかできなかった芸当が、今や鼻クソをほじっている片手運転の素人にもできるようになったのだ。ある意味、素晴らしいことである。

しかしまた別のある意味では、退屈きわまりない1日でもあった。

電車のようにスムーズに加減速し、線路上を走る電車のように正確無比に、勝手に曲がっていくクルマ。それをしばらく運転していると、心の中には「……なら電車でいいじゃん!」との想いが堆積していくのだ。

木造校舎的ロードスターへの愛情は深まった、が……

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まぁ実際は駅まで歩いたり満員のそれに乗ったりするのは結構かったるいので、「電車でいいじゃん」というよりは「こんなんならもう自動運転でいいじゃん! 誰が運転しても同じなんだからさ!」というのが、その日のわたくしの正確な心の叫びだった。

そんな1日があったゆえに、今現在わたくしが乗っている初代マツダ ロードスターの、まるで木造校舎のように(copyright 清水草一さん)素朴で、たまにギシギシと音がするような感触が、あらためて愛おしくてたまらなくなった小生である。

本当の超初心者やペーパードライバーでさえなければ誰が運転しても同じ動きをする最新世代のヨーロッパ製高級車と違い、こちらは上手く操作してやれば上手く走り、逆にドライバーがたまに失敗すると「ガクッ!」と昭和の漫才師のようにずっこける。そこが、可愛い。そしてわたしではなく中谷明彦氏が運転すれば、まったく同じ個体なのに2倍も3倍もスムーズかつスピーディに走ることだろう。そこが、奥深い。

ということで「最新の電車みたいなドイツ車なんていらねえよ! オイラはこの木造校舎みたいなクルマとともに、ひたすら無骨に人馬一体で生きていくぜ! うおおおおおお!」と叫びたいところだが、そう叫んでしまうのもまた早計というものだ。

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この記事の筆者:伊達軍曹

外資系消費財メーカー日本法人本社勤務を経て、出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めた...