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カーゼニ

更新2017.01.23

何もかけずにそのまま「食う」だけで十分うまいクルマとは?

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伊達軍曹

お昼時にフェイスブックを見ると、会社勤めの人びとが「今日のランチはどこそこでパスタ!」などと画像を披露していたり、お大尽な人が何やら高そうな江戸前寿司を食しておられる。また、高級そうな最新舶来自動車について「買っちゃいました!(汗)」とか言っている人の姿もあり、ひたすらの粗食とひたすらの中古車暮らしに邁進している当職としては、嫉妬の炎が燃え盛ることもないわけではない。しかし基本的には「今の暮らしで全然善し!」と考えている。以下、その理由をご説明しよう。

スマホで撮っただけの写真がなぜかホメられる


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当職はあいにく風速12m程度の風でもどこかへ飛んでいきそうなほどの零細自営業者であるため、昼食はしゃれた同僚らとしゃれたパスタや寿司を食うのではなく、主には冷蔵庫内の残り物具材をアウフヘーベンさせた自己流チャーハンを低予算にて自主制作し、特に誰ともカンヴァセーションすることなく食卓で独りぼそぼそと食している。

しかしぼそぼそと食しているだけではあまりにアレであり、そんなことをしているとどこからか『昭和枯れすすき』のメロディが幻聴的に聴こえ、その結果「よし、わたくしも死のうか。いっそキレイに」などと思ってしまうリスクがあるため、リスクヘッジの意味で、自己流格安チャーハンの写真を手元のアイフォーンにてなるべくおいしそうに、なるべくゴキゲンな食事風景っぽく撮影したうえでフェイスブックに投稿している。

おかげさまでというのか何というのか、わたくしが真っ暗な気持ちで撮影したインディーズ料理写真は「おいしそうですね!」「写真、お上手です! どんなカメラ使ってるんですか?」などと言われることも多い。

光栄なことではあるが、どんなカメラも何も、前述のとおり手元のアイフォーンにてパシャッと撮っているだけである。そこに、「LINE」アプリのなかにある「おいしい」というフィルターをかけているだけのことなのだ。

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フィルターさえあればほぼ無敵なのか?


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「おいしい」フィルターをかけた画像はこのようなものだ。

確かになかなかおいしそうで、何やらゴキゲンな人生と昼のひとときを過ごしている一角の人物のようにも感じられるが、
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生の画像はコレである。

「安手のコンビニで買った安手のチャーハンを無理やり器に盛ってみたが、やっぱり安手の絶望的な味しかしないため、今どんな方法で自死しようか検討中です。決まりましたら追ってご連絡いたします」とでもキャプションを付けたくなるほどひどいものだ。

が、そんなひどい写真でも最新の電子フィルターを通過させれば、なんか知らんが人からホメられるものになるし、我ながら「ジブン、まあまあ美味そうやんけ」となぜか関西ことばで言いたくなる。

いやもちろん、LINEのフィルターなどはプロ仕様のそれとはまったく異なる超簡易的なものなので、ボケ味は超絶不自然であり、これを「美味そう」と感じるのは素人だけ、プロの写真家などから言わせれば失笑すら出ない代物であることは承知している。が、現代社会の趨勢であるスマートフォーンの小さな画面で見る限りにおいては、この程度でもある意味十分なのだ。

十分すぎて、わたくしは一時「アイフォーンのみで撮影する料理写真家」を目指したことすらある。

料理本に掲載するような本格写真をアイフォーンで撮るのはもちろん不可能だが、詐欺的なキュレーションサイトで「絶対食べたい恵比寿の激選スイーツ20!」みたいな詐欺的コンテンツを制作するのであれば、我がアイフォーンと我がLINEフォルターで十分なのではないか? と夢想したのだ。まぁ各編集部を土下座営業してみたが発注ゼロであったため、人類史上初のアイフォーン料理写真家になる夢はあきらめたが。

「無化調でも美味いモノ」こそを食したい


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フィルターとは「味の素」のようなものなのかもしれない。

いや、別に味の素KKを悪く言う意図はないので、固有名詞は出さず「化学調味料のようなもの」と言い換えるべきか。もしくはラーメンマニアみたいに「化調」とするか。

それはさておき、フィルター=化調的なものをちょいとふりかければ、元の状態がかなりアレだったとしても、なんとなくいい感じのプロダクツがササッと出来上がってしまうのが2016年、いやもう2017年か、の現代社会だ。それは、アイフォーン等で撮影する写真に限らず、ほとんどのプロダクツに当てはまる話なのではないかと愚考する。

もしくは、根本部分からしっかりと、和の心と匠の技術とモーレツ愛社精神でもって愚直に設計製造された素晴らしきプロダクツと、テキトーにちゃちゃっと作ってササッと化調で仕上げたような軽佻浮薄プロダクツとの差がわかりくい世の中になった……と言うほうがより正確かもしれない。

クルマもそうである。

浅学非才のボンクラゆえ、現代売られているクルマのうちどれがモーレツ本格派で、どれが化調系なのかは、わたくしはイマイチ正確にはわからない。が、自動車界においても一定数の「化調系」は存在しているはずだ。

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それゆえ、自分は「ちょっと古いクルマ」を信じ、愛好しているのかもしれない。

もちろん「ちょっと古いクルマ」のなかにも化調系はあったはずで、ていうか小生が子供だった昭和40年代や50年代の日本車はそんなんばっかだった気もするし、それを考えれば現代のクルマのほうがよっぽどマトモでマジメなわけだが、それはそれとして、昔の化調系はもはやほぼすべてが土に還っているはずなのだ。しょうもない古い駄車を、せっせと手間ヒマ金をかけて維持する人なんていないですからね。もしくは、そんな人 の数は激少ですからね。

2017年の世にも元気な姿で現存している「ちょっと古いクルマ」は、見栄え的にはやや残念なボロさというか、古くささを携えていたりもするが、その中身は化調いらずの本格派である場合が多い。何もかけずにそのまま「食う」だけで、とりあえず十分うまいのだ。いや余計なものがかかっていない分、凝りに凝った最新のキュイジーヌより美味いという可能性すらある。

不肖筆者が現在乗っている初代マツダ(ユーノス)ロードスターなどは、その最たるものの一つであろう。

だから、好きなんだ。好きなんだ。好きなんだ(※好きすぎて3回言いました)

[ライター/伊達軍曹]

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