カーゼニ
更新2016.07.25
大して有名じゃないフリーの自動車ライターは、ぶっちゃけ最新のCクラスは買えるのか?
伊達軍曹
「わたしはお金にとっても興味がある」……と冒頭で言ってしまうと、まるで守銭奴のようでかなり人聞きが悪いが、とにかく興味があるのだから仕方がない。自分はいわゆる自動車ライターだが、最近のわたしは下手をすれば金融ライターに転身したいほどお金に興味津々である。
なぜならば、世の中にはお金にまつわる不思議な現象が多すぎるからだ。
都市部では最新のメルセデスCクラスやBMW3シリーズが、それこそ昔のカローラのごとき勢いで大量に走り回り、車関係のサイトや雑誌を見れば、やれ718ボクスターがどうの、フェラーリGTC4ルッソがこうのと大まじめに語っている。
……みんなホントにそんなにカネ持ってんのか?
「平成26年 国税庁 民間給与実態統計調査」によれば、近年の勤め人の平均年収は415万円にすぎないのに(※男性に限ると511万円)、なぜ街には最新の高額車があふれているのか? 車メディアは最新ポルシェやらの高額輸入車を取り上げたがるが、いったい何人がアレを自分事として読んでいるのか? そもそもアレ(メディア)を作ってる連中は、アレ(718ボクスターとか)を買えんのか? と、そんな疑問の答えを探したいのである。
ということで、このコーナーでは世のクルマについて「お金軸」で考えていきたいわけだが、隗より始めよという言葉もあるので、まずは自身のことから考えてみる。
「ぶっちゃけ俺でも最新のCクラスぐらいは買えんのか?」という検証だ。
これに関してはまず、筆者(40代男)のライフステージを三つにわけたうえで考える必要があるだろう。まずは現在の「大して有名じゃないフリーの自動車ライターはどうなのか?」と。お次は前職である「中小出版社の社員編集者をそのまま続けていたらどうだったか?」。最後は「新卒で入ったそれなりの企業に今も勤務していたら?」だ。
まずは「大して有名じゃないフリーの自動車ライター」は新車のCクラスとか買えんのかという問題。これは、結論からいうとまあフツーに買えますわな。買うだけなら。
ほかのライターさんのフトコロ事情は当然知らないが、みんな1年間の売り上げは少なくとも600万円ぐらいはあるんじゃないですか? 知らんけど。
1本1万2000円ぐらいの安原稿を1日2本書いて、1カ月に22日間稼働すれば月収約53万円。で、それ掛ける12カ月で1年間の売り上げが約630万円。ただし仕事がない日とかも当然あるので、マイナス30万円と見て年600万円……と、そんなもんでしょう。
仮に600万円すらも稼げないのであれば、向いてないということで廃業したほうがいい。よく言われることだが「フリーは会社員の2倍稼いでやっとトントン」というのはある種真実なので(なにせ保障ゼロですからね)、売り上げ600万円でも暮らし向きは年収300万円の下流リーマンと似たようなものだ。
ただしそれなりの日銭は入るので、前述のように買うだけなら買えるわけですよ、新車のCクラス。たとえばC180アバンギャルドの車両価格が486万円で、オプションとか諸費用とか合わせると総額は530万円ぐらいでしょうか。テキトーな暗算ですが。
で、その程度なら貯蓄として持っているフリーライターは多いはず。なにせ金融広報中央委員会の「2015年 家計の金融行動に関する世論調査」によれば40代の平均貯蓄額(中央値)は単身世帯が620万円で、二人以上世帯が600万円ですから。
でも、「買おうと思えば買える」と「実際に買う」とでは大きく違うわけですよ。なぜならばフリーランサーの売り上げというのは、あなたが会社からもらっている給料と違って「毎月ほぼ一定額」ではないから。
具体的にぶっちゃけていきましょう。たとえば今年1月末に筆者の銀行口座に振り込まれた原稿料は、たしか合計120万円ぐらい。しかし翌2月末の入金はわずか70万円ぐらいのトホホ状態だった。
「70万円でもいいじゃねえか!」とあなたは言うかもしれない。しかしよく考えてほしい。120が70になるわけですよ。その差50万円。要するにちょっとした企業の課長クラスの給料丸々1カ月分が、月によっては吹っ飛ぶ。120が70になるならまだいいが、論理的な帰結として「70が20に」とか「20がゼロに」という可能性も十分あり得る。
そんな不安定な状況で、もしもあなただったら貯蓄の半分とか3分の1とか、あるいは全額近くをクルマ1台にぶっこみますか? もしくは毎月5万とか6万円×60回みたいなローン組みますか? 組まないでしょ。仮に組もうと思えば組めたとしても。フリーだからボーナス月払いもできないし。
長くなってしまったので、唐突に結論です。
「大して有名じゃないフリーの自動車ライター」は新車のCクラスとかを買えるのか? と問われれば、「買えるが、実際なかなか買えない」というのが今回の答えになる。もちろんライターとひと口に言っても人それぞれなのは言うまでもないし、「評論家」と呼ばれるような人たちはまた全然別の話だ。
……この話題に需要があるのかどうか完全に謎ですが、「中小出版社の社員編」と「新卒で入ったそれなりの企業編」は次週以降に続きます。
なぜならば、世の中にはお金にまつわる不思議な現象が多すぎるからだ。
都市部では最新のメルセデスCクラスやBMW3シリーズが、それこそ昔のカローラのごとき勢いで大量に走り回り、車関係のサイトや雑誌を見れば、やれ718ボクスターがどうの、フェラーリGTC4ルッソがこうのと大まじめに語っている。
……みんなホントにそんなにカネ持ってんのか?
「平成26年 国税庁 民間給与実態統計調査」によれば、近年の勤め人の平均年収は415万円にすぎないのに(※男性に限ると511万円)、なぜ街には最新の高額車があふれているのか? 車メディアは最新ポルシェやらの高額輸入車を取り上げたがるが、いったい何人がアレを自分事として読んでいるのか? そもそもアレ(メディア)を作ってる連中は、アレ(718ボクスターとか)を買えんのか? と、そんな疑問の答えを探したいのである。
ということで、このコーナーでは世のクルマについて「お金軸」で考えていきたいわけだが、隗より始めよという言葉もあるので、まずは自身のことから考えてみる。
「ぶっちゃけ俺でも最新のCクラスぐらいは買えんのか?」という検証だ。
これに関してはまず、筆者(40代男)のライフステージを三つにわけたうえで考える必要があるだろう。まずは現在の「大して有名じゃないフリーの自動車ライターはどうなのか?」と。お次は前職である「中小出版社の社員編集者をそのまま続けていたらどうだったか?」。最後は「新卒で入ったそれなりの企業に今も勤務していたら?」だ。
まずは「大して有名じゃないフリーの自動車ライター」は新車のCクラスとか買えんのかという問題。これは、結論からいうとまあフツーに買えますわな。買うだけなら。
ほかのライターさんのフトコロ事情は当然知らないが、みんな1年間の売り上げは少なくとも600万円ぐらいはあるんじゃないですか? 知らんけど。
1本1万2000円ぐらいの安原稿を1日2本書いて、1カ月に22日間稼働すれば月収約53万円。で、それ掛ける12カ月で1年間の売り上げが約630万円。ただし仕事がない日とかも当然あるので、マイナス30万円と見て年600万円……と、そんなもんでしょう。
仮に600万円すらも稼げないのであれば、向いてないということで廃業したほうがいい。よく言われることだが「フリーは会社員の2倍稼いでやっとトントン」というのはある種真実なので(なにせ保障ゼロですからね)、売り上げ600万円でも暮らし向きは年収300万円の下流リーマンと似たようなものだ。
ただしそれなりの日銭は入るので、前述のように買うだけなら買えるわけですよ、新車のCクラス。たとえばC180アバンギャルドの車両価格が486万円で、オプションとか諸費用とか合わせると総額は530万円ぐらいでしょうか。テキトーな暗算ですが。
で、その程度なら貯蓄として持っているフリーライターは多いはず。なにせ金融広報中央委員会の「2015年 家計の金融行動に関する世論調査」によれば40代の平均貯蓄額(中央値)は単身世帯が620万円で、二人以上世帯が600万円ですから。
でも、「買おうと思えば買える」と「実際に買う」とでは大きく違うわけですよ。なぜならばフリーランサーの売り上げというのは、あなたが会社からもらっている給料と違って「毎月ほぼ一定額」ではないから。
具体的にぶっちゃけていきましょう。たとえば今年1月末に筆者の銀行口座に振り込まれた原稿料は、たしか合計120万円ぐらい。しかし翌2月末の入金はわずか70万円ぐらいのトホホ状態だった。
「70万円でもいいじゃねえか!」とあなたは言うかもしれない。しかしよく考えてほしい。120が70になるわけですよ。その差50万円。要するにちょっとした企業の課長クラスの給料丸々1カ月分が、月によっては吹っ飛ぶ。120が70になるならまだいいが、論理的な帰結として「70が20に」とか「20がゼロに」という可能性も十分あり得る。
そんな不安定な状況で、もしもあなただったら貯蓄の半分とか3分の1とか、あるいは全額近くをクルマ1台にぶっこみますか? もしくは毎月5万とか6万円×60回みたいなローン組みますか? 組まないでしょ。仮に組もうと思えば組めたとしても。フリーだからボーナス月払いもできないし。
長くなってしまったので、唐突に結論です。
「大して有名じゃないフリーの自動車ライター」は新車のCクラスとかを買えるのか? と問われれば、「買えるが、実際なかなか買えない」というのが今回の答えになる。もちろんライターとひと口に言っても人それぞれなのは言うまでもないし、「評論家」と呼ばれるような人たちはまた全然別の話だ。
……この話題に需要があるのかどうか完全に謎ですが、「中小出版社の社員編」と「新卒で入ったそれなりの企業編」は次週以降に続きます。