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カーゼニ

更新2017.06.12

日本の公道の速度域から考えれば、最新991でなく996後期でも全然OK?

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伊達軍曹

過日、家の者がアウディTTSをポルシェ911と誤認したことをきっかけに、「もしも911買うなら、最新のタイプ991とかじゃなく2世代前のタイプ996カレラ後期とかでも十分なんじゃね?」と軽く悟りを開いた筆者。996で善しと考えた理由は、「人はクルマの形なんてどうせわかりゃしないし、日本の公道ではドイツと違って大したスピードなんて出せやしないから」だ。

そして前回、「人はクルマの形なんてどうせわかりゃしない」という前提については「おおむね正しい」との自社調査結果が出た。そして今回は、後段の「日本の公道ではドイツと違って大したスピードなんて出せやしない」という部分についての検証を行い、それを踏まえて最終的な結論を出したいと思う。

本邦の現実的な最高速度はせいぜい130km/h?




賢明なるカレントライフ読者諸兄には今さら説明するまでもなかろうが、本邦の公道における法定最高速度は、四輪自動車の場合、高速自動車国道の本線車道のうち対面通行でない区間が100km/hで、それ以外の道路は60km/hだ。

しかし賢明なるカレントライフ読者諸兄にはこれまた説明するまでもないことだが、その法定最高速度はしばしば形骸化している。

無論、「ワテクシはビタ1キロたりとも速度違反なんかシマセン!」という人もいらっしゃるのだろうが、それはハッキリ言って少数派で、多くの者は(明らかに空いている国道や自動車専用道路などでは)法定最高速度をある程度シカトして走行している。それが、本邦の現実だ。

だからといって高速自動車国道を250km/hのリミッターにぶち当てながら激走し、一般国道を150km/hでジグザグ走行し、ついでに30km/hか40km/h制限の生活道路を70km/hほどで爆走するキチガイが多いわけではなく(まぁ残念ながらたまにいるんですが……)、大半のドライバーは「法定速度を少々超える程度」で収めているはずだ。

ズバリ言って「空いてる国道で80kmぐらい」および「空いてる高速で130km/hぐらい」というのが、法的に許されているわけではないが、現実の運用においては「ま、そんなもんかもしれないね」というなんとなくのコンセンサスが生じている、本邦のマキシマムスピードではないかと愚考する筆者である。

……こういった法に反する“現実”の話をすると、「ムキーッ! このライターはけしからんザマス!」と脳ミソを沸騰させながら苦情を述べたてたり通報したりする人がいるが、ご苦労さまです。お疲れさまです。そしてさようなら。

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そんな低速度域での最新超絶性能は宝の持ち腐れ




さて。かくいう筆者も前述の速度をひんぱんに出しているわけではなく、基本的には法定速度か、むしろそれ以下の速度で走行しているわけだが(特にNAロードスターに乗るようになってから、のんびりさんになりました)、とにかく「せいぜい80」「せいぜい130」「それ以上はキチガイ!」という勝手なコンセンサスをベースに話を進めたい。

……つまり速度域が低いわけですよ、本邦は。ハッキリ言って蚊がとまるほど遅い。ドイツのことはよく知りませんが、アウトバーンでおおむね150km/hぐらいですかね? 速度無制限区間は別として。で、国道みたいなところで100km/hぐらいでしょうか? わかりませんが、おそらくはそんなもんでしょう。

そんな状況であるならば、いわゆる性能はなるべく高いほうが有利だろう。何かと気持ちいいだろう。そして安全でもあるのだろう。

しかし「せいぜい80」「せいぜい130」の国でのそのような性能は、完全に宝の持ち腐れである。基本的には意味なし芳一である。

ならば、サーキットでガチで競った場合はタイプ991に対して勝ち目のないタイプ996カレラ後期であっても、そういった状況下では「ぜんぜん十分。ていうか十分以上」と言うこともできるはずなのだ。

無論、筆者は馬鹿者ではあるが、さすがにウルトラ馬鹿で無粋なわけでもないので、速度のみにひもづけてクルマのあれこれを語る愚は知っているつもりだ。「せいぜい130」のなかでも、最新のポルシェ911には「嗚呼、なんて素晴らしいんだ……」と思う瞬間があり、そこらの県道を50km/hぐらいで流しても「嗚呼……」となり、ていうか走らせないで眺めてるだけでも「嗚呼……」と絶頂に達する。そしてそれらの瞬間すべてに、大いなる価値がある。金があるなら、むしろ991を買ったほうがいい。

しかしそれはそれとして最大限尊重およびリスペクトしつつ、「でもオレは996で十分だわ」という者がいたって良いわけである。

他者との比較は無意味。自分だけのトロフィーを手に入れろ!




もちろんタイプ996というと、インターミディエイトシャフトの破損という例の問題が懸念されるはされる。しかし後期型であれば、ポルシェ社のサービスキャンペーンによりほとんどの個体が対策済みとなっているはず。

そこを確認しつつ、なるたけ良質と思える個体を購入し、さらには半年に1回か年イチ程度で専門家にしかるべき点検をしてもらい、而して後「せいぜい80」「せいぜい130」「ごくたまに○○○」「でも基本的には法定速度遵守で」というスピリットで事に臨めば、せいぜい300万円とか400万円ぐらいの予算感で「素晴らしきポルシェ911の世界」を我が物とできるのだ。堪能できるのだ。それって、かなり素晴らしいではないが。

前述のとおり最新の991に996後期で張り合えばすべての局面でほぼ負けるわけだが、別に我々は職業レーサーではないし、金持ち度合いのマウンティング競争をしているわけでもないので、そんな表層部分で負けたって良いのである。

自分だけのトロフィーをつかむことさえできれば、それでいいのだ。

ということでタイプ996後期(の特にMT)、筆者の結論としては「買い!」としたい。まぁ「バカボンのホンカンみたいな涙目ヘッドライトが嫌い!」という人もいるだろうが、僕ぁアレけっこう好きなんですよね……。押忍。

[ライター/伊達軍曹]

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